開催中の大阪・関西万博。5月21日はオランダの「ナショナルデー」です。そこで披露された「ダンス」に挑戦した親子に密着しました。

 大阪市に住む森田登代子さん(76)。1人娘のかずよさん(47)は、生まれつき背骨が曲がる、手の指が少ないなどの障害があります。

 宝塚歌劇に憧れたかずよさん。大学生のころから演劇やダンスの世界にのめり込み、東京パラリンピックの開会式でダンスを披露するなど、現在は俳優、そしてプロのダンサーとして活躍しています。

 かずよさんに声をかけられた登代子さんが今回挑戦するのが「インクルーシブダンス」です。オランダが大阪・関西万博のナショナルデーで披露するもので、障がいの有無・年齢・国籍などを問わず様々な人が同じダンスを踊り、多様性を尊重するオランダ文化を表現します。

 今年3月、本格的な練習が始まりました。今回のインクルーシブダンスは「親子で参加すること」が条件。かずよさんと同じ障がいのあるプロダンサーで、小学1年生の娘と参加している男性もいました。

 参加者の多くがプロのなか、ダンス初心者の登代子さんは動きが遅れる場面も。

 (森田登代子さん)「『かずちゃん、話違うやん』って。普通のおばちゃんが出るって聞いたのに」

 ダンススタジオでも自主練習を続けますが、プロダンサーのかずよさんから厳しい指導が。

 (かずよさん)「ママ、その手の出し方あかんて。せめてこっち向いてから上げて。何のために上げた?」

 本番8日前には、オランダから参加するダンサーも、練習に合流しました。

 (演出・振付 松岡大さん)「“いなくなってしまった子をぼう然と憂う”みたいなことを考えています」

 子が成長するなかで、親も子も感じる葛藤や、一生切れることのない親子の絆をダンスで表しているといいます。

 (森田登代子さん)「生まれたときのショックを思い出すから。(かずよさんが)重度障がい者やという」

 そして迎えた、本番。オランダ本国から来日したウィレム・アレクサンダー国王が見守ります。

 登代子さんとかずよさん。親子で無事、最後まで踊り切りました。

 (森田かずよさん)「母は初めてなので大変だっただろうなってすごく思います。大きな失敗なく本番を迎えられてすごく良かったなと」

 (森田登代子さん)「私にしたらパーフェクト。本当にいい経験させていただいたなと思って。ちょっと言葉では言いがたい(うれしさがある)。それが次の自分の生き方にプラスになればと思っているんですけど。88点くらいで。末広がりで止めときたい。フフフ」