MBS(毎日放送)

第44回 金原早苗

舞台では、毎日、何かやらかしてますね。

―この世界に入られたきっかけを教えてください。

もともとタレントになりたかったんです。NSCはお笑いコースしかないし、そこには行かれへんなあと思ってました。その時、知り合いから「女性タレントコースが出来たで」と聞いたんです。NSC1期生といったら、ダウンタウンさんとかトミーズさんとかハイヒールさんとか皆さんすごくて、「花の1期生」って言われてるから、私も1期生になったら、売れるんちゃうか、と思って、女性タレントコースに入ったんですよ。1年経って、NSC卒業の時にオーディションがあって、それに受かって、ラジオをやらせていただいてたんです。が、その後はどこの道に進んだらいいか、全然決まってなかったんです。そんな時にNSC時代のマネージャーさんに「新喜劇のオーディションあるよ」と言われて、初めてオーディションがあるのを知ったんです。小さい時から女優になりたかったんで、受けようと思って…。
(女優さんに憧れていたのはいつから?)
小学校の時からです。ずーっと卒業文集には、(将来の夢を)「スーパースター」って書いてました(笑)。中学、高校と。
(当時のご自身にとってのスーパースターは?)
全然違うんですけど、安室奈美恵さんがずっと憧れやったんです。歌手ですけど。テレビに出たいと思ってました。

―女性タレントコースではどんなことを?

リポーターの授業とか、ほんとに道頓堀に行ってリポートする実践授業みたいなのがあって、あと礼儀作法を学ぶ授業とか、ダンス、フリートーク、発声、ですかね。リポーターの時の授業の講師が、まるむし商店の磯部さんやったんですけど、「明るさは一番ある」ってメッチャほめられてたんで、リポーター系はいけるんちゃうかな? って思いました。毎回、授業の時にすごい褒められてたんです。今でも磯部さんに覚えていただいてて、「何歳になったんや?」っていまだに聞かれます。

―初舞台は覚えていますか?

内場兄さんの週やったと思います。同期の井上安世と一緒に出て。緊張してたんで覚えてないんですけど…。私ら(金の卵2個目)1年以上くらい出番がなかったんですよ。
(そうなんですか!?)
今の子らは半年か3か月に1回卵ライブをするんですけど、私らの時は毎月のようにライブがあって、毎日稽古してて、毎週、作家の人にネタ見せしないとダメやったんです。朝から晩まで缶詰状態で。しかも、金の卵14人だけのイベントやったんですよ。だからもう、初めは文化祭でやるような芝居やったんですけど。ボケの入れ方もわかんないし。それを1年、毎月やってたんです。だからネタの考え方とかは今の子らより、だいぶわかっていると思います。その中で同期の森田まりことかが、「とんねるずのみなさまのおかげでした」(フジテレビ)のコーナー“細かすぎて伝わらないモノマネ選手権”に出て、そのネタが新喜劇にも使われたりしてたから、私も何か作らなと思って、両親が自衛隊やったから、匍匐前進のネタを考えたんです。4、5年前になるんじゃないですかね。それを辻本兄さん週の作家さんが見て、(新喜劇に)取り入れてみようということで、入れてくれはって。自分のピンのネタやったんで、その時は「スベっても何でもやったれ」と思ってました(笑)。

―体力には自信が?

体力には自信があると思います。吹奏楽部に5年間いました。そのクラブが文化部って思われがちなんですけど、けっこう、力の入った中学・高校やって、歩きながら演奏するマーチングとかもやってたんで、毎日、運動場走って、腹筋・背筋とかもやるくらい、スポーツ的なクラブでした。部員も100人くらいいて。(四条畷学園の)高校3年の時は、部長をやってたんです。
(100人の部員ってすごいですね)
うふふ(笑)。すごくないんですけど。今は150人以上います。今、学校自体に吹奏楽クラスっていうのがあるんですよ。クラスが出来てます。
(100人を束ねるってすごいですね)
いや~どうなんでしょう? でも人を使うのは上手いかもしれないですね。いっつも年末の楽屋の掃除があるんですけど、私が2~3年ぐらいリーダーでやってたんですよ。その時は後輩に「あれやって、これやって」と言ってたんで、すぐ終わってました。人を使うのは上手いかもしれない。

―楽器は何を?

トロンボーンです。音を出すこと自体が難しいです。トロンボーンは4オクターブくらい出るんで。音を聞いたらすぐにわかるんですけど。高い音が出るかどうか。出ない人は1オクターブくらいしか出ないです。舞台でもトロンボーンを吹いたことがあるんですが、ほんわかぱっぱ隊と言って、楽器の出来るメンバーが集まって音楽隊作って、終演のお客さんを見送ったりしてました。今、新喜劇でもすっちーさんがトランペット吹いたり、宇都宮まきさんもトランペット練習してたり、最近は諸見里さんもトランペット持ってたから練習始めたんですよ。ちょっとした楽器ブームになってます。「教えて~」みたいな。しかもみんな楽譜なしで耳コピで吹いてるんですよ。
(自由な感じですね)

―舞台デビューのあとはどんな役を?

