阪神タイガースは5月5日~11日に5試合を行い、巨人に2勝1敗、中日に2連勝。4勝1敗(雨で1試合中止)とし、5月12日時点でセ・リーグ首位に立っています。2位の巨人とは1.5ゲーム差。チームの「投打のカギ」となった選手を、元阪神タイガースの投手・能見篤史さんが解説しました。

【石井投手】復帰後すぐに1対0の場面で登板「信頼の証」

 まず能見さんが投手で注目したのは、石井大智投手。4月30日に体調不良で登録抹消されましたが、最短10日で11日の中日戦にて復帰。この復帰のタイミングもよく、緊迫した場面で登板させたのも藤川球児監督らしい采配と能見さんは話しました。

 能見篤史さん「リリーフ陣で故障が出て、何人か入れ替わっている中で、ぱっと戻ってきてくれたのでちょうど良かったと思います。元々の信頼度は抜群にいいので。しかも1対0の場面ですぐ使うというのは、信頼の証なんですよ」

―――普通は違う場面で登板させる?

 能見さん「試合間が開いているので、ちょっと試運転で1試合投げて、いけるのであれば通常通りに戻りましょうというのが多いんですが、1対0のこの場面で『はいどうぞ』と。ここはやっぱりすごいですね」

―――石井投手の良さは『まっすぐ』のようですね。

 能見さん「150キロ、そこまで出るわけでもないんですが、質が良いボールを投げられるのが石井投手。スピン量もありますし、強さという部分では、バッターは打席に立たないと感じられないものがあります。見てるだけではわからない。そしてそのボールの再現性もすごく高い投手だと思います」

【中野選手】チーム好調の立役者「自分を疑わず打席に立てている」

―――そして、野手で注目されたのは不動の2番打者・中野拓夢選手。現在打率.304(セ・リーグ4位)、出塁率は.389(セ・リーグ2位)となっています。

 能見さん「1番の近本光司選手か2番の中野選手どちらかが塁に出るんですよ。そしてどちらかが必ず2塁に行っているんですね。これは相手からするとずっとプレッシャーがかかるんです。そして続く森下翔太選手、佐藤輝明選手が打つ。となると、投げている側からするとしんどい。毎回1番、2番で塁をにぎわせてくれるので、クリーンアップの打点も高くなってくる。ここの重要性っていうのは、特に中野選手は抜群です」

―――去年より今年の方が打てている要因は?

 能見さん「心境の変化ももちろんあったと思いますし、バットもいろいろ変えている影響ももちろんあるんですけど、やっぱりそれで結果が出るっていうところで、疑いを自分でなくしていけている。心の余裕を持って打席に入れていると思います」