来春のセンバツ高校野球大会の出場校を選考するうえで重要な参考材料になるとともに、明治神宮大会での日本一を争う、秋の高校野球地区大会も大詰め。11月4日には近畿大会決勝、5日には中国・四国・東京でそれぞれ決勝戦が行われました。

近畿大会「大阪桐蔭×京都外大西」は接戦に

 近畿大会決勝は、3連覇を狙う大阪桐蔭と、この近畿大会、3試合連続で接戦をものにして勢いにのる京都外大西の対戦。タイトルと明治神宮大会への出場権がかかった大事な決勝戦。

 大阪桐蔭の先発は、準々決勝の報徳学園戦で終盤の2イニングをノーヒット4奪三振と完璧なリリーフを見せた1年生の森陽樹投手。西谷浩一監督が「後ろにエースが控えているので、5回まで行ってくれれば十分という思いで送り出した」と語ったスーパー1年生が、立ち上がりから安定感抜群のピッチングを見せます。189cmの長身から繰り出す力強い速球と切れ味鋭い変化球を武器に、京都外大西打線に付け入るスキを与えません。5回までに7つの三振を奪ってチームを勢いづけます。

 打線が森投手の力投にこたえたのは2回。京都外大西の先発・相馬悠人投手から1アウト2塁のチャンスをつくると、8番の賀川陽日選手が3試合連続となるタイムリーヒット。5回にも1点を加えて、2点のリードを奪います。

 それでも、京都外大西も粘ります。4回、ワンポイントで、エースの田中遥音投手を投入してピンチを脱出すると、2点目を許した5回途中からは、再び前日138球の熱投を見せた大黒柱をマウンドに送り込みます。「きょうは技術というより気持ち投げた」という田中投手。気迫の投球でこの後の大阪桐蔭に追加点を許しません。

 一方、6回以降も続投した森投手。「きょうは変化球のコントロールがよかったので、安心して投げることができた」というように、後半に入っても、ストライク先行の安定したピッチング。7回には、京都外大西の5番・相馬選手に12球粘られますが、三振で切り抜けて、7回を3安打9奪三振無失点。圧巻の内容でエースの平嶋桂知投手にマウンドを託します。

 しかし、ここから京都外大西が驚異の粘りを見せます。8回2アウト2塁から持田諒真選手の内野安打の間にピンチランナーの小笹誉晃選手がホームを陥れる好走塁で1点を返すと、9回は2アウトからヒットとフォアボールで満塁のチャンスをつくります。1打逆転の場面で、バッターボックスにはピンチヒッターの鈴木雄仁選手。粘りに粘ってフルカウントまで待ちこみますが、最後は平嶋投手の落ち着いたピッチングの前にサードフライに打ち取られてゲームセット。京都外大西の勝利への執念もあと一歩及ばず、大阪桐蔭が2対1で逃げ切って、秋の近畿大会、史上初の3連覇を果たしました。

 「僕たちの目標である秋の日本一を目指している中で、この近畿大会を勝ち切ることができて非常にうれしい。この決勝戦はエラーなし。守備で粘れたことが優勝につながった」とキャプテンの宮本真司郎選手が話した大阪桐蔭。
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 「公式戦でこれだけのピッチングができたことは自信になった」と語った森投手、準決勝で好投した同じ1年生の中野大虎投手、エースの2年生・平嶋投手といった強力投手陣を擁して、秋の日本一3連覇のかかった明治神宮大会に挑みます。
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四国大会「高知×阿南光」 中国大会「広陵×創志学園」 東京大会「関東一×創価」

 そのほか、5日に行われた四国大会決勝では、高知が1対1の同点で迎えた9回に徳島の阿南光の好投手・吉岡暖選手を攻略。3番・大石来輝選手の走者一掃のタイムリーツーベースなどで4点を勝ち越して、5対1で勝利。2年ぶり8回目の四国大会優勝を果たしています。

 強豪対決となった中国大会決勝では、秋の中国大会3連覇を狙う広島の広陵が、東海大相模を日本一に導いた門馬敬治監督率いる岡山の創志学園と対戦。試合は、中盤に両チーム1点を取り合うまさにがっぷり四つの展開。8回、広陵は1アウト3塁1塁のチャンスをつくると、代打の澤田哉斗選手が大きく弾む打球をしぶとくショートに転がして勝ち越します。このリードを、先発した1年生の堀田昂佑投手が落ち着いた投球で守り切って史上初の秋の中国大会3連覇を達成しました。息詰まる接戦をものにした広陵。この夏の甲子園でも活躍したエースの高尾響投手とともに、2年連続決勝戦で敗れている、大阪桐蔭が待ち受ける明治神宮大会に挑みます。

 関東一と創価で争われた東京大会の決勝は、1点をリードされた関東一が、6回に5番・熊谷俊乃介選手のタイムリーヒットで逆転。8回にも小島想生選手のタイムリースリーベースヒットなどで2点を追加します。リードをもらった先発の坂井遼投手がしっかりコントロールされた変化球を軸に5回以降は1安打しか許さない見事なピッチング。4対1で創価をふりきり、8年ぶり5回目の秋の東京大会制覇。来年春のセンバツ大会出場に大きく近づきました。


≪各地区大会結果≫
・近畿大会 大阪桐蔭(大阪1位)2-1 京都外大西(京都1位)
・四国大会 高知(高知1位)5-1 阿南光(徳島3位)
・中国大会 広陵(広島1位)2-1 創志学園(岡山1位)
・東京大会 関東一 4-1 創価


(MBSスポーツ解説委員 宮前 徳弘)