マドンナの役もたまにさせていただいたり。私、龍踊りというだんじりでやる踊りがあるんですけど、それをやってて、顔とかも面白い表情になるんですよ(笑)。すっちーさんが、それを面白いと思っていただいて、舞台でやったりとか。裕兄さんのドリルとコラボさせていただいたり。あと、変なダンスとか得意なんで、それをやらせていただいたり。けっこう、ボケっぽい3枚目みたいなこともさせていただいています。川畑兄さんにも、「他の子やったら可哀相と思われることも、お前には出来る」って言われます。オムツを頭にかぶせるとかも、「な~んか金原やったら出来んねんな」って。川畑兄さんの週では舞台で水着になったこともありますし。
(えっ!?)
ビキニとか今までなかったのに、それもナイスバディな子なら、色気ありすぎて無理やけど、すごいナチュラルに見えるって。2回くらいやりました。
(どんな流れで?)
海に行くというオープニングで、普通はシャツとかズボンとか着て、「今から海に行く」とごまかすんですけど、そこを水着で出て行ったり。あと、「マジックで服を消します」っていう時に。上を脱がされたら下が水着やったとか。
(お客さんもビックリですね)
ビックリです、ビックリです(笑)。まさか新喜劇で水着になる? みたいな。他の女の子たちよりは、いろんなことさせてもらってます。あと、ピアノも習ってたんですけど、ほんわかぱっぱ~って幕が開いたら、私のピアノに切り替わって、ピアノで始まるみたいな新喜劇とかもありました。

―入ってからの戸惑いはありましたか?

良かったと思うのは新喜劇を見てたので、あんまり見ずにはいる人よりは見てて良かったな、と。空気感というか流れを見ていたのは、スゴイ良かったな、と。戸惑ったことは、なんて奥が深いんだろうって。それまで、笑いを考えることをしたことがなかったので、ウケるためにはどんな言葉の方がいいのかとか。お盆のどこで頭を叩いたらいい音が出るのかとか、自分で体感してみないとわからない。それを難しく見せないのがプロなんやな、って。皆さんすごくて…。

―新喜劇に入ってみて、思っていたのと違うなというところは?

皆さん、芸能人として見ていたんで、こんなにもフツーの人というか。なんて言うんでしょう? 女性で言ったら、あき恵姉さん、由美姉さんがご飯作ってきてくださったり、それを楽屋で広げて、食べたりするんですよ。家というか楽屋が。男性も芸能人やからみんな、もっと気取っているかと思ったら、服装もダサい人多いし(笑)。こんなに構わない人ばっかりなんや、みんな普通なんやと思います。初めてめだか師匠を見た時も普通にこんな優しい人なんや、と。そのあと、飲みにとかビリヤードしに行った時も思えば、テレビでずっと見てた人と今ビリヤードしてるのに、その実感がわかないというか。普通に一緒にいる、みたいな。

―悩まれた時期とかはありますか?

今でも悩んでます。ツッコミも出来ないというのもありますし、昔の自衛隊のネタとかやってる時の方が、スベることも恐れずやってたのに、今は恐れまくって、チャレンジも出来てないという部分があるから、昔の方が自分にとって勢いあったと思うんです。今は止まっている感じがして。これから先、どうしてったらいいのか悩んでます。
(マドンナの道があるじゃないですか)
そうなんですけど。どんどん年も取っていって、今、29歳になるんですけど、私、19歳で入ったのに、今は新しい19歳の子とか入って来て、女子高生の役とかは絶対若い子の方がいいし。そうなったら、どんどん世代が変わっていくから。でも上のあき恵姉さんを目指すには、あき恵姉さんの方がずっと上手くて、抜かすのは難しいし。どんどんどうしていったらええんやろ? って。この先、女子高生の役とかは厳しくなるので、夫婦の奥さん役とか、あき恵姉さんがやっている社長とか。自分の年齢をアップした役柄も出来るようにしたいです。

―目標の先輩はいますか?

あき恵姉さん。いじられることが多いじゃないですか。そんな時にパーンと返せるツッコミというか。私もいじられることが多いんですけど、ちゃんとツッコミが出来ないので、いつもあき恵姉さんを見て学んでます。女性でツッコミできる人になりたいですね。目標は、後輩に憧れられるような、マネされるような存在になりたいです。ちゃんと自分も出来て、後輩たちにアドバイス出来るように。こんな人に言われたくない、じゃなくて(笑)。座長の能力はないと思うんですけど。いろんな座長に使ってもらいやすい、いろんな役が出来る人になりたいです。

―この先、やって行きたいことは?

