5月7日、農林水産省が発表した全国のスーパーで販売されたコメ5kgの平均価格は、4233円。17週連続の値上がりとなり、過去最高値を更新しました。

 備蓄米が放出されているにもかかわらず、値上がり幅も先週に比べ12円と、大きくなっています。コメをもっと生産して、国内の流通量を増やせば、値上がりもおさまると考えられますが、そう簡単にはいきません。

 東京商工リサーチが4日発表したのが、コメ農家の倒産や休廃業の件数です。統計を始めた2013年から右肩上がりで、去年1年間では過去最多の89件となりました。コメを作ってくれる農家の“廃業”が増えている現実。

 実際に農家を取材すると、そこにはさまざまな苦労が…。滋賀県近江八幡市、コメ農家の2代目・三宅寛穂さん(53)を訪ねました。

 (三宅寛穂さん)「いまうちが、コメを作付けしているのが、27ヘクタール」

 甲子園球場約7個分という広さ!この広大な面積で田植えなどの作業を行うとなると、家族総出でも人を雇わざるをえないといいます。

 (三宅寛穂さん)「思っているより重労働なので、意外と続く人が少ない。続けてもらおうと思うと、ある程度(給与を)払わないと、やっぱり人は動いてくれない」

 人件費に加え、コロナ明けで高騰したものも。

 (三宅寛穂さん)「何もかも高騰しているんですけど、その中でも機械が2割増しくらいの値段になっていて。でも機械が無いと仕事できないので、それを無理してでも買わなければならない。僕が所有している1900万円の稲を刈る機械。それが(いまは)2150万円に値上がりしている」

 この広さ分の肥料など、とにかくお金がかかるコメ作り。1年に1回しか収穫できないため、冬にはキャベツなどほかの野菜を育てることで、年間の資金繰りをしていて、休みはないといいます。さらに収穫も、うまくいくとは限りません。

 (三宅寛穂さん)「(Q台風や異常気象の影響は?)夏の台風、稲の花盛りのときに台風が来ると収穫量が落ちる。あとは(最近の)地球温暖化の影響の干ばつ。でもそれは自然相手なので、僕らがどうもできない問題」

 “コメ不足”と言われている今の状況を、とても歯がゆく思っているという三宅さん。

 (三宅寛穂さん)「僕はまだ53なんですけど、僕ら世代もまあまあいるんですけど、僕の一回り上とかも多いですし、後継者のいない地区ではそういう(高齢化問題)もあると思う。いきなり『収穫量を上げろ』と言われても、僕らはいまが(金銭や体力的に)限界の状態でやっている中で、『これ以上生産量を増やせ』は無理な状態」

 本当はおいしいコメを、大勢の人に食べてもらいたいと話す三宅さん。

 (三宅寛穂さん)「ちょっとぐらいコメが上がってもらったほうがコメ農家としては(収入面では)助かる。でも消費してもらわないと(作っている)意味がないんで、もう少しだけ皆さんに我慢していただいて…という状況」