日本高等学校野球連盟は12月8日、来年の第96回選抜高校野球大会における21世紀枠での出場校を選考するうえでの対象となる、各地区連盟が推薦する候補校9校を発表しました。

各地区の候補校選出ポイントは

 (北海道を除く)各地区の推薦校は、11月に各都府県連盟が推薦した46の候補校の中から、地区(東北・関東・北信越・東海・近畿・中国・四国・九州)ごとに選考が行われて、候補校9校が決定しました。

 北海道では、地区予選を勝ち抜いて秋の道大会に出場した公立高校の中から、道東に位置して、気温0度未満の冬日が1年のうち半分以上をしめる厳しい練習環境、出場校中最小の部員16人というハンデを乗り越えてベスト4に進出した別海高校が、満場一致で選出されました。

 東北地区では、震災の翌年、第84回選抜高校野球大会で石巻工業の主将として「見せましょう日本の底力、絆を」と選手宣誓を行った阿部翔人部長のもと、県下有数の進学校でありながら、ひたむきに課題と向き合い、創意工夫をこらした努力で強豪校がひしめく宮城県から春と秋の東北大会に連続して出場している仙台第一高校が選ばれました。

 関東・東京地区では、各都県ごとに推薦校のプレゼンテーションを行った後、創部133年の伝統校であり、全国有数の進学校として高いレベルでの文武両道を実現、その中で工夫を凝らした練習で強豪校を次々と倒して茨城県大会ベスト4に進出した水戸第一高校が選出されました。

 東海地区では、「トッププレイヤーはトップラーナーであるべき」という文武両道の精神のもと、近隣の小学生を対象とした野球教室を行うなどの地域貢献を図りながら、令和4年の夏の選手権岐阜県大会準優勝や令和5年のベスト4など、「甲子園まであと一歩」と迫った近年の成績が評価されて帝京大可児高校が選ばれました。

 北信越地区では、「甲子園で活躍できる力があるチームを選出する」ということを主題に選考。各県の推薦校の中から、令和3年度、4年度と新型コロナによる選手権大会の出場辞退という苦難を乗り越え、少子化による学校統合の中、閉校した水橋高校の思いも背負って富山県大会準優勝、北信越大会でもタイブレークの好勝負を演じた富山北部高校が満場一致で選出されました。

 近畿地区では、来年、創立129年を迎える進学校の中で学習と部活動を両立、限られた時間の中、目標実現のための努力を積み重ねて、強豪・智辯和歌山を下して近畿大会に進出した好成績に加えて、「愛される野球部になろう」をモットーに、地域の清掃活動や少年野球との交流会を実施する等、自校の生徒は勿論、他校の生徒や地域に良い影響を与えていることが評価されて田辺高校が選出されました。

 中国地区では、21世紀枠の選考条件である「困難克服」「文武両道」「地域貢献」などに沿って、各県の推薦校を比較。その中で、定期的な清掃活動や、保育園訪問、小学生向けの野球教室など、「ボランティア活動」を通して地域とのつながりが定着している点、放課後の練習時間に制約がある中、自主的に朝練習を取り入れて、効率的な強化を行っていること、さらには、17年ぶりに中国大会に進出した好成績が決め手となって、岡山城東高校が選出されました。

 四国地区では、各県の推薦校の中から、文武両道を体現している進学実績の高い学校を抽出。その中で、「人間的成長なくして技術的成長なし」、「心が変われば運命が変わる」の活動目標のもと、人材育成に力を入れて着実な勉学での成果を上げている実績。西日本豪雨災害を被災して、地域の人と助け合いながら、危機を乗り越え、冬季には、海岸の清掃活動を行うなど地域の人から信頼を得ている点が重視されて、大洲高校が選ばれました。

 九州地区では、各県の推薦校についてプレゼンテーションを行った後、3校を選出。そのうえで、創立130年をむかえる伝統校で、ベースボールを「野球」と和訳した中馬庚氏が、創部間もない野球部の指導に携わっていた歴史。県内随一、全国有数の進学校で、部活動も活発、文武両道を実践する中で、部員自らのアイデアによってチーム力を強化して、鹿児島商業や鹿児島実業といった県内の強豪を撃破して秋の県大会ではベスト4に進出した鶴丸高校を「伝統や(野球に対する)熱い思いを21世紀の今に引き継いでいくのにふさわしいとして」選出しました。

 21世紀枠の選考は、この後、来年1月26日の21世紀枠特別選考委員会で、各地区から推薦された9つの候補校を対象に、代表校2校が決定します。

21世紀枠 各地区推薦校と都道県大会成績

北海道:別海 ベスト4
東北:仙台第一(宮城) ベスト4
関東・東京:県立水戸第一(茨城) ベスト4
東海:帝京大学可児(岐阜) ベスト16
北信越:県立富山北部(富山) 準優勝
近畿:県立田辺(和歌山) 準優勝
中国:県立岡山城東(岡山) 準優勝
四国:県立大洲(愛媛) ベスト8
九州:県立鶴丸(鹿児島) ベスト4