春夏通算12回の甲子園出場を誇る古豪・滝川高校(兵庫)に、プロ注目の二刀流右腕がいる。エースで4番、チームを引っ張る新井瑛太投手(新3年)だ。明石ボーイズ時代は外野手だった新井だが、肩の強さを買われて高校1年の秋に投手に転向。当初ストレートは最速140キロだったが、地道なトレーニングを重ねてどんどん速くなり、2年春の県大会で151キロを計測した。ストレートの回転数も2400あり、プロの投手に匹敵する。
打者としても非凡な才能を持つ。明石ボーイズ時代は身長165センチ。2番か9番を打ち、小技が得意なタイプで本塁打も0本。それほど目立った存在ではなかったという新井。しかし高校では身長が15㎝近く伸び、さらにトレーニングによってパワーがついたことで、一気に中長距離打者へと成長。去年から導入されている低反発バットも苦にせず、現在高校通算13本の本塁打を放っている。
NPBを目指し独立リーグ・香川などでプレー経験もある近藤洋輔監督(43)は、新井の成長ぶりに「素材は今まで出会ってきた選手の中でも抜群にいい。私もびっくりするぐらい投手として成長している。打者としては、特に教えることがないくらい天性のものを持っている。」と目を見張る。
今年、高校最後のシーズンを迎える新井は、「投手としての課題は制球力。体幹トレーニングをしっかりして制球を安定させ、球速155キロを目指したい。打者としては味方が作ってくれたチャンスで打つことができる勝負強い打者になりたい。そして強豪校に勝って甲子園に行きたい」と目標を熱く語る。
近藤監督が「夢は大きくメジャーを目指せと言っている。可能性はまだまだ秘めている、驚くことばかりです」と期待する新井。伸びしろたっぷりの二刀流右腕が、高校最後にどんな進化をみせるのか、目が離せない。
「無限の可能性」を感じる新井、どんなビッグな選手になるのか「神さえ予想不能」
◆新井瑛太(あらい・えいた)
2007年10月26日生 兵庫県出身 179㎝78㎏ 右投左打
多聞東中(明石ボーイズ)~滝川高 滝川高では1年夏から兵庫県大会からベンチ入り。2年夏は県大会2回戦敗退。2年秋は県大会1回戦敗退。
50m6.2秒。遠投110m。趣味は温泉・サウナ。
【野球サイコー!取材後記】
まだまだ「無限の可能性」を感じる新井。この先、どんなビッグな選手になるのか「神さえ予想不能」
※「無限の可能性」「神さえ予想不能」…B’z「X」の歌詞
◆取材・文 金山泉(かなやまいずみ)
MBSアナウンサー。1982年6月5日生、新潟県上越市出身。野球とB’zをこよなく愛する。投手として首都大学リーグ2部で通算11勝(8敗)をマークした。