大阪市の街中に創業70年、わずか13坪の書店がある。 本は、ここで買うと決めている...、2代目店主、二村知子さんのもとには、人生で壁にぶつかった時、本に助けを求める人たちが、訪ねてくる。家族の介護や仕事、日々の暮らし。二村さんが薦める本で話に花が咲く。二村さんは、入荷した本を読んで、いつも考える、「この本は、"あの人"に合うのではないか」と...。
20年前におよそ2万2千店あった書店の数はいま、半分ほどになったと言われる。「書店の経営は、ただ送られてきた本を売れば良いのではない。本は、毒にも薬にもなる」。そう二村さんの父は、口にしていた。二村さんを支えているのは、父が残した「本は文化」という言葉だ。
今年に入って、思いもよらない事態が起きる。新型コロナウイルスの感染拡大だ。営業を続けるべきか、頭を悩ませていた時、お客さんから「学校も図書館も閉まっているいまだからこそ、開けていて欲しい」と言われた。その言葉が、胸に刺さった。
先の見えない時代...、大手通信サイトが台頭する中で、町の本屋さんが潰れていく...。だけど、どこか元気な二村さんの本屋さんには、どんな"秘密"が隠されているのか。そこから見えてくる"いまという時代"をみつめてみる。
月1回、それも日曜日深夜の放送という地味な番組ながら、ドキュメンタリーファンからの根強い支持を頂いており、2020年4月で放送開始から40年になります。
この間、番組は国内外のコンクールで高い評価を受け、芸術祭賞を始め、日本民間放送連盟賞、日本ジャーナリスト会議賞、更にはテレビ界のアカデミー賞といわれる国際エミー賞の最優秀賞を受賞するなど、輝かしい成果を上げてきました。また、こうした長年にわたる地道な活動と実績に対して、2003年には放送批評懇談会から「ギャラクシー特別賞」を受賞しています。
これからも「地域に密着したドキュメンタリー」という原点にたえず立ちかえりながら、より高い水準の作品をめざして“時代を映す”さまざまなメッセージを発信し続けてまいります。