クセのないキレイな投球フォームを見ていると、本当に投手転向3年目なのかと目を疑ってしまう。去年夏に自己最速となる152キロを記録した神戸弘陵高(兵庫)の右腕・村上泰斗投手(新3年)は、今秋のドラフト候補としてプロのスカウトからも注目されている。(取材・文 MBSアナウンサー金山泉)

 5人兄弟の末っ子として生まれ、兄の影響で小学1年時に野球を始めた村上。小中学生時代は捕手だった。しかし神戸弘陵高に入学した際、地肩の強さと身体能力の高さを感じた岡本博公監督(42)が投手転向を提案。もともと投手への思いがあった村上は、新たな挑戦を決意した。

 一から投球フォームを研究し、ウェイトトレーニングや食事で体を大きくすることで球速はどんどん上がっていった。入学時135キロだったストレートは、高1秋に140キロを超える。そして高2夏、ついに150キロの大台を突破した。ただ速いだけではなくキレもある村上のストレート。ボールの回転数を測定する機器では、プロの投手とほぼ変わらない数値が出ているという。

岡本監督「YouTubeでダルビッシュ投手の変化球を見てすぐに習得」

 岡本監督は村上についてこう話す。「研究熱心で向上心もすごくある子です。最大の武器はストレートですが、YouTubeでダルビッシュ投手の変化球を見てすぐに習得したり、すごく器用で、いろんな球種を投げることもできる。投手経験が浅いだけに、伸びしろはまだまだたっぷりありますよ。」

 村上はこの冬、ストレートの威力を更にアップさせるため、下半身の強化に励んできた。「5割くらいの力で投げても球速は出ている感じがある。出力は上がっているのかなと思う。」と手ごたえを感じている。

 今年の目標を「チームとして兵庫県大会で頂点に立ちたい。個人としてはU-18日本代表に選ばれて、世代を代表する投手になりたい。そしてプロ野球選手になって、育ててくれた両親に恩返しをしたい。」と熱く語る。

高校生活最後のシーズン。村上の進化は止まらない。

金山アナ 「衝動」にかられて、神戸弘陵高の村上投手に会いに行く 

◇村上泰斗(むらかみ・たいと)
2007年2月20日生 兵庫県猪名川町出身 180㎝76㎏
大阪箕面ボーイズ~神戸弘陵高(兵庫)
高2秋は兵庫県大会3回戦敗退。甲子園出場経験なし
好きな食べ物:お母さんが作った唐揚げ(1度に20個は食べる)

【野球サイコー!取材後記】
取材したい「衝動」にかられて、神戸弘陵高の村上投手に会いに行く。その投球を見て「誰もが無限の可能性を抱きしめて生まれてきた」ことを感じた。
※「衝動」…2006年1月発売、B’z40枚目のシングル。
※「誰もが無限の可能性を抱きしめて生まれてきた」…「衝動」の歌詞。

◇取材・文 金山泉(かなやまいずみ)
MBSアナウンサー。1982年6月5日生、新潟県上越市出身。野球とB’zをこよなく愛する。投手として首都大学リーグ2部で通算11勝(8敗)をマークした