芸術家の岡本太郎さんがデザインした大阪万博のシンボル「太陽の塔」が、国の重要文化財に指定されることになりました。

「太陽の塔」は1970年の大阪万博のために制作。閉幕後は非公開となり老朽化が進んでいましたが、2011年の「岡本太郎さん生誕100年」をきっかけに、2016年から総額18億円をかけて再生。2018年2月に工事が完了し、現在の姿に生まれ変わりました。

2018年当時の松井一郎知事が現在開幕中の大阪・関西万博に合わせて、世界遺産の登録を目指す方針を表明していました。そのため「太陽の塔」の文化的価値を高めるべく府が動き出しました。

そして、5年前の2020年に登録有形文化財に登録され、その後も大学教授らとともに調査を続けて、去年11月に文化庁に調査報告書を提出していました。

報告書は、「岡本太郎氏が思い描いた複雑な形状を高さ約70メートルというスケールの建築物として、当時最先端の技術が結集されたこと」に着目。

一体に見える塔の中で、胴体上部と腕は「鉄骨造」、胴体中央は「鉄骨鉄筋コンクリート造」、胴体下部は「鉄筋コンクリート造」と、構造を使い分けている点などを評価したうえで、「わが国の国土景観のうえで象徴的な意味を持ち、同時に文化的な景観として価値を有する」としました。

こうした報告書の内容について、国の文化審議会は16日、「重要文化財として相当」と判断し、「太陽の塔」を重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申したということです。

そして、琵琶湖から京都市に水を運ぶ「琵琶湖疏水施設」が、明治時代以降の土木構造物として初めて国宝に指定されることになりました。

国宝に指定されるのは5つの遺構で、1890年につくられた全長2.4キロの「第一隧道」、レンガ造りのアーチを用いた路橋「南禅寺水路閣」や、蹴上にある「インクライン」も国宝に指定されることになりました。

国の審議会は「世界的に高い評価を得た類希なる構造物で明治日本における都市基盤施設の金字塔」と評価しています。

今年秋ごろには正式に指定される見通しだということです。