参議院議員選挙が、7月3日公示・7月20日が投開票と決まりました。今年は12年に1度、参院選と東京都議会議員選挙が重なる年で、都議選の結果が、参院選の結果にも表れるということですが、6月22日に行われた都議会議員選挙の結果はどうだったのか?7月の参院選どうなるのか?ジャーナリスト・武田一顕氏への取材も含めてまとめました。


◎武田一顕:ジャーナリスト 元TBS記者 元JNN北京特派員 中国情勢に精通 小渕内閣以降の歴代政権を取材 愛称は「国会王子」

都議会議員選挙で支持を集めたのは?

 6月22日に行われた都議会議員選挙の結果を見ていきます。

 まず与党では、自民党は9議席減で21議席。これは議席数が過去最低で、「政治とカネ」の問題や選挙前の給付金で信頼が低下したのではないかとみられます。公明党も4議席減で19議席。都民ファーストの会と協力し自民党との選挙協力を緩めるも9回連続全員当選にはならず、36年ぶりに落選者(3人)が出る結果となりました。
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 一方、都民ファーストの会は5議席増で31議席とし、4年ぶり第1党に返り咲きました。自民党との距離感や「水道無償化」などのうまい演出がありました。一方、自民党は「2万円給付案」を直前に出しましたが、伸ばすことができませんでした。この差について武田一顕氏は「政治に大事なのは“タイミング”」としています。

 そして、野党第1党はこれまで共産党でしたが、今回は立憲民主党になりました。国民民主党は9議席増と、0議席からの大躍進でした。「手取り手を増やす」はさまざまな批判もはねのけたのでしょうか。しかし、11議席取ると、独自に条例の提案権があるため、国民民主党はそこも目指していましたが、届かずでした。日本維新の会は候補者6人が全員落選。新たな台風の目かともいわれていた、石丸伸二氏が代表の再生の道は立候補者42人が全員落選という結果となりました。

都議選の結果はこのあとの参院選を占う?

 今年は12年に1度、都議会議員選挙と参議院議員選挙が重なる年で“巳年選挙”と言われています。

 なぜ、都議会議員選挙の結果がほぼ参院選に影響してくるだろうといわれているのか?それは“データの数”です。情勢調査や世論調査の規模は数千人~多くて1万人程度。一方、今回の東京都議会議員選挙は、有権者数1155万人、投票率47.59%。これは約550万人の意思表示があったということです。

 これまでの“巳年選挙”の結果をみると、1989年は土井たか子氏率いる社会党(当時)の“マドンナ旋風”、2001年は自民党の“小泉フィーバー”、2013年はアベノミクスでの自民党大勝など、都議会選挙がそのまま参院選結果にも表れていることがわかります。

「自民党には底力がある」どうなる参院選

 これらの結果を受けて、参院選はどうなっていくのでしょうか?

 与党が過半数の125議席をとるには50議席以上が必要です。これについて武田一顕氏は「自民党・公明党は減るとは思うが、50議席はさすがにとるのではないか?」とした上で、今回の都議選の“大敗”をみると厳しくなる可能性もあるとの見方も。しかし、“ホンネ”は「でも自民党には底力がある」。7月の参院選までにどう統制を回復してくるのでしょうか。

 そして、自民党に入れたくないという人たちが一定数いるとしたら、その“受け皿”は都議選では「都民ファーストの会」でしたが、参院選では「立憲民主党」や「国民民主党」になるのではないかとみられます。
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 元厚生労働省キャリア官僚で行政学者の神戸学院大学・中野雅至教授は、「国民民主党がやっぱり強い。あれだけ失言があっても、物価高の苦しみがどれだけ強いのかというのはわかると思うんですよ。特に食料品。すごく高いのでそこは玉木さんすごく捉えていて。前の衆院選と同じような結果になって、自民党が減って立憲民主党もそれほど勝てなくて国民民主党が9議席はすごい。あと参政党。インバウンドでたくさんの人が来ている中で、参政党は底流に流れる空気をけっこう掴み取ってる組織制度でもっと伸びてくる可能性あるのではないかなと個人的には思う」とコメントしています。

 7月20日の参院選、どうなるのでしょうか。