京都・花園大学から初めてのNPB選手誕生なるか――。最速155キロを誇るエース右腕の藤原聡大投手(新4年)は、今年のドラフト候補としてプロのスカウトから注目されている。大学ラストシーズンにかける思いを聞くため、筆者は京都へ向かった。(取材・文 MBSアナウンサー 金山泉)

身長177センチ、体重75キロ。引き締まった細身の体格から勢いのあるボールを投げ込んでいく。京都成章高を率いて1998年夏の甲子園で準優勝に輝いた実績を持つ花園大の奥本保昭監督(64)は藤原について、「もともとショートだったのでバネがあるし、フィールディングもいい。身体能力が非常に高い選手」と話す。

滋賀・水口高3年春にショートから投手に転向した。大学1年春のリーグ戦からベンチ入りを果たすと、大学1年秋には3勝を挙げて、京滋大学リーグ新人賞を受賞。大学3年秋には、明治国際医療大学戦でリーグタイ記録となる1試合18奪三振をマークし、連盟特別賞に輝いた。

高校時代は最速143キロだったストレートは、大学3年春に155キロに到達した。ここまで球速がアップしてプロも注目する投手に成長したのは、本人の地道な努力と研究熱心な姿勢、そして向上心を高く持って取り組んできたからに他ならない。

◆伊勢市の実家から京都へ 通学に1.5時間

藤原が「ダルビッシュ投手(パドレス)の軸足の使い方を参考にしています。そこに近づくように練習しだしてから球速が安定し始めました」と話すように、平均球速も常時140キロ後半をマークするようになった。

三重県伊賀市の実家から1時間30分かけて大学に通っている。支えてくれる家族への感謝の思いも強い。「母は毎朝5時に起きてお弁当を作ってくれている。両親が家の最寄り駅まで車で送ってくれることもあり、恩返ししたいという思いが強い」と話す。

大学ラストシーズンに向けて、「コントロールとベース盤上でのボールの強さを求めて練習をしている。そして、勝てる投手になるためにはゲームメイクする力であったり、投手としての総合力が必要になってくる。夢はプロ野球選手。応援される、目標とされる選手になりたい」と熱く語った藤原。

周りへの感謝の思いを胸に、花園大初のNPB選手となる。

◆「痛いくらい」のボールに「疑いない」才能を感じた

【野球サイコー!取材後記】
私が取材している際に、藤原投手の投げた球が、キャッチボール相手の橘木投手(新3年)のグラブを突き破った。相手が「痛いくらい」のボールに、藤原の「疑いない」才能を感じたワンシーンだった。
※「痛いくらい」「疑いない」…B’z「WOLF」の歌詞

◆藤原聡大(ふじわら・そうた)
2003年11月20日生 三重県伊賀市出身 177㎝75㎏ 右投右打
水口高で高3春の滋賀県大会ベスト8。甲子園出場経験はなし。花園大に進み、京滋大学リーグ通算12勝。大学2年時に全日本大学野球選手権大会出場。50m6.1秒。遠投115m。好きな食べ物はオムライス。趣味はゴルフ。

◆取材・文 金山泉(かなやまいずみ)
MBSアナウンサー。1982年6月5日生、新潟県上越市出身。野球とB’zをこよなく愛する。投手として首都大学リーグ2部で通算11勝(8敗)をマークした。