阪神タイガースは4月15日~20日に5試合を行い、ヤクルトに2連勝、広島に1勝2敗の3勝2敗で、4月21日時点でセ・リーグ2位。首位の広島とは1.5ゲーム差となっています。20日の試合で2本のホームランを打った佐藤輝明選手の打撃のポイント、そんな佐藤選手の好調をキープするために必要なことをミスタータイガース・掛布雅之氏が解説しました。
佐藤輝明選手が大活躍 ポイントは『右の腰を開くタイミング』
―――20日の広島戦では、佐藤輝明選手が『甲子園チーム第1号』と両リーグトップとなる7号ホームランという2本のホームランを打ちました。
「左バッターが甲子園のレフトへ打つとなると、右足をステップして右の腰をちょっと開くんですよ。開いてボールと体の距離を作って、バットの通り道を作ってあげる。その右の腰を開くタイミングが佐藤選手がわかってきている。だからバットが体の前を通過して、ボールの下にバットが入って良いスピンがかかって、浜風を“友達”にしてあそこまでの飛距離を出した。右の腰を開くタイミングがすごく良くなった」
「これに対し、相手がどうするかとなると、絶対にインコースを攻めてくるんですよ。インコースは開くと打てませんから。佐藤選手が、苦手なインコース高めのボールを手を出さずに見極め、打てるゾーンを崩さなかったら、あのコースは限りなくホームランの数を増やすゾーンになります。ただ、インコースを意識させられて、インコースのボールを振りにいってしまうと、(打てるゾーンの)ボールが遠くなるんです。バットが届かない。インコースのボールへの対応が、これからの大きなポイントになると思います」
「もうちょっと藤川監督が我慢をして…」
―――掛布さんが気にかけていることが、『大山悠輔選手の状態』と『木浪聖也選手の起用法』だと。
「まず、大山選手の状態が悪いと、相手チームの佐藤選手への攻めは厳しくなります。四球を出してもいいからとどんどんインコースを攻めて、佐藤選手を崩しにくると思うんですよ。大山選手の状態が上がれば、四球で佐藤選手を塁に出せなくなりますので、佐藤選手の状態はキープできます。これからの佐藤選手の状態をキープするためには、先ほど言ったインコースのボールへの対応と大山選手の状態が上がってくるかですね。これが打撃タイトルにつながってくると思います」
―――開幕のスターティングメンバーの打順は佐藤選手が3番でした。ただ、15日の試合でこれが変わりました。森下翔太選手が3番で、佐藤選手が4番。
「もうちょっと藤川球児監督が我慢をして、“3番佐藤”という形で今の佐藤選手の状態だったら、『バースの再来』と言われます。それぐらい破壊力のある3番バッターが誕生していたかもしれない。だからこの打順を崩すのが早かったんじゃないか。もっと我慢しても良かったんじゃないかなと思うんです」
エラーした選手の『その後の起用法』
―――そして、木浪選手の起用法。17日の試合でエラーがあり、その次の日はスタメンを外れました。エラーの翌日にチャンスを与えるという方法もあったのでは?
「僕も3つエラーをしたことがあるんですよ。その試合終了後に担当コーチから『あしたもスタメンでいくからな』と伝えられました。うれしいんですよね。ここでスタメンを外れると、『エラーをしたから外された』になるんですよ。その後、スタメンで起用されても、『エラーしたらまた外される』という怖さしかないままスタメンに戻るんです。そして19日に3失策」
―――スタメンを外れるときは理由を言ってもらえるんですか?
「言ってくれていると思いますが、僕は田中秀太内野守備走塁コーチや藤本敦士総合コーチが藤川監督に『18日も木浪をスタメンで使ってください』と、『木浪の力は優勝するために絶対必要な力だから使ってください』ということを言ってほしかったです。精神的に追い込まれますと、投げるのも怖くなってイップスになりますから」