新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。2019年の暮れ、中国で発生した新型コロナのニュースが伝えられた時点で、数ヶ月後のいまの状況を想像した人は少ないはずだ。WHOは3月12日、今回の新型コロナが世界的な感染症の流行を意味する「パンデミック」だと表明した。同時に人々がいま、さらされているのは「インフォデミック・情報の伝染」だ。ネットを中心に根拠のないデマに翻弄され、日常生活を送ることに罪悪感さえも覚えさせる。経験したことのない新興ウイルスによる感染拡大の一方で現代社会の脆さも見え隠れする。
クルーズ船「ダイアモンド・プリンセス」の検疫は、厚生労働省の脆弱さがあらわになった。神戸大学の岩田健太郎教授の告発に賛否もあるなか、日本の感染症対策の弱さが少なからず明らかになった。国のDMAT(災害派遣医療チーム)要請に応じた医療者が批判を受け、二次感染者も現れた。地震や自然災害の現場に踏み込んでいくことを得意とするDMATの医療者たちは、クルーズ船に入ることが果たして正しかったのか、今後の検証は必ず必要だ。また、いま急がれるのは感染対策と同時に陽性となった患者の的確な治療法の発見だ。既存の薬から効果を確かめる「ドラッグ・リポジショニング」が続々と始まろうとしている。
また感染の拡大と共に、国が突如として要請する学校の休校やイベント自粛。異様な形態で行われる大相撲春場所。そして東京五輪・パラリンピックの延期が決まった。全世界で猛威を振るい、感染拡大が止まない新型コロナウイルスに翻弄される社会を追う。
月1回、それも日曜日深夜の放送という地味な番組ながら、ドキュメンタリーファンからの根強い支持を頂いており、2020年4月で放送開始から40年になります。
この間、番組は国内外のコンクールで高い評価を受け、芸術祭賞を始め、日本民間放送連盟賞、日本ジャーナリスト会議賞、更にはテレビ界のアカデミー賞といわれる国際エミー賞の最優秀賞を受賞するなど、輝かしい成果を上げてきました。また、こうした長年にわたる地道な活動と実績に対して、2003年には放送批評懇談会から「ギャラクシー特別賞」を受賞しています。
これからも「地域に密着したドキュメンタリー」という原点にたえず立ちかえりながら、より高い水準の作品をめざして“時代を映す”さまざまなメッセージを発信し続けてまいります。