模倣した宇治茶が中国で流通していた問題。京都の老舗の訴えは退けられました。

 訴状などによりますと、江戸時代中期に創業された宇治茶の老舗・丸久小山園は、自社が販売する『五十鈴』や『若竹』などの模倣品を、150年以上の歴史を持つ京都の別の会社A社が、3年ほど前から中国で流通させていたとして、模倣品の販売利益約7800万円の賠償などを求めていました。その模倣品の過去の販売サイトには…

 (記者リポート)「大きく宇治抹茶と書かれ、宇治で作られたように見えますが、産地を見てみると中国大陸と書かれています」

 これまでの裁判で丸久小山園は、模倣品を紹介していた過去の販売サイトには、中国産であるにもかかわらず『宇治抹茶』と記載があり、模倣品を宇治で作られた抹茶だと誤解する恐れがあると指摘。

 また、過去のA社の中国版の公式ホームページに販売サイトへのリンクが張られ模倣品の購入が促されていたことなどから「A社が中国の会社に模倣品を販売させていた」と主張していました。

 (丸久小山園・代表取締役社長 小山元也さん)「日本ではないところで作られたものが、宇治茶であるというふうに言われると、我々も本当に悲しくなるというか。業界全体でいま、宇治茶を守っていこうとしている中で逆行するような行為なのかなと」

 これに対し、A社は模倣品への関与について、丸久小山園と話した時とされる音声データではこう主張していました。

 「僕らがやめてくれって言っていることを(中国の会社が)勝手にやっている」

 そして4月25日、京都地裁は判決で「問題の商品は中国企業によって製造され、主に中国で販売されていたと推認される。しかし、原告の商品の価値が下がったりするなどして日本の顧客を喪失するとはいえず、営業上の利益が侵害されるとはいえない」として丸久小山園側の訴えを棄却しました。

 丸久小山園は「判決については極めて遺憾で、速やかに控訴の手続きをする方針です」とコメントしています。

 A社は「判決が届いていないのでコメントは控える」としています。