使用済みの食用油などで造られた次世代航空燃料「SAF」。5月1日から国産を旅客機に活用です。

 1日午前10時半、関西空港から中国の上海に向けて飛び立った旅客機。実はその燃料、従来のジェット燃料と違って“循環型”の航空燃料が使われています。

 その燃料とは、持続可能な航空燃料「SAF」。店舗や家庭などで発生する使用済みの食用油などが原料で、石油などから造る既存のジェット燃料と比べて二酸化炭素の排出量を8割以上削減できるという、環境にやさしい燃料なのです。

 ただ、このSAFを本格的に導入するには、多くの使用済みの食用油が必要となります。しかし、現状は家庭から出る油の多くが廃棄されています。

 そこで去年11月には堺市が、イオンモールなどに専用の回収ボックスを設置。買い物ついでの客がペットボトルなどに入れた使用済み油を次々と持ち込みます。

 (廃油を持ってきた人)「ちょっとでも役に立ったらいいなと思って。詰め替えるだけで持ってこられるので」

 当初は30程度だった参加自治体や企業は、今では200を超えるまでになったといいます。さらに今年3月には、その回収した油からSAFを製造する大規模な生産拠点が堺市に完成して稼働を始めるなど、実用化に向けてコストの低減や安定供給といった取り組みが着々と進んできました。

 そして5月1日、脱炭素社会を目的に、EUでは今年から燃料の一部に使用を義務付けられるなど、各国の航空会社でSAFの導入が進むなか、関空でもこの国産の航空燃料「SAF」の供給がスタートしました。旅客便への供給は全国で初めてです。

 (日本航空 小川宣子調達本部長)「2025年にJALの燃油使用量の1%。2030年に10%SAFに置き換える目標を持っています。この目標を達成するためには、便の半分は日本から出発しているので、日本で供給できるということに大きな意味合いを持っています」

 次世代航空燃料「SAF」の供給が本格化すれば、世界的に加速する気候変動などを抑制する航空業界の取り組みの一手となりそうです。