明治以降の土木構造物が、初めて国宝に指定されることになりました。「人に欠かせない水で、歴史と今がつながる場所」と称された、琵琶湖疏水の遺構です。

国宝に指定されるのは琵琶湖疏水の5つの遺構です。

明治23年(1890年)につくられた全長約2.4キロの「第一隧道」

南禅寺の境内にあるレンガ造りのアーチを用いた「南禅寺水路閣」

約36メートルの高低差を克服するため船を台車で運んだ京都・蹴上の「インクライン」などです。

国の審議会は「世界的に高い評価を得た、類希なる構造物で明治日本における都市基盤施設の金字塔」し、京都の近代化に大きく貢献したことや、街の産業や文化を支えていることなどを評価しました。

琵琶湖疏水記念館の吉田武弘さんは、「歴史的な遺産であり、同時に現役の施設でもある。それが水という人間にとってかかせないものでつながっている。歴史と今がつながる場所」と評します。

また京都市の松井孝治市長は、「先人の努力の結果、京都の産業発展、文化的な発展の礎になったのが琵琶湖疏水に関する施設であることをより幅広い方々に知っていただきたい」と話しました。

琵琶湖疏水を流れる水は、京都市の水道水の約99%を賄い、かつて物資を運んでいた船が、観光船として70年ぶりに復活するなど、近年は観光資源としても活用されています。

いっぽう、大阪府吹田市の万博記念公園にそびえたつ「太陽の塔」。1970年大阪万博のシンボルが国の重要文化財に指定されることになりました。

芸術家・岡本太郎さんがデザインした独創的な建造物は、2018年当時の松井一郎知事が現在開幕中の大阪・関西万博に合わせて世界遺産の登録を目指す方針を表明。

大阪府と大学教授らが調査を続けて、去年11月文化庁に報告書を提出していました。

今年秋ごろには正式に指定される見通しだということです。