「建設費未払いで会社がいつ潰れるかわからない」開幕1か月となる大阪・関西万博の海外パビリオンの建設に携わった建設会社の悲痛な訴えです。
▼下請け業者 終盤なるにつれ‥「急に支払い滞った」
未払いを訴えているのは、関西にある中小規模の建設会社のA社。参加国が独自に建設するタイプAパビリオンの建設工事を、海外に本社を置く外資系元請け業者Xから受注した1次下請けです。
(海外パビリオンの1次下請け業者A)「工事中盤に差し掛かって終盤になるにつれて、急に支払いが滞った。契約通りにそこからお支払いっていうのが実行されなくなって結局最後まで実行されないまま(建設工事が)完了したっていう形です」
▼未払い額は約8000万円「会社がいつ潰れるかわからない」
A社は契約金のおよそ40%と、仕様変更などでかかった追加工事費用が支払われておらず、未払い額は総額8000万円にのぼると主張しています。
A社は何度も元請け業者Xに支払いを求めたといいますが…
(A社)「(Xの責任者は)絶対大丈夫だから心配するな。何とかもうすぐ来週にでも振り込む、なんなら今すぐにでも振り込むっていう話をずっとされながら。実行されるって期待してたのが。来週になっても再来週になっても、月末になっても降りてこない。もう本当に会社がいつ潰れるかわからない」「ありえないことが実際に起こっている」
現在A社は、元請け業者Xに対し未払い金の支払いを求める民事訴訟の準備を進めているといいます。
▼3億円以上未払いの業者も「終わった途端に知りませんだった」
元請け業者Xからの未払いを訴えているのは、A社だけではありません。関西の建設業者B社は、別の2つの海外パビリオンでXの下請けとして工事を行ったものの、追加工事費の3億円以上が未払いだといいます。
(B社)「工事完成するまでは、(一部)払ってくれていたんすでよ。もう終わった途端に知りませんだったんで、わざとですよねって僕らにしたら」
B社は、当初の契約金は満額支払われましたが、途中で生じた工法変更などによる追加工事費用が、半分程度しか支払われておらず、B社のさらに下請けの業者への支払いもできていないといいます。
▼追加工事費未払いに元請け業者「精査に時間かかっている‥踏み倒そうとしていない」
下請け業者の訴えに、元請け業者Xはどのような見解をもっているのか。日本法人の事務所で取材に応じました。
A社への契約金について、元請け業者は「パビリオン引き渡しの際に(発注元の)国側からクオリティについてダメだしがあり、弊社が修正対応した部分や、完成が間に合わないと判断し、工事を肩代わりした部分がある。その費用を相殺すると支払える契約金は残らない」と述べました。
A社やB社に追加工事費を支払っていない件については、元請け業者は「精査に時間がかかっている。費用を踏み倒そうとしているわけではなく、違法行為は一切していない」としました。
▼伊東大臣「参加国に責任ある対応とるよう働きかける」
13日朝、万博を担当する伊東大臣に未払いトラブルに対する見解を尋ねると…
(伊東良孝万博担当大臣)「契約上の問題は当事者間の話し合いで解決されるのが基本ではありますが、企業からいくつか類似の案件の声が上がっていることは認識をいたしております。政府としては、参加国に対し、事実関係を確認するとともに、責任ある対応をとるよう働きかけて参る所存であります」
▼博覧会協会「民間同士で関与できない」A社「非常に腹立たしい‥やらなければよかった」
運営主体の博覧会協会はA社の問い合わせに対し、「参加国が元請け業者に(工事費を)支払っていないというトラブルであれば参加国に指導できるが民間同士のトラブルであり関与することはできない」としています。
これに対しA社は、「ちゃんと国であったりとか政府であったりとか、協会であったりとかそういったところがきっちりヒアリングをして対応してくれるかなっていう期待はもってました。非常に腹立たしく(万博工事を)やらなければよかったって、やっぱり今でも思います」
万博工事で苦境に立たされる下請け業者たち。トラブルを抱えたままでは「命輝く未来社会をデザイン」することすらままなりません。