コンプライアンス上の問題を理由に番組を降板した元TOKIOの国分太一氏が、日本テレビの対応をめぐって日弁連に人権救済の申し立てをし、26日は国分氏が久しぶりに公の場に姿を見せ、すこしやつれたような表情で記者会見を行いました。
緊急会見で話された内容や、先月行った人権権救済申し立ての内容、河西邦剛弁護士に今後のポイントも聞いていきます。
弁護士の見方「国分さん側が“我慢”強いられる構造」

これまでの経緯を振り返ります。
今年6月、日本テレビ・福田博之社長が「過去にコンプライアンス上の問題行為があった」として国分太一氏の番組降板を発表しました。詳細については 「プライバシー保護の観点から詳細を控える」として明らかにしていません。
その後、株式会社TOKIOは、国分氏の全ての活動の無期限休止とTOKIOの解散を発表しました。
そして11月26日、約半年ぶりに公の場に姿を現した国分氏。その会見を見た河西弁護士は、「ポイントになっているのは、“被害者”の唯一の窓口が日本テレビとなっていること。週刊誌とかではないので、どうしても日テレは“被害者”の立場に寄ってしまわざるを得ない。その結果、国分氏側が“我慢”を強いられる構造になっているのが特徴ではないか」と分析しています。
どの点を指して「人権救済」を申し立てているのか

会見の中で国分氏は「活動休止など短期間で全てを失った感覚」「何がコンプライアンス違反か説明されず混乱していた」「日本テレビと対立したい気持ちは一切ない」などと述べました。そして 10月に行った人権救済申し立ては「自らの判断で行った措置」と説明しました。
ではどの点を指して「人権救済」なのか。河西弁護士は「あまりにも一方的ではないか」という点、と見立てます。
「弁明の機会が十分でなかったことや、理由を告げられずに降板を通達されたこと、それによって全ての仕事を失ったうえ、何も言えない状態に置かれたことなどについて、これは違法ではないとしても、あまりに人権手続き上問題があるのではないか、という訴えではないでしょうか」
河西弁護士はまた、「国分氏が一番問題視しているのは、自分自身が何も発信できなかったことだと思います。仮に、国分氏が加害的立場にあったとしても、『どこまで我慢するべきか』が、日弁連の人権救済申し立ての中で判断されていくことになります。この中で、日本テレビ側と国分氏側が再度調整できるかどうか、日本テレビ側の納得のもとに、国分氏側が新たに情報発信できるのかどうかが、大きなポイントになってくる」と述べています。
日テレへの「3つのお願い」とは

会見の中で、国分太一氏側からは日本テレビに対する「3つのお願い」を提示しました。
(1)国分氏が日本テレビを訪れ関係者への謝罪について協議させてもらうこと
(2)国分氏の番組降板理由の事実を明らかにすること
(3)国分氏が外部へ説明できる内容を協議すること
河西弁護士は特に(3)外部への説明について、「一番のポイントになるのは関係者の同意です。関係者側が『この程度であれば発信していい』という部分があるかどうかによる」とし、「現状は窓口が日本テレビとなっていて、その交渉が途絶えているため、国分氏側はどうすることもできない状況」だとしています。
いっぽう国分氏側から出ている話では、「日本テレビから一方的な聞き取りがあって、何がコンプライアンスに該当するかわからない」といった主張も出ていますが、これについて河西弁護士はやや疑問とします。
「何がコンプライアンス違反だったのか答え合わせしたいというのには、若干疑問が残る点でして、というのも、ヒアリングの際に国分氏側から『こういうことが問題だったかもしれません』などと自ら話しているようです。となると、全く思い当たる節がないというよりは、ある程度、思い当たるところがあるんじゃないかと推測されます。」
今後の焦点「3つの願いは叶うのか」

河西弁護士によると、今後は次の2点がポイントになるということです。
(1)国分氏は日本テレビと交渉できるのか
(2)3つの願いは叶うのか
河西弁護士は「日本テレビと調整して、国分氏が情報発信できるかどうか」が最も重要なポイントだと指摘。「今回の理由や原因を言える範囲で言っていかないと、国分氏が、未来に向けて再始動する可能性も視野に入れると、ある程度、情報発信できる状況にしておくことが必要」と述べています。
今後、日本テレビがどのような対応を取るのかという点も注目されます。