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おにぎりで『世界の食文化』を包む!?サクサクのコロッケからチーズフォンデュまで「24か国の具材」万博で販売 オランダ総領事「おにぎりが国と国の魂をつなげてくれた」

大阪・関西万博

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 いよいよ4月に開幕を控えた大阪・関西万博。神戸生まれの『缶コーヒー』や、大阪発祥の『回転ずし』が爆発的にヒットし、全国へ広がるきっかけとなったのが1970年の大阪万博でした。実は相性が良い万博×食の組み合わせ。大阪・関西万博に向けて大阪の学生と企業が取り組む“おにぎりプロジェクト”に密着しました。

日本の“おにぎりブーム”が海外でも!?

 大阪・ミナミで人気のおにぎり専門店『おにぎりごりちゃん難波店』。定番から変わり種まで約50種類の具材から2つを組み合わせることができます。

 (店員)「お待たせいたしました。サバ豚キムチとツナしば漬けです」

 近頃の“おにぎりブーム”で、行列ができる店も増えるなか、目立つのが外国人客の姿です。

 (オーストラリアから)「SNSで見て、おにぎり大好きなので食べたいと思って来ました」
 (シンガポールから)「シンガポールでもおにぎりは食べますが、海苔がパリパリじゃないです」
 (シンガポールから)「ここのおにぎりが人生で食べた中で一番おいしい」

 和食文化の浸透やテイクアウトのしやすさなどから、海外でもブームの兆しがあるおにぎり。この流れにのって、大阪・関西万博でおにぎりを一気に世界に広めようという2つのプロジェクトが進んでいます。

ラタトゥーユ、チーズフォンデュ…24か国の料理が「おにぎりの具」に!

 炊飯器などを製造する象印マホービンは、万博で日本の名産品を具材にしたおにぎりを販売予定。そしてもうひとつが、「世界のおにぎりプロジェクト」です。

 大阪芸術大学の学生と、海苔メーカーの『ニコニコのり』などがタッグを組み、おにぎりの中に世界各国の料理を入れるというものです。

 例えば、フランスのラタトゥーユおにぎり。ナスやズッキーニなどをトマトペーストで煮込んだ定番料理をアレンジしました。ほかにはスイスのチーズフォンデュもおにぎりに。白ワインで香り付けしたチーズとハーブ入りのソーセージが意外にごはんと合うんだそうです。

 学生が具材のアイデアやベースとなるレシピを提案し、ニコニコのりが製品化。24か国のおにぎりを万博で販売することにしています。

 (ニコニコのり商品開発部 桶作雅彦次長)「各国の食文化を『世界のおにぎり』を通じて(国内で)広めることができれば。それと、海外の方々におにぎりを日本の食文化として広げることができればと思います」

オランダ料理×おにぎり 選ばれたのは『バーでの定番』と『家庭の味』

 このプロジェクトに参加を決めた国のひとつがオランダです。

 (在大阪オランダ王国総領事館 マーク・カウパース総領事)「日本とオランダの友好関係をおにぎりで表すのはとてもすばらしいですね」

 オランダは、パビリオンに併設するカフェで本場の料理を出す予定ですが、おにぎりを通してオランダの食文化をより手軽に味わってもらおうというのです。具材として選ばれたのは、オランダを代表する2つの料理、『ビターバレン』と『ヒュッツポット』です。

 ビターバレンは、オランダ式の丸いコロッケ。牛肉や玉ねぎにクミンやナツメグなどのスパイスを加え、衣をつけて揚げたもので、現地のバーで定番のメニューです。

 【オランダ・アムステルダムにて】
 (客)「ビターバレンはフライパンからそのまま提供されていつも熱すぎるんです。食べて…すぐに冷やすためにビールを飲みます。こうやってね」
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 おにぎりに入れるもうひとつの料理、ヒュッツポットは、ニンジン入りのマッシュポテトでオランダの家庭料理です。大阪に駐在する総領事が自ら作ってくれました。

