県の第三者委員会からパワーハラスメントを認定された兵庫県の斎藤元彦知事。5月12日、県幹部らとともにパワーハラスメント防止の研修を受講し、「長時間にわたる研修だったが大変充実した研修だった」と述べました。また、公益通報制度に関する研修も受講しましたが、“元県民局長の告発文書をめぐる県の対応は適切だった”という従来の姿勢を改めて示しました。
▼第三者委が知事のパワハラ行為を認定
斎藤知事のパワハラなどの疑惑を調査してきた兵庫県の第三者委員会は、今年3月に報告書を提出。
▽エントランスの約20m手前で公用車を降りることを余儀なくされた際に出迎えた職員を叱責した行為や、▽プレミアム付きデジタル券「はばたんPay」のキャンペーンのうちわを見た際に自身の写真やメッセージがない点を不満に思い舌打ちした行為 など10件の行為を「パワハラ」と認定したほか、元西播磨県民局長(去年死亡)の告発文書をめぐり、知事が告発者特定を職員に指示した行為を「公益通報者保護法に反し違法」と結論づけました。
斎藤知事は「報告書は重く受け止める」としつつも、「告発文書は誹謗中傷性の高い文書だった」という姿勢を崩していません。
▼研修の正式名称は「風通しの良い職場づくりのための県幹部職員研修」
こうした状況の中、斎藤知事は5月12日午後、パワーハラスメント防止に関する研修を受講しました。県財務部の県政改革課は去年12月、研修の実施・受講を求めていましたが、4か月以上経っての受講となりました。これまで、斎藤知事は「放置していたわけではなく、年度内は多忙だった」と説明していました。
研修の正式名称は「風通しの良い職場づくりのための県幹部職員研修」で、12日は知事以外の県幹部約120人も受講しました。12日に受講しない約80人の県幹部も後日オンラインで受講するということです。
12日の研修では、アンガーマネジメントについて斎藤知事と副知事がロールプレイング形式で研修に取り組む場面などがありました。
▼斎藤知事「風通しの良い職場作りに向け、職員とのコミュニケーションが大事」
研修を終えた斎藤知事は12日午後5時半すぎ、記者団の取材に応じ、「長時間にわたったが大変充実した研修だった」としたうえで、「職員とのコミュニケーション、傾聴することの大切さ、職員含めた考えや意見をしっかり聞きながら、その上で自分はこうして欲しいと伝えることが風通しの良い職場作りにとって大事だと痛感した。胸に刻んで頑張っていきたい」と話しました。
Q. 研修を終えての率直な感想をお願いします。
「長時間にわたる研修でしたが、大変充実した研修だったと思っています。講演いただいた先生には感謝申し上げたいと思っています」
▼“元県民局長の告発めぐる県の対応は適切だった” 改めて強調
Q.公益通報に関する研修も受けられて、制度に関する説明もかなり丁寧にされたと思いますが、あらためて昨年の告発文書問題での一連の県の対応については問題なかったという見解に、変わりはないですか?
「そちらについては、これまでの会見などで述べさせていただいた通りです。きょうは先生から公益通報制度の意義や狙いの重要性を説明いただきました。特に内部通報が事業者としてしっかり通報しやすい環境を作っていくことなど、そういった適切な運用をやっていくことが大事だということをご教示いただいた。それから改正法の趣旨を踏まえて、しっかり公益通報制度の適切な運用についてやっていくことが認識できてよかったと思います」
Q.3号通報(外部通報)についての取り扱いも先生は強調されたと思うが、それを踏まえて、告発文書問題での対応に問題はなかったとお考えでしょうか?
「そうですね。これまで会見等で述べさせていただいた通り、県の対応としては適切だったと考えています」
▼「傾聴するということの大切さを痛感」
Q.第三者委が認定したパワハラと照らし合わせて、“あの時どういう行動をすべきだったな”などの思いはありますか?
「やはりきょうの研修で非常に強く感じたことは、職員の皆さんとのコミュニケーション、相手の意見に耳を傾ける、傾聴するということの大切さ、そして職員を含めた考えや意見をしっかり聞きながら、その上で自分はこのようにして欲しいと伝えていくことの大切さが、本当にこれから風通しの良い職場作りに向けて大事だと痛感しましたので、そこをしっかり自分自身も胸に刻みながら頑張っていきたいと思っています」