兵庫県の赤穂市民病院で起きた手術のミスをめぐる裁判で、執刀医らに約8900万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
▼腰の手術で「神経の一部切断」下半身にマヒ
訴状によりますと、兵庫県内に住む80代の女性は2020年1月、赤穂市民病院で腰の骨の治療を行うための手術を受けましたが、執刀医だった松井宏樹被告(47)に誤って腰の神経の一部を切断され、下半身に重いまひが残ったということです。
女性とその家族は、松井被告と赤穂市に対し、約1億4000万円の損害賠償を求める裁判を起こしました。
▼「上司に急かされよく削れるドリルに変えた」
松井被告はこれまでの裁判で、「技量不足は否めない」とした一方、「上司の医師に急かされて、よく削れるドリルに変えたことが最大の原因」などと主張していました。
▼8900万円の賠償命じる「経験ある医師に危険を感じさせるもの」
14日の判決で、神戸地裁姫路支部は、14日の判決で神戸地裁姫路支部は、松井被告の手術のスキルは「経験のある医師に危険を感じさせるもので、注意義務違反の程度は著しい」としたほか、女性らが事故の調査内容を開示するよう求めたのに対し病院側が対応に時間がかかったことなどを踏まえ、「原告らの立場・心情に十分に配慮し迅速に説明を尽くしたと評価するには不足がある」などとして、松井被告と市に対しおよそ8900万円を支払うよう命じました。
▼原告代理人「医療過誤でここまでの判断はあまりない」
判決後に原告側の代理人弁護士は「基本的なことができていなかったからこそ起こった事案だと裁判所も認めたと認識しています。医療過誤でここまで判断されることはあまりないのかなと思っています」などと述べました。
▼別手術でも医療事故
松井被告をめぐっては、この手術について去年12月、業務上過失傷害の罪で在宅起訴されているほか、2019年から約半年間に担当した手術で、2人が死亡、6人に障がいが残る医療事故が発生しています。