Q1あなたの仕事を教えてください。
2022年春のセンバツ高校野球中継で、はじめて任されたポジションがチーフディレクター。一番の役目は、番組の演出において統一感を追求し、クオリティを担保する存在です。
放送において掲げたテーマは「人生の晴れ舞台を、一人でも多くの心に刻む」という内容でした。
私自身、高校で野球をしていたこともあり、甲子園に出ることがいかに大変なことか、名誉なことであるか、肌で感じているつもりです。
数々の苦難を経て甲子園のグラウンドに立つ球児に、感情移入して視聴してもらいたい。そんな想いで考えついたのが、球児一人ひとりの顔や好きな言葉をテロップにして紹介する、ということでした。それだけではなく、実況の方にも「この球児については、こんな情報を発信してほしい」とお願いすることも。
テーマをどこまで表現できるかは、チーフディレクター次第と言っても過言ではありません。
皆さんにお伝えしたいのは、テレビのいろいろな企画は、おもしろさや突拍子もないことだけが採用されるわけじゃない、ということ。強い想いが多くの人から共感を呼び、実現することもたくさんある、ということです。事実、高校生のテロップ出しも、数多くの協力があって実現したものでした。

Q2誰が協力してくれましたか?
まず、プロデューサーです。
実現に向けては、たくさんの壁がありました。顔写真は誰が撮る?全員分、どうそろえる?コロナ禍なので接触は難しいぞ?大会直前に登録メンバーが入れ替わったときはどうしたらいい?…問題は山積みです。
そんななか、プロデューサーは「写真は毎日新聞が所有しているかもしれない。一度聞いてみる」「費用などは、これくらいであれば捻出できると思う」「追加の情報収集は、この会社さんにお願いするといいかも」など、一つひとつ、前向きなアドバイスをくれました。
メンバーの想いをしっかり受け止めてくれる上司がいることに心から感謝、でしたね。

そして、感謝してもしきれないのが、制作会社の皆さんです。きっと私から話を受けたときは「うわ…面倒くさそうな仕事だなあ」と思ったのではないでしょうか。
確かに、私の想いが先行している取り組みで、視聴率アップと結びつく可能性は低いかもしれません。でも、もっと早く言ってよ…など文句はたくさんあったはずなのに、「徳永さんのためなら」と協力してくれたんです。
皆さんの助けがなければ、この取り組みは途中で終わっていたと思います。
社内だけでなく、社外にも力を貸してくれる人がいる。本当にいい環境です。
Q3これから挑戦したいことを教えてください。
きっと今は「MBSの徳永」と、周りの人たちから見られていると思うんです。
でも、それではいけないと感じています。それこそ「徳永がいるMBS」と思われるくらいならないと。
大切なのは、自分自身が何を目指すか。どう勝負するか、です。
チーフディレクターとして働いて思うのは、自分と協働することを快く思ってくださる方を、どれだけ増やすかが大切、ということ。
そのためには、何も本人にエッジが立っていることではなく、気さくで話しやすいことが実は得だったりするものです。また、気心知れたメンバーがいれば、大変なことも乗り切れるものです。

前述した高校野球の件も、すごくハードな仕事でした。でも、誰一人として気持ちを切らす人はいませんでした。私を信頼してくださる仲間を増やしていけば、きっと、自分たちだからできる仕事が見つかるはず。
そのうえで、制作者としてぜひ実現したいのは、取材対象者の思い出に残るものをつくること。テレビでも、インターネットでも、媒体は問いません。側よりも中身で勝負できる制作者になることが、私の目標です。
高校野球の顔出し・テロップ出しは、その第一歩と言えるかもしれません。
休日の過ごし方
休日は、ゴルフに出かけたり、新しく買ったベッドでのんびり過ごしたりしています。ゴルフは社会人になってから始めたのですが、最初はボールに当たらず悔しい思いもしました。でも今では年に10回以上ラウンドするほどハマっていて、仲間と一緒にプレーする時間はとてもリフレッシュできます。
一方で、何も予定を入れずに家でゴロゴロするのも好きです。最近は、奮発して買ったベッドで思いきり寝るのが至福のひととき。「今日は何もしない!」と決めて、ふかふかの布団にくるまる時間が、心も体もリセットしてくれます。仕事が忙しいときほど、こうした「何もしない日」が大事だなと感じています。
Q4MBSにピッタリな人は?
今まで、自分のことを「おもしろい」とか「エッジが立っている」などと考えたことは一度もありません。むしろ逆です。テレビ業界を志望する方で「おもしろい人じゃないとダメなのかな…」と不安に思っていたら「いいえ。大丈夫ですよ」と答えてあげたいですね。
むしろ大切なのは想いや情熱。番組は、チームでつくりあげるもの。MBSでも、想いがあってこそ、共感し、手を差し伸べてくれる人がたくさんいるものです。

おもしろくなくても
想いがあれば大丈夫