大阪学院大高に「福留2世」と呼ばれる左打者がいる。今坂幸暉内野手(新3年)。走攻守の三拍子揃った逸材に、12球団のスカウトも視察に訪れている。(取材・文 MBSアナウンサー 金山泉)

「こんな選手がいるのかと驚きました。天才っているんだなと。荒削りな部分はあったけれど、走攻守の全てにおいてセンスを持っている。こういう選手がプロに行くんだろうなと思いました」。今坂を初めて見たときの“衝撃”を辻盛英一監督(47)はこう話す。

 中日や阪神、メジャーリーグで活躍した福留孝介氏を彷彿とさせる柔らかい打撃フォームから、ヒットを量産する。今坂は高2夏の大阪府大会で打率7割以上をマーク、一気にプロ注目の選手となった。高2秋までの練習試合と公式戦を合わせた通算打率は5割を超えているという。

20校以上の強豪校から誘いを受けた

 高校通算本塁打は8本。この数字だけを見ると、プロ注目の選手としては少なく感じるかも知れないが、これは練習試合の大半を行っている大阪学院大高グラウンドの大きさが関係している。

 大阪学院大高グラウンドは、両翼95m、中堅128m、右中間の最深部は130m。甲子園以上の膨らみがあり、左打者にとって本塁打が出にくい。その中で今坂は8本中6本、このグラウンドのライト方向に本塁打を放っている。

 山口県下関市出身の今坂幸暉。その名は苅田ボーイズ(福岡)時代から全国に知られていた。甲子園優勝経験チームを含む20校以上の強豪校から誘いを受けたが、「甲子園出場とその先の進路も考えて。そして施設と環境も素晴らしかったので。」と、野球部専用グラウンドや、広い室内練習場など、高校野球界トップレベルの施設を誇る大阪学院大高に進学を決めたという。

 今年、高校最後のシーズンを迎える今坂は「勝負の年だと、自分の中でも思っている。甲子園優勝へ、チームのみんなでベクトルを合わせて日々練習している。個人としてはプロに行きたい気持ちが強いので、走攻守全てにおいてレベルアップして、いつも応援してくれる両親のためにも、プロ野球選手になれたらと思う。」と目標を力強く語る。

「誰よりも努力する超野球小僧」

 辻盛監督が「誰よりも努力する超野球小僧」と表現する今坂。天才的センスの陰にある、不断の努力。今坂は、夢に向かって今日もバットを振り続ける。

◇今坂幸暉(いまさか・ともき)
2006年10月19日生 山口県下関出身 178㎝80㎏ 右投左打
苅田ボーイズ(福岡)~大阪学院大高 ポジションはショート。
高2秋は大阪府大会3回戦敗退。甲子園出場経験なし。
類まれな身体能力を誇る今坂。右投げで140キロ、左投げでも130キロを計測する。遠投は右投げで115m、左投げで85m。50mは5秒9。
好きな食べ物は、お母さんが作るチキン南蛮。

【野球サイコー!取材後記】天才打者が陰で行う「とんでもない努力」。今年の夏は、「包み込む大歓声」が今坂選手を待っている。
※「とんでもない努力」「包み込む大歓声」…2015年3月発売、B’z19枚目のアルバム「EPIC DAY」の収録曲「Man Of The Match」の歌詞。

◇取材・文 金山泉(かなやまいずみ)
MBSアナウンサー。1982年6月5日生、新潟県上越市出身。
野球とB’zをこよなく愛する。
投手として首都大学リーグ2部で通算11勝(8敗)をマークした。