阪神は5月20~25日に6試合を行い3勝3敗で、首位をキープ(5月26日時点)。23日からの中日戦では、“鬼門”といわれるバンテリンドームナゴヤで2勝1敗と勝ち越しました。この6連戦で活躍した選手を元監督・矢野燿大さんが振り返ります。

湯浅投手の活躍に「むちゃくちゃうれしい」

―――まず投手について、矢野さんが注目したのは、25日の中日戦に2番手で登板し3年ぶりの回またぎで今季2勝目を挙げた湯浅京己投手。「頑張りがうれしい」ということのようですね?

「うれしいですね。僕が監督のときに1年目。けがが多かった選手で、なかなか1軍で投げられなかった。そういう経験を経て、僕の監督時代(2022年)に一度タイトル(最優秀中継ぎ)をとった。そしてこれからいくぞっていうときに難病になって、それでもまた戻ってきてくれた。僕はむちゃくちゃうれしいですね」

―――湯浅投手は去年、国指定の難病「胸椎黄色じん帯骨化症」の手術を受け、今年の4月29日に1軍復帰登板を果たしました。現時点で11試合連続無失点中です。そんな湯浅投手について、矢野さんは「頼りたくなるメンタルの持ち主」と評価していますね。

「やっぱり、けがとかいろんなことを経験しているからこそ、投げる喜びとか強さとか、何かそういうものがあるんですよね。(復帰してから)初めのころは、まだ湯浅らしくないなっていうボールだったんですが、今は藤川監督が勝ちパターンで使いたい、そんなボールになってきています」

―――矢野さんの監督時代、湯浅投手が登板した試合で、すごく印象的な試合があったようですね?

「バンテリンドームで、アリエル・マルティネス選手(当時中日)に決勝ホームランを打たれたんですよ(2022年7月1日)。でも、中継ぎ投手は次の日も投げることがあります。気持ちを早く切り替えてほしいということで、『湯浅、あしたもあるぞ。あしたストレートで抑えてこい。打たれたストレートで勝負してこい』と(伝えた)」

―――そして、翌日の試合で湯浅投手はマルティネス選手にストレートを投げ込み、三振を奪いました。

「これは僕もしびれました。湯浅の気持ちの強さ、やり返してやるっていうこの投球を見たときに、『任せたいな』と。さらにそういうことを思ったピッチングをしてくれました。けがから復活し、湯浅が頑張ることを喜んでくれるが人いっぱいいます。頑張ってもらいたいなと思います」

「すばらしいプレー」3塁ランナーを刺した坂本選手を評価

―――野手の方で矢野さんが注目したのが、キャッチャーの坂本誠志郎選手。阪神の強力投手陣を引っ張る大黒柱ですね。

「25日はいいところで打ちました。守りで貢献しているのも坂本の良さかなっていうふうに思います」

―――また、ピンチを救ったのが23日の試合。5回ウラ1アウト1・3塁の場面で、飛び出した3塁ランナーをけん制で刺しました。

「これはいいプレーでしたね。皆さんはランナーが悪いのかなって思うんですけど、打者が空振りしたりランナーが飛び出したりしたら投げてやるという準備がまずしっかり(坂本選手は)できている。そしてサードランナーなので、送球が重なるため、投げられるスペースって結構狭いんですよ。ランナーの背中や頭に当たってしまう怖さがある中で、準備をしっかりしてあそこにストライク送球したのは、すばらしいプレーなんです。一歩右に出てラインを作ってしっかり投げていますよね」

―――27日からはDeNAとの3連戦、30日からは広島との3連戦。その後には交流戦が待っていますね?

「この1週間大事ですよ。交流戦に対して良いスタートを切りたいですから、この6連戦は頑張ってもらいたいですね」