高校ラグビー、春の日本一を決める選抜大会。2回戦は8試合が行われ、ベスト8が出そろいました。
<京都工学院vs中部大春日丘>驚異の底力を見せた“再逆転劇”
近畿大会で天理との激闘を制し今大会の出場権を手にした京都工学院(京都)と、東海大会で圧倒的な強さを見せた中部大春日丘(愛知)。ともに1回戦を圧勝した両チームの対戦は、予想どおりの緊迫した展開となります。
先手を取ったのは、風上の京都工学院。開始からテンポよくボールをつないで敵陣深くまで攻め込むと、前半7分、SO杉山祐太朗選手のキックパスをキャッチしたFB市田愛歩選手がうまくディフェンスをかわし、最後はフォローしたFL永岡玖遠選手がトライ。5点をリードします。
一方、FW陣で圧力をかけながらも、京都工学院の粘り強いディフェンスの前に、なかなかチャンスをものにできなかった春日丘。チャンスを逃したかと思われた後の19分、一瞬のスキをついて反撃します。相手ボールのラインアウトがこぼれたところに素早く反応したSH荒木奨陽選手が50m以上を1人で走ってトライ。5対5の同点に追いついて前半を終了します。
サイドの変わった後半も、先に得点したのは京都工学院。後半開始から勢いよく攻め込むと、4分に市田選手がPGに成功し、8対5と3点のリードを奪います。しかし、春日丘も譲りません。しぶといディフェンスで京都工学院の勢いを食い止めると、残り時間が少なくなってきた後半22分、相手スクラムにプレッシャーをかけ、目の前にはゴールポスト、トライエリアまで残りわずかという絶好の位置でペナルティーを奪います。この場面での春日丘の選択はスクラム。同点のPGを狙わず、強みをもつスクラムで勝負します。そして25分、スクラムを押し込んだ後、LO坪ルーター海飛選手がサイドを突いてトライ。ゴールも決めて、ついに12対8と逆転します。
それでも、このまま終わらないのが、「信は力なり」の伏見工の伝統を受け継ぐ京都工学院。ここから驚異の底力を発揮します。直後のキックオフから全員が集中した動きで春日丘のペナルティーを誘い、敵陣深くの攻撃につなげると、ロスタイムに突入した後半33分、ミスなく連続攻撃を仕掛けて最後は途中出場の西田帆翔選手がトライ。息詰まる攻防に終止符を打ちました。京都工学院、13対12と劇的な再逆転劇でベスト8進出です。
<京都成章vs長崎北陽台>チームの完成度の高さを披露
京都勢のもう1校、近畿大会で強豪校を次々と打ち破り決勝進出を果たした京都成章(京都)は、九州のブロック大会を制した長崎北陽台(長崎)と対戦しました。
今シーズン好調の両チームの対決。接戦が予想されましたが、前半から京都成章が試合運びの上手さを見せつけてペースを握ります。開始6分、自陣深くから鮮やかなカウンター攻撃を仕掛けCTB森岡悠良選手が先制のトライを奪うと、10分にはグラウンドを広く使ったスピーディーな攻撃からWTB尾関仁選手がトライ。この後さらに1トライを加え、前半だけで17対0と大きくリードを奪います。
後半に入っても、京都成章の勢いは止まりません。後半4分にPR辻子倫太朗選手が、あたりの強さと縦への推進力を見せて、タックルを引きずりながら後半最初のトライを奪うと、10分には、途中出場の米本啓太朗選手が、密集サイドを素早くついて追加点となるトライ。終わってみれば41対12。チームとしての完成度の高さを披露した京都成章が、1回戦の目黒学院(東京)に続き、強豪校をなぎ倒して準々決勝進出です。
<そのほか近畿勢>常翔学園は終盤の追い上げも及ばず敗退
そのほか、近畿勢では、大阪桐蔭(大阪)と御所実(奈良)が準々決勝進出。東福岡(福岡)は、関西学院(兵庫)から前後半合わせて8つのトライを奪う破壊力を見せて快勝しました。
また、常翔学園(大阪)は関東大会の王者・桐蔭学園(神奈川)に前半終了間際まで互角に渡り合うも、前半終盤の攻撃を防ぎ切れずリードを許し、その後は突き放される苦しい展開。終盤の追い上げも及ばず、惜しくもベスト16で姿を消しました。
<2回戦結果>(3月25日)
東福岡 56-21 関西学院
桐蔭学園 46-33 常翔学園
大阪桐蔭 60-7 筑紫
御所実 46-12 大分舞鶴
京都工学院 13-12 中部大春日丘
佐賀工 27-0 尾道
京都成章 41―12 長崎北陽台
東海大相模 54-14 高鍋
<準々決勝組合せ>(3月27日)
ベスト8進出校決定後に抽選が行われ、準々決勝の組み合わせが決まりました。神奈川と京都の両雄がそれぞれ激突します。
御所実 対 佐賀工
桐蔭学園 対 東海大相模
大阪桐蔭 対 東福岡
京都成章 対 京都工学院