桐蔭学園(神奈川)の劇的優勝で終了した、第103回全国高校ラグビー大会から3週間。はやくも新シーズンに向けて熱い戦いが始まっています。近畿大会出場権を兼ね、各地で行われている新人大会もいよいよ大詰め。大阪では1月28日、Aブロック決勝で大阪桐蔭×東海大大阪仰星、全国でも上位の実力を誇る強豪校が激突しました。

 両雄の激突は、試合開始から闘志とプライドがぶつかり合う激しい攻防となります。大阪桐蔭がハーフ団の正確なキックを足掛かりに、持ち前のフィジカルの強さ生かして前に出ようとすると、東海大大阪仰星は、粘り強く集まりの早いディフェンスで対抗。逆に、東海大大阪仰星が、持ち前のスキルを活かし、ボールをつなぎながらグランドを広く使って攻めようとすると、大阪桐蔭が一撃必殺のタックルと勝負所をわきまえたFW陣のディフェンスで対応。前半は互いに、大きなチャンスをつくることができず、0対0のスコアレスで終了します。

ロースコアのまま、手に汗握る展開

 先にペースをつかんだのは東海大大阪仰星。後半開始4分、素早い出足で大阪桐蔭のペナルティーを誘うと、この試合はじめて敵陣22メートル内の深くに攻め込みます。そしてモールを押し込んだ後、左へ大きく展開、このままトライかという場面を作ります。しかし、トライを狙ったラストパスが、スローフォワードの反則、絶好のチャンスを逃します。

 直後のスクラム、今度は大阪桐蔭が自陣深くから思い切ってボールをつなぎ攻撃を仕掛けます。スクラムでプレッシャーをかけると、縦に強い選手がゲインラインを突破、FB菅原幹太選手、WTB馬場敦輝選手とつないで、リターンパスを菅原選手が受けると、最後はフォローしたSH川端隆馬選手が中央にトライ、ゴールも決めて7対0とリードします。

 これで勢いに乗った大阪桐蔭、11分にはNO8大門一心選手の突破でチャンスを広げて、12分過ぎからは何度も何度も東海大大阪仰星のゴールラインに迫ります。しかし東海大大阪仰星が気迫あふれる素晴らしいディフェンスで追加点を許しません。ピンチをしのいだ東海大大阪仰星は次々と選手を入れ替えて、必死の反撃を試みます。

「全員が頑張って走った結果が7点。まだまだ成長できる」

それでも、大阪桐蔭は慌てませんでした。反則を犯さず、規律の取れたディフェンスで、チャンスをつくらせません。そして、スクラムでプレッシャーをかけ続けて主導権を握り、最後もスクラムでペナルティーを奪ってノーサイド。安定したセットプレーを軸に、落ち着いた戦いぶりを見せた大阪桐蔭は、7対0で逃げ切って見事Aブロック優勝を果たしました。

 ライバルに競り勝った名取凛之輔主将は、「今年大きくボールを動かすラグビーにチャレンジする中で、全員が頑張って走った結果が7点。まだまだ成長できると思うので、全員で一丸となって、桐蔭らしい接点にこだわりながら、自分たちのラグビーに取り組んでいきたい」と話しました。

花園逃した…常翔学園が雪辱の猛攻

 Bブロックの決勝は、昨年、花園への出場を逃していち早く新チームのスタートを切った常翔学園が、昨年、花園初出場を果たした関大北陽と対戦。試合開始から力強く前に出て、関大北陽を圧倒します。開始3分、WTB藤間悠太選手のトライで先制すると、15分にはNO8井本章介主将がトライ。22分にも1トライを加えます。27分、関大北陽も、関大北陽らしいスピードある攻撃で7点を返して前半は21対7。

 突然の雨で、グランドコンディションが難しくなった後半、常翔学園はうまく敵陣で試合を進めながら、PGで得点を積み重ねます。試合終了間際の後半29分、関大北陽にトライを許しますが27対14。ここで雷鳴がとどろいて、試合が約20分間中断しました。それでも常翔学園の選手たちは、集中力を切らしませんでした。再開のスクラムからボールを継続すると、最後は、SO朝野楽選手の見事なキックパスに藤間選手が反応、タッチライン際を快走してフォローした井本主将がダメ押しのトライ。常翔学園が32対14で関大北陽を振り切り、Bブロック優勝を飾りました。

Aブロック決勝  大阪桐蔭 7-0 東海大大阪仰星
Bブロック決勝  常翔学園 32-14 関大北陽

 近畿大会には、大阪から決勝に進出した上記4校が出場、そのほか各府県の上位2校が出場して、2月17日(土)から大阪で開催されます。