糸井嘉男や佐藤輝明(阪神)など、多くのプロ野球選手が生まれた近畿大学。大学創立100周年のメモリアルイヤーを迎えた今年も、ドラフト指名が期待される楽しみな選手が多い。投手では左右の両エースに注目した。(取材・文 MBSアナウンサー 金山泉)
北見「150キロを超えるストレートを投げたい」
右のエース・北見隆侑投手(乙訓=新4年)は、最速148キロのストレートと、チェンジアップ、スライダー、カットボールなど多彩な変化球を武器に、これまでリーグ戦通算14勝(4敗)をマークしている。
大学2年秋からカード初戦の先発を任されており、大学3年春のリーグ戦では4勝1敗、防御率0.51という成績で、関西大の金丸夢斗(中日ドラフト1位)を抑え、リーグ最優秀投手に輝いた。
光元一洋監督(50)は、北見について、「変化球の使い方がうまい。どのカウントでも勝負球でも変化球を投げられる。そして気持ちの強さも非常にある投手」と評価する。
このオフシーズン、北見は「ストレートの強さ」を追い求め、日々トレーニングに励んでいる。「上半身や下半身の柔軟性、肩甲骨の可動域に重点を置いて取り組んでいます。150キロを超える空振りを取れるストレートを投げたい」と話す。
今後の目標については「信頼される投手になりたい。そして春夏全国大会に出場し、日本一奪回に向けて頑張りたい。将来はプロ野球選手になって日本を代表する投手になりたい。」と力強く語った。
左エースの野口 キレあるスライダーに注目
左のエース・野口練投手(星稜=新4年)は、ボールの出どころが見えにくいフォームから投げられる最速147キロのストレートと、キレのあるスライダー、チェンジアップを武器としている。
リーグ戦では主にリリーフでマウンドに上がっているが、その理由について光元監督は「ショート、ロング、どちらでも行ける投手だが、彼は連投がきく。チームとしては彼が後ろにいてくれるという安心感がある」と話す。
去年の夏、大学日本代表に選出された野口。代表チームでプレーする中で、強く感じたことがあったという。「他の代表選手は、球の質、バネが違った。このままじゃダメだと思った。目標が明確になりました」と、自分自身を見つめ直す大きなきっかけとなった。
この冬は「今まで勢いに頼って投げていた。どれだけ体幹を使って、少ない力で強い球を投げられるか。球速よりも球の質を求めていきたい。」と課題に取り組む野口。「チームとしては春秋のリーグ戦で優勝し、日本一になりたい。夢はプロ野球選手一択です」と大学ラストイヤーの目標を語った。
北見、野口の勝利の方程式が、大学創立100周年の今年、チームを日本一に導く。
同級生のエースふたりは まるで「スーパーなソウルメイト」
◆北見隆侑(きたみ・りゅうすけ)
2003年10月23日生 京都府出身 176㎝88㎏ 右投右打
乙訓高(京都)~近大。高3夏の京都府大会ベスト4。近大では主に先発で登板し、リーグ戦 通算28試合14勝4敗、防1.30。大学3年春、最優秀投手賞を受賞。
目標とするプロ野球選手は菅野智之(オリオールズ)。趣味はK-POP。
◆野口練(のぐち・れん)
2003年10月1日生 福井県出身 174㎝68㎏ 左投左打
星稜高(石川)~近大。高3夏の石川県大会ベスト8(新型コロナウイルス感染者が出たため準々決勝で辞退)。近大では主にリリーフで登板し、リーグ戦通算33試合6勝2敗、防1.31。3年時に大学日本代表に選出。
目標とするプロ野球選手はダルビッシュ有(パドレス)。趣味はK-POP。
【野球サイコー!取材後記】
同級生で趣味も同じ北見と野口は、「誰一人敵わない スーパーなソウルメイト」。
※「誰一人敵わない スーパーなソウルメイト」…B’z「きみとなら」の歌詞
取材・文 金山泉(かなやまいずみ)
MBSアナウンサー。1982年6月5日生、新潟県上越市出身。野球とB’zをこよなく愛する。投手として首都大学リーグ2部で通算11勝(8敗)をマークした。