第97回選抜高校野球大会も9日目、準々決勝4試合が行われました。

【智弁和歌山vs広島商】鮮やかな攻撃で智弁和歌山が先制点を奪う

 近畿勢で唯一のベスト8進出を果たした智弁和歌山(和歌山)は、第3試合に登場、2回戦で近畿大会優勝の東洋大姫路(兵庫)に勝利した広島商(広島)と対戦しました。

 中谷仁監督が、「今大会は、試合開始からいい集中力が出せている」と語った智弁和歌山のエース・渡辺颯人投手が、広島商の1回表の攻撃を抑えると、その裏、いきなり打線が爆発します。

 1アウト1塁から3番・山下晃平選手が、レフトフェンス直撃のタイムリースリーベースヒットを放つと、4番・福元聖矢選手もライト前へ痛烈なタイムリー。広島商の先発、大宗和響投手から目の覚めるような打球の連続で2対0とリードします。

「チームを勝たせるのが1番の役割」智弁和歌山のエース・渡辺投手が無失点の好投

 2回に入っても、智弁和歌山の勢いは止まりません。今度は、1アウト1塁3塁のチャンスに9番・黒川梨大郎選手が、見事にスリーバンドスクイズに成功。追い込まれた状況から確実にスクイズを決めた黒川選手に、中谷監督は「日頃から本当によく練習している選手。やってくれると信じてサインを出した」と信頼を寄せていました。

 さらに2アウト2塁3塁から、2番・奥雄大選手がライトへの2点タイムリーヒット。智弁和歌山は序盤から強打だけでなく小技も絡めた攻撃で5対0と大きくリードを奪います。

 守っては、「チームを勝たせるのが1番の役割」と話したエース・渡辺投手が、7回までは、広島商にチャンスらしいチャンスをつくらせない安定感抜群のピッチング。疲れの見えはじめた8回こそ2人のランナーを許すピンチを招くも、しぶとくくらいついてくる広島商の反撃をきっちりと迎えて、抑えの宮口龍斗投手につなぎました。

 8回裏にも2点を加えた智弁和歌山、7対0の快勝で準決勝進出です。

【浦和実vs聖光学院】リードを許していた聖光学院がひと振りで同点に

 続く第4試合は、1回戦で滋賀学園(滋賀)、2回戦で東海大札幌(北海道)と強豪校を次々と撃破してきた初出場の浦和実(埼玉)と名門・聖光学院(福島)の対戦。この試合も浦和実が終盤にミラクルをみせました。

 序盤から好調な打線が奮起した浦和実。3回に見事な集中打で3点を奪うなど、6回までに4対1とリードします。

 しかし6回裏、聖光学院は、2アウト1塁2塁のチャンスをつくると5番・細谷丈選手が、レフトポール際へ起死回生のスリーランホームラン。ひと振りで4対4の同点に追いつきます。

タイブレーク突入後に浦和実打線が大爆発!「自分のミスを生徒たちが取り戻してくれた」と辻川監督

 2回戦では、先発した駒木根琉空投手をエース・石戸颯汰投手が5回から引き継いで終盤の大量点につなげた浦和実。この試合は、継投のタイミングが少し遅れてしまいました。

 それでも石戸投手は慌てません。同点の場面での登場となった7回からは、同じく7回途中からマウンドに上がった聖光学院のエース・大嶋哲平投手とともに、相手の攻撃を淡々と抑え込んでいきます。試合は4対4のまま延長戦へ。そしてタイブレークに突入した10回、ついに浦和実打線が大嶋投手を捉えます。

 浦和実の辻川正彦監督が「自分の(継投の)ミスを生徒たちが取り戻してくれた。すごい選手達です」と語ったように、6番・工藤蓮選手の内野安打でノーアウト満塁とチャンスをひろげると、7番・橋口拓真選手がセンター前へ勝ち越しのタイムリーヒット。さらに8番・深谷知希選手が左中間を破る走者一掃のタイムリースリーベースを放ちました。この後も次々と得点を重ねて、この回打者一巡の猛攻で一挙8点を奪って勝負を決定づけました。

 石戸投手は、10回裏の聖光学院の攻撃も無得点に迎えて12対4。3試合で合計18イニングを投げて未だ無失点を続ける好調なエースと共に、浦和実の快進撃が止まりません。

健大高崎と横浜が28日の準決勝へ!

 そのほかの試合、第1試合では、エースの石垣元気投手が、甲子園最速の155キロを連発するなど復活をアピールした健大高崎(群馬)が花巻東(岩手)に9対1と快勝し、連覇に向けて、また一歩前進しました。

 もう1試合は、1対1の同点で登板した6回に横浜のエース・奥村頼人投手が、西日本短大付の3番、4番、5番の中軸打者を3人連続3球三振に抑える圧巻のピッチング。この投球で試合の流れを引き寄せた横浜が直後に勝ち越し、その後も得点を加えて5対1で快勝しました。

 準決勝の組み合わせは、以下のとおりです。

 第1試合は、大会連覇を狙う健大高崎と公式戦18連勝中の横浜が激突。石垣投手と奥村投手の対決にも注目が集まります。第2試合は、投打ともに好調の智弁和歌山と、ミラクルを起こし続けている浦和実の対戦。初対戦では、どのチームも攻略ができていない石戸投手に対して、智弁打線がどう対応するのかにも注目が集まります。

【準決勝組合せ】
健大高崎(群馬) 対 横浜(神奈川)
智弁和歌山(和歌山) 対 浦和実(埼玉)