今、小籔兄さんにバンドに誘っていただきまして…。“吉本新喜劇ィズ”です。もっと露出を増やして、どんどんオリジナル曲出して、目標は3年後くらいに「Mステ」(テレビ朝日)に出ることなんですけど。そこまで行って、有名になって、新喜劇みんな見てくれるようになって欲しいと。だから、バンドが今、一番、今年は頑張ろうと思っているところです。バンドも小籔兄さん、宇都宮まき姉さん、松浦兄さんといるんですけど、私だけ、あきらかに違うんですよ。そのメンバーから。その3人に追いついていけるように。私も頑張らないと一人浮いちゃってるな、と。ベースの人がチャットモンチーというプロの人で。昨日もみんなで集まって練習しました。どうやったら売れるやろというのを小籔兄さんずっと考えてて。売れてる人は常に考えてんねんなと、いつも小籔兄さん見るたびに刺激を受けてます。私も頑張らないとダメですね。
(具体的に頑張っていることは?)
もう毎日ピアノ弾いてるってことやと思います。キーボード弾くために、毎日練習してます。小籔兄さんにもすごいプレッシャーかけられてて、「売れてない分、ピアノの技術を上げろ」みたいな。ほかのアーティストが見て、あのピアノすごいな、うちのバンドに入って欲しいと言われるぐらいの技術を身につけて欲しいと言われたんで、メッチャ練習してます!
(ストレス解消は?)
飲みに行くことです。お酒大好きなんです。ビールとチューハイ、日本酒、ワイン。日本酒ホンマ大好きで。でも最近は、ちょいちょい記憶がないんですよ。あはは。ほんとに。一緒におった友だちに確認するんですけど、自分が知らないことばっかりしてて。そんなこと言った? そんなことやった?って、後でムービー送られてきてビックリすることがメッチャあるんです。迷惑はかけてないと思うんですけど。記憶が飛んでます。

―舞台の上での失敗とかは?

今週では、上下同じ色のスーツを着ないとダメなのに、違う子のスーツの上を着てしまって。上が濃いグレーと下が薄っすいグレーになってて、舞台上で「何で色違うやつ着てんねん!」と言われて、初めて気づいて、すごく恥ずかしくなりました。一旦ハケた時にすぐ後輩が着替えを持ってきてくれたんで、着替えて出たんですけど、それに気づいたお客さんが笑っちゃって、変な感じになっちゃって…。「そこは着替えずに出て来ないと」って注意されました。あはははは(笑)。
(けっこううっかりタイプですか?)
うっかりです。全然気づかなかったです。次の日は、スパッツをはくのを忘れて、ズボンやから大丈夫かなと思ったんですけど、しゃがんだ時にパンツが見えたらしくて。舞台上で、「何色のパンツやねん」ってみんなに突っ込まれて。エメラルドグリーンのパンツが見えてたらしいです。
(毎日何かやってますよね)
なんかやってます。あと、すごいブカブカなもんぺみたいなのをはいて匍匐前進した時に、ブカブカやから大丈夫やろと思って、下はパンツ1枚で、第5匍匐前進ていう一番低い姿勢で前進するのをやった時に、バーンともんぺが割れて…。
(ええ~っ!!笑)
すっごいパンツが丸出しになって…それは舞台上で、です。しかもその時もすっごい派手なパンツやったんです。ぎゃあああ~となって、それはもう、後ろ見えへんように。お客さんにお尻向けないように芝居してました。その時もお客さんずっと笑ってて、芝居にならなかったです。
(笑いの神様が降りてますね)
あはははは。豪快にやっちゃうんで…。

―ツイッターを拝見すると、女子力が高いなあ、と。

そうなんですよ。最近ちょっと女子力高めていこうと思って。それも全部、新喜劇の先輩から教えてもらってて、ダイエットの仕方とか。新喜劇の先輩の方が女子力高いんですよ。
(例えば?)
いいダイエットグッズとかも、お金いっぱい持ってるから、いっぱい揃ってるんですよ。最近、ダイエットしたいって言ったら、やすえ姉さんから「コールドプレスジュースダイエットがいいよ」って教えてもらって。それも高いんですけど、やすえ姉さんみたいになれるんやったら…ってすぐ、買いに行きました。皆さん、水素水毎日飲んでますし。イマドキのこととかも皆さんの方が知ってますので、教えてもらってます。皆さん、意識高いんです。若い人もどんどん入って来るんで、刺激になります。

2016年3月7日談

プロフィール

1987年3月19日大阪府八尾市出身。
2005年3月NSC大阪校女性タレントコース1期生。
2006年金の卵2個目

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