9月9日、MBSの番組に出演した野球解説者の能見篤史さんが、優勝争いをする阪神の現状や今後のポイントについて解説しました。

打線好調で四球も増加か

 ―――9月3日~8日の6試合は5勝1敗の阪神。9月2日時点では首位と5.5ゲーム差ありましたが、9月9日時点で2.5ゲーム差に縮まりました。岡田監督はシーズンが始まる前から9月が勝負ということを話しています。そうした中で、能見さんに3つのポイントを挙げてもらいました。1つ目は「フォアボール」。今季、阪神が選んだフォアボールの数は現在、リーグで一番多いですね。

 「後半戦になると相手チームの戦い方も違うんですけど、前半戦はフォアボールが取れなかったんですよ。でも今、クリーンナップを含めていろんな選手が打つことによって、ピッチャーの心理として『甘いボールが投げられない』ということがあるんですよ。そうなると、どんどんカウント的に打者が有利になるので、フォアボールを選べるというところで、打線が線としてよく機能しています」

 ―――ピッチャーからすると、打たれるのとフォアボール、どちらが嫌なのでしょうか?

 「心理的には打たれる方が嫌なんですけど、得点に絡むのはフォアボールを出したときです」

 ―――そして2つ目のポイントは、「打順の固定」。優勝した去年、打順は1年間ほぼ固定でした。今シーズンの前半戦は打順がなかなか固定できませんでしたが、ここにきて固定されてきましたね?

 「そうですね。固定もそうなんですけど、やっぱり『役割』をみんながだいぶ果たせるようになってきたっていうところもあります。1番から5番の選手が本当にいい状態の中で、6番以降の選手も自分が何をしなきゃいけないのかというのをちゃんとわかってる。打順の巡りとしては一番いい状態です」

 ―――だからこそ余計に守備のエラーが目立ってしまう...。8日の試合でサードの佐藤輝明選手が平凡なフライを落球。あれは何が起こったのでしょうか?

 「たぶん、下がりながらの守備で、風もあって、最後の最後でボールが動くときってあるんですよ。回転とかもあるので、自分が思っていたよりも動くときはあるみたいです」

 ―――ポイント3は、「先発投手に勝ち星がついた」ということ。「先発投手」というのがカギですか?

 「先発は勝ち星がほしいですし、勝ちがついてくるれることによって、次もいいイメージで入れるというのもあります。もちろんチームが勝つことを一番に考えてみんな投げているんですけど、やっぱり勝ち星がつかないよりはついた方がいいので。先発投手に勝ちがつくということは、先制点を挙げていることも多く、チームとして本当にいい流れだと思います」

 ―――その中でも高橋遥人投手がけがから復帰して3連勝というのもチームにとって大きいですよね?

 「めちゃめちゃ大きいですよ。これだけ投げてくれると、中心で回したくなるんですよ、優勝争いがかかっているので。でもけが明けなので、(高橋投手の)長い野球人生を考えると、他の投手がしっかり頑張るしかないかなと」

 ―――また、今季12勝を挙げている才木浩人投手について、連敗を8度止めていることもあり、能見さんは高く評価していますね?

 「連敗を止めるって相当エネルギーを使うんですよ。チームを背負わないといけない中で、これを意気に感じて投げているところがいい」

 ―――才木投手は今季、変化球の割合が増えてピッチングの幅が広がり、それが活躍につながっていると。

 「一番忘れてほしくないのは、あれだけの直球があるから、この変化球がきく。変化球に頼り出すとだぶんそれもきかなくなってくるので、ここだけはちょっと肝に銘じてほしいなと」

 ―――阪神は9月10日から甲子園球場で7連戦(DeNA・広島・ヤクルト)です。また、阪神と2ゲーム差の4位・DeNAとの試合は計7試合残っています。

 「DeNA自体も『チャンスあるな』っていうのは感じているはずなので、阪神戦にいいピッチャーを必ず持ってきます。阪神としては甲子園というところが結構アドバンテージになるはずなので、まずDeNA3連戦(10日~12日)を何とか勝ち越さないと、ちょっと上を見てる場合ではなくなります」