今年6月末ごろに中国に返還されることが決まった、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドのジャイアントパンダ4頭。ゴールデンウィーク最初の日曜日となった4月27日、パンダ舎の前は大勢のファンで大混雑でした。

 (来園者)
 「5月に入ったらたくさん来るだろなと思って、早めに急いで来ました」
 「この施設どうなっちゃうんだろう。もう泣きそうでした…というか泣きました」
 「悲しい」
 「子どもたちに大きくなってからもパンダ見せてあげたかった」

 パンダグッズであふれる園内の売店。ぬいぐるみや被り物が所狭しと並びます。

 (来園者)「急きょ、きのうの晩決めて、けさ(やってきた)。(これから)動いている結浜を目に焼きつけたいです」

 今や、白浜方面に向かう特急まで、パンダデザインになるほどの愛されぶりです。

 そんなパンダが日本に初めてやってきたのは1972年でした。日中国交正常化を果たすと、東京・上野動物園に「カンカン」と「ランラン」が友好の証として来日。公開初日にはその姿をひと目見ようと、全国から約5万6000人が来場。行列の長さは2kmにもおよんだといいます。

 (来園者※当時)
 「1匹は中に入って1匹は後ろ向きだったからよく見えなかった」
 「(Qパンダが見えたのは一瞬?)そうですね、足を止めると怒られるしね」

 その後もパンダは中国政府の使者として世界各国へと送られ、その様子は「パンダ外交」と評されました。一方で、中国に支払われる高額な「レンタル料」に苦言を呈した知事も…。

 (東京都 石原慎太郎知事※当時)「(パンダは)いてもいなくてもいいんじゃないの」

 専門家は「パンダ外交」について中国との関係性が影響すると指摘します。

 (東京女子大学 家永真幸教授)「特に2000年前後にアメリカに何か所か行っているんですよね。パンダのことがすごく好きな国で、経済力もあって中国との関係も密接な国にパンダが行っている。中国側が、もう日本は(パンダを)ゼロにしていいというふうに判断すればゼロなるのかもしれません」

 来年2月には上野動物園でも返還期限を迎えるパンダ。日本で見られなくなる日が近づいています。