『万博』といえば思い浮かぶ“あの建造物”が重要文化財に指定されます。
大阪の万博記念公園にそびえたつ『太陽の塔』。訪れた外国人観光客からは「歴史的だし美しい。見たいと思った」といった声も聞かれます。5月16日、国の文化審議会は重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申しました。
太陽の塔は、1970年の大阪万博のシンボルとして芸術家・岡本太郎さんがデザイン。内部にある『生命の樹』で生き物の進化を表現するなど、独創的な建造物です。閉幕後、内部は非公開となり、老朽化が進んでいましたが、2016年から計18億円をかけて再生。2018年に現在の姿となり、一般公開が始まりました。そしてその年には…
(大阪府 松井一郎知事※当時 2018年)「1970年の万博のレガシーである太陽の塔が2025年、55年後に世界遺産になるのはロマンがある」
当時の松井知事が、現在開催中の大阪・関西万博に合わせて世界遺産の登録を目指す方針を表明。太陽の塔の文化的価値を高めるため府と大学教授らが調査を続け、去年11月、文化庁に対し技術面などを評価する調査報告書を提出していました。
府によりますと、今年秋ごろに重要文化財に指定される見通しだということです。
また、琵琶湖から京都市に水を運ぶ『琵琶湖疏水施設』が国宝に指定されることになりました。
国宝に指定されるのは5つの遺構で、このうち明治23年、1890年につくられた『第一隧道』は琵琶湖から船を進めると最初に見えるトンネルで、全長約2.4kmあります。また、南禅寺の境内にあるレンガ造りのアーチを用いた『南禅寺水路閣』や、約36mの高低差を克服するため船を台車に乗せ運んだ京都・蹴上にある『インクライン』も国宝に指定されることになりました。
国の審議会は「世界的に高い評価を得た類い希なる構造物で、明治日本における都市基盤施設の金字塔」と評価しています。
(琵琶湖疏水記念館 吉田武弘さん)「歴史的な遺産であり、同時に現役の施設でもある。水という人間にとってかかせないものでつながっている。歴史と今がつながる場所」
(京都市 松井孝治市長)「先人の努力の結果、産業発展、文化的発展の礎になったのが琵琶湖疏水に関するさまざまな施設。より幅広い方々に知っていただきたい」
明治時代以降の土木構造物が国宝になるのは今回が初めてです。