農林水産省は6月23日、全国のスーパーで販売されたコメ5kgの平均価格が、前の週より256円下がり、3920円となったと発表。2000円前後の備蓄米の流通などが要因とみられます。そうした中、古古米・古古古米の備蓄米や銘柄米など5種類のコメの味を数値で評価する品評会が行われました。スーパーに並ぶコメは平均70点台ということですが、備蓄米は何点だったのでしょうか?
そして、備蓄米をおいしく食べるポイントは?今後、備蓄米効果で銘柄米の価格も下がるのか?流通経済研究所・折笠俊輔主席研究員への取材を含めてまとめました。
コメの平均価格がようやく3000円台に!
コメ5kgの平均価格(6月9日~15日)が前週と比べて256円の値下がりで3920円となり、ようやく3000円台まで下がってきました。毎週公表になった2022年3月以来、最大の下げ幅だということです。
「コメ価格は(5kg)3000円台でなければならない」という石破茂総理の発言(5月21日)がようやく実現。また、小泉進次農水大臣は6月23日「価格は下がるトレンドに入ってきている」と発言しました。
農水省によりますと、銘柄米の価格は4000円台のままですが、6月23日に発表された価格(6月9日~15日)は4338円と、前の週から105円下がっています。入札・随意契約で取引された備蓄米を含むブレンド米などの価格は3495円で前の週から339円下がっています。
コメ平均価格の大幅な下落について農水省は、今回ブレンド米などの販売実績が初めて全体の50%に到達したため、価格を押し下げたのではないかと分析しています。
コメの美味しさを数値で測定「味度」とは?
備蓄米の流通が増えてきた中で気になるのは、「古古米」「古古古米」の味です。6月24日、大阪市内で「米・食味鑑定士協会」による品評会が行われました。
コメの美味しさで重要なのが、炊いたときのツヤです。ツヤの正体は、保水膜(コメを炊くときに水に溶け出たデンプンが再付着することでできる)と言い、「味度(みど)」で数値化することができます。保水膜が形成されているとコシや弾力、のどごしもよくなってうま味を感じるということです。測定器では味度を100点満点で表示することができ、スーパーに並ぶコメは平均70点台だということです。
「古古古米」食べた玉巻アナの感想は…
品評会で味比べをしたのが同じ条件で炊飯した5つの種類のコメで、それぞれの「味度」は以下のような結果となりました。
・2022年産「古古米1」…58点
・2022年産「古古米2」…62点
・2021年産「古古古米」…54点
・外国産米(カルローズ米)…70点
・銘柄米(山形県産コシヒカリ)…84点
実際に試食した玉巻映美アナウンサーは、古古米1・古古米2・古古古米について「旨みや甘みの差はほとんどなかったが、点数が54点の古古古米はパサつきを感じて、あんまり美味しくない」と感じたということです。ただ、「しっかり味を比べてようやく感じる程度で、おかずと一緒に食べている分には気づかないかもしれない」という感想でした。
古古米、古古古米を美味しく食べるためのポイントは『コメを浸水させる時間』で、夏場は最低30分。冬場は1時間以上浸水することによって、保水膜の出来は大きく変わるということです。
ただ、品評会の結果はあくまでもサンプルの数値であって、保存状態や輸送状態、コメの研ぎ方などによって保水膜の出来には差が出るため、古古古米であっても保水膜の数値は高くなる可能性もあるということです。
7月中旬には銘柄米も4000円を切る?
最後に銘柄米の価格の今後を見ていきます。
安い備蓄米が出回ると、比較的高い銘柄米が売れず、在庫が“ダブつく”ことになるのではないかと考えられます。これにより銘柄米も安くなるのか?流通経済研究所・折笠俊輔氏に聞きました。折笠氏は、すでに小売店から卸への「発注」は備蓄米が増えて銘柄米が減っている状況だとしたうえで、銘柄米は7月中旬ごろには5kg4000円を切る可能性も出てきたと分析しています。
ただ、値段を下げていくと、高い価格で銘柄米を仕入れた卸は値下げ損をするのではないか?という疑問が出てきます。これについて、折笠氏は、銘柄米の仕入れ値も徐々に値上がりしたものなので、ここで値下げしても年間では損はないのではないかと見ています。
コメ価格をめぐる今後の動きについて、引き続き注視する必要がありそうです。