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万博会場への新アクセスは地下鉄だけじゃない!開発中の『水素燃料電池船』船内を特別取材 ガラス張り操舵室などこだわるワケは「水素の魅力を身近に」2025年大阪・関西万博まで1年

大阪・関西万博

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 2025年4月13日に開幕する大阪・関西万博まであと1年。今回は『会場までのアクセス』に注目します。万博会場となるのは大阪・夢洲。2820万人とされる来場者のスムーズな移動を実現するための交通整備が着々と進んでいます。そこには国内初の乗り物も!特別に取材させていただきました。

現在は万博会場・夢洲へは2本の道路のみ 会場への新たなアクセス「地下鉄」

 大阪湾に浮かぶ夢洲。1年後に開幕する大阪・関西万博では開催期間中、約2820万人が訪れると想定されています。ですが、島を結ぶのは現状は「夢舞大橋」「夢咲トンネル」の2本の道路のみ。そこで新たなアクセスとして地下鉄の整備が進められています。夢洲の対岸にある大阪メトロ中央線のコスモスクエア駅。
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 ホームの先端部分にあるトンネルの先で、夢洲までの約3.2kmの区間の延伸工事が行われています。

1970年の大阪万博でも「北大阪急行」電鉄が開通

 万博会場への鉄道整備といえば、1970年の大阪万博でも、新たなアクセス手段として「北大阪急行」電鉄が開通。多くの来場者を会場まで運びました。開催期間はもとより現在に至るまで、人々の足として定着して、沿線のニュータウン化など地域活性にも繋がっています。
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 すでにトンネルは会場のある夢洲まで貫通しているということです。工事開始から早3年半、駅舎の土台となる工事も終わり、現在はレールの敷設や駅構内の電気設備、内装工事などが行われていて、完成が着々と近づいてきています。
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 そして整備が完了すれば、万博を見据えて開発された新型車両「400系」などが、1日最大12万4000人を運ぶ予定となっています。
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 (大阪港湾局・計画整備部 小山直人担当係長)「万博には、かなり多くの来場者が見込まれていますが、その約半数を鉄道が担う。重要な交通手段となりますので、現在も順調に工事を進めていますが、引き続き開業に向けて、無事に工事を進めていきたいと考えております」

海から万博会場へ 国内初『水素燃料電池船』船内を特別取材

 一方、万博への新アクセスは鉄道だけではありません。広島県尾道市。万博でお披露目される“ある乗り物”の開発が進んでいます。建物の中に入ると、作業場の奥に見えてきたのが…

 (岩谷産業・水素ステーション建設部 金田充弘部長)「どうぞ、こちらです。大きいでしょ。インパクトあると思うんですけれど。今まさにまだ作っている段階なのですが、これが『水素燃料電池船』になります。(完成の)7合目8合目くらいかと考えています」
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 水素事業のリーディングカンパニーが開発中である国内で初めてとなる水素燃料電池船の旅客船です。2階建ての船で全長は30m、幅8mの大きさで、定員150人。搭載する水素と空気中の酸素を反応させて電気をつくり航行するため、従来のものと違って二酸化炭素を一切発生させません。
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 万博では、時速20kmで大阪中心部の中之島ゲートから、ユニバーサルスタジオ付近を経由して、夢洲までを約40分で結ぶ計画です。

 (金田充弘部長)「鉄板ではなくアルミを使用することで軽量化して負荷を下げることをしています。(アルミは)耐久性も優れていますので」

 去年6月、水中に入る船の底部分から製造は始まりました。旅客船として運用されることから、より高い安定性を目指して、双胴船と呼ばれる2つの船体を胴体とするスタイルを採用したそうです。

【こだわり1】全面ガラス張り

 そして今年4月、船内の取材が特別に許されました。まずは1階の客室部分へ。

 (金田充弘部長)「開放空間となっていて、周囲がずらっと360度見られる」

 90人が入れるというフロアは、こだわりの全面ガラス張り。屋内空間からパノラマで大阪の景色が楽しめるといいます。また乗り心地も…

 (金田充弘部長)「船の場合は一般的には重油をたいて動力源にしているんですけれど、今回は水素を用いることで二酸化炭素を出すことがない。ニオイがないというのと静か」

 船尾には動力となる水素タンクが設置されます。

【こだわり2】曲線を多用したデザイン

 続いて2階のデッキ部分へ。

 (金田充弘部長)「1階部分とは違って風を感じながら大阪の街並みを体感していただける。曲線を帯びた形が特徴です」

 船のデザインは世界で活躍するカーデザイナーに依頼。船では珍しいという曲線を多用した斬新なデザインで、会場アクセスとしてはもちろん、新技術をお披露目する“動くパビリオン”と位置づけています。
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 これだけの大きな構造物ですが、こだわりの曲線部の溶接は職人頼み。繊細なカーブは機械ではできず多くが手作業です。
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 (溶接工)「溶接の場所とか考えながら1枚1枚はっています。(一般的な船の)倍かかっています。手間と時間が。仕上がりは楽しみです」

【こだわり3】ガラス張りの操舵室

 さらに運航をつかさどる操舵室。ここもあえて全面ガラス張りにすることで、客が操作の様子を見たり、航海士目線で正面の景色を楽しんだりできる設計にしたといいます。

 (金田充弘部長)「実際にどうやって動いているんだろうと。水素で動くんですけれども、人が操作して動いている様を見ていただきたい」

「水素の魅力・可能性を身近に感じていただきたい」

 完成は今年の半ば予定。万博を契機に、水素エネルギー社会の実現に向けた取り組みを、世界に発信したいと意気込みます。

 (金田充弘部長)「エネルギー源は電気・ガソリン・プロパンガス・都市ガスとあるんですけれど、水素もその中のエネルギーとして身近に感じていただいて、水素燃料電池船を“動くパビリオン”として移動手段として利用いただいて、水素の魅力・可能性を身近に感じていただきたい」

 万博開幕まであと1年。来場者のスムーズな受け入れを目指して、着々とアクセスの整備が進められています。

2024年04月12日(金)現在の情報です

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