 (マーク・カウパース総領事)「子どもの頃は、学校から帰るとアイススケートをします。家に帰るとお母さんが『ほら、ヒュッツポット作ったわよ』と言うんです。それでおなかを満たして元気を回復します。それが冬にヒュッツポットを食べる私の思い出です」

 トロトロになった野菜をつぶして皿に盛り、ソーセージなどの肉類を添えれば完成です。

おにぎりで“サクサク感”を出すには?開発担当者が試行錯誤

 2つの料理をおにぎりの具材にどう落とし込むのか。まずはオランダ式コロッケのビターバレン。

 (ニコニコのり商品開発部・管理栄養士 戸田佳織主任)「大阪芸術大学の方から(本場にレシピに沿って)ナツメグを入れたらいいんじゃないかというアイデアをいただき、取り入れました」

 古くからアジアとの貿易で発展してきたオランダは、たくさんの香辛料を料理に使います。

 衣のサクサク感は、パン粉を油で炒めて再現。一度総領事に試食してもらったところ、「サクサク感が足りない」という指摘を受け、微調整を重ねました。

 (戸田佳織主任)「(Q出来栄えは何点?)すごく難しいですけど…90点ということで。ちょっと高めに」

大豆ミートを使用「ベジタリアン向けのおにぎり」

 そしてもうひとつ、ヒュッツポットは…

 (戸田佳織主任)「ベジタリアン向けのおにぎりにしたいという(オランダからの)意見がありまして、プラントベースミート(大豆ミート)を使いました」

 オランダでは家畜を飼育することによる環境への影響などの懸念から、4割以上の人が肉類の摂取を控えていて、代用品として大豆ミートのシェアが増えているといいます。

 今回の万博でオランダは、環境問題に目を向けてほしいと訴えていて、おにぎりの具材からこうしたオランダの考えを感じてほしいというのです。

 (ベジタリアンブッチャー ルットガー・ローゼンダールCEO)「ぜひ日本の皆さんに私たちの大豆ミートを食べて、見てもらいたいです」

 扱ったことがない大豆ミート。メニュー開発の担当者は試行錯誤を繰り返しました。

 (戸田佳織主任)「コクを出すところで、どうしても肉に比べるとうまみが負けちゃうんじゃないかという心配があった。いざ料理に入れてみると、言われないと気づかないくらい『お肉だ』と思ったので。すごくおいしくできたと思います」

いよいよオランダ総領事の最終チェック!その結果は…?

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 約9か月かけて開発したオランダおにぎり。発売を前に総領事に最終チェックしてもらいます。

 まずはオランダ式コロッケのビターバレン。

 (マーク・カウパース総領事)「おお!おいしいです。ベリーナイス!ビールが飲みたくなりますね」

 スパイシーでお酒の相棒という、現地のイメージ通り。続いてニンジン入りのマッシュポテト、ヒュッツポットは…?

 (マーク・カウパース総領事)「クリーミーさも好きだし、食感も好きだし、味のコンビネーションも大好きです」

 総領事から太鼓判。手ごたえ十分です。

「おにぎりが日本の魂とオランダの魂をつなげてくれた」

 1月18日、京都駅ビルにある店舗で、万博に先駆けてオランダのおにぎりが発売されました。総領事も積極的に売り込みます。

 ビターバレンおにぎりを試食した人に話を聞くと…

 「おいしい!ザクザク感が新しくておいしいです」

 一方、ヒュッツポットおにぎりを試食した人は?

 「ごはんと合いそうにないのに、塩味と煮込んだ感じの味が合う」

 (マーク・カウパース総領事)「おにぎりが日本の魂とオランダの魂をつなげてくれました。すばらしいコンビネーションです」

 どんな料理も包み込む日本のおにぎり。万博をきっかけに世界中に広がっていくかもしれません。

2025年01月22日(水)現在の情報です

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