昨季で現役を引退した野球解説者の能見篤史さんが、オリックス戦士に直撃インタビュー。今回は、若手のホープ・紅林弘太郎選手。いまやチームの主軸に成長した紅林選手に、能見さんが厳しくも優しく迫りました。
紅林「サヨナラホームランから自信を持って打席に立てるように」
MBS井上雅雄アナウンサー:能見さん、今年ここまでの紅林選手の活躍はどう見ていますか?
能見篤史さん:想定外です。
井上:どういう意味で?
能見:成長をしているので、ちゃんと。きょうもバッティング練習を見てましたけど、バッティングの弾道も変わっているところで、認めざるを得なくなる自分がいるのが嫌です。
井上:というお話ですけど、実際、今年のここまでのご自身の成績については?
紅林弘太郎選手:僕も想定外です。
井上:本人も想定外ですか。どんなところが?
紅林:まだシーズン終わってないのでなんとも言えないですけど、去年までシーズン終わったら2割2分だったので、今年ちょっと結構塁に出て、出してもらっているので、僕も想定外です。
井上:何が良くさせているんですか?
紅林:積み重ねてやってきたことじゃないかなと思います。能見さんに結構言われていたので、「お前は2割2分のバッターだ」と。僕を奮い立たせようとして言っていただけたので、それを反骨心持って、ちょっとそんなこと言わせないぞという気持ちでやっていました。
井上:6月以降は3割半ばくらい。
紅林:そうですね。僕の中では、ほっともっと(フィールド神戸)で打ったサヨナラホームランから自信を持って打席に立てるようになったので、あれからガラっと変わりました。
能見:紅林選手が言いましたけど、心の余裕、積み重ねて、試合にも出てきて、失敗もして、そこで色んなコーチの方々に怒られている姿も見ていたので、そういうのが大きく糧になって。
能見「紅林選手は試合中でも『お腹すいた』ってよく言ってる」
井上:少しエピソードがあるそうで?
能見:紅林選手が覚えているかどうか分からないんですけど、札幌ドームで練習終わって、ケータリング、軽い食事をして試合に臨むんですけど、ちょうど僕が食べている時に紅林選手が隣に来て、「能見さん、僕も長く野球したいんですけど、長くされている方ってヒョロいですよね」って言ったんです。
井上:たぶん、「スリムな方が多いですね」ということですよね。
能見:そうそう、たぶん、(紅林選手は)それをちょっと聞きたかった、秘訣を聞きたかったんですけど、それ(ヒョロい)をサラッと言ったので。
井上:覚えていますか?
紅林:いや、全然覚えていないですね。でも、ずっと思っていたことなので、長くやる秘訣なのかなと思って、そんな失礼なことを言ってしまいましたね。僕、シーズン中にすごく太っちゃうので、それじゃ絶対やばいなと思っていたので、能見さんが長く野球をやっているので聞いてみました。
能見:表現がね、「細い」と「ヒョロい」が紅林選手の中ではイコールなので。
井上:改めて聞いてどうですか?
紅林:無神経だなって(笑)
能見:大丈夫よ、面白かったよ。そのヒョロいっていうのがすごく衝撃的に残っていて。
井上:シーズン中に体重が増えるということですけど、能見さんは減っていましたもんね?
能見:僕は減っていましたけど、紅林選手は食べるんで、しっかりと。試合中でも「お腹すいた」ってよく言ってるんですよ。
紅林:そうですね、常にお腹は減っています。
能見:エネルギーをね、ちゃんと使っているという。
紅林:一気に。だから試合前とかはラーメン、丼、カレーうどんみたいな。
能見:麺が2つ入ってますね。それだけ過酷なんでね、ショートのポジションはやっぱり。内野の要と言われるポジションなんで、いろんなことをしないといけないっていうところで。
紅林「チャンスで打ちます」 能見「雰囲気を持っている、何か持っている」
井上:後半戦、楽しみじゃないですか?
能見:もともとバッティングはいいですし、打てるゾーンも広いので、みんなが打ってない時に打ったりとか、チャンスになった時に何かしてくれそうだなっていう雰囲気を持っている、何か持っているなと思いました。…もう(褒めるの)やめよう。
井上:やめるんですか(笑)? 能見さんから紅林選手に言いたいことありますか?
能見:どうなん?なんか、いつもの感じと違うんでね。こういういじりすると「また言って」とか、「悪い人や」とか平気で言うんですけど。
紅林:能見さんもいつもより優しいです。
能見:悪いわぁ。
井上:後半戦、大事な戦いがある。ここから見ておいてくださいというところは?
紅林:3番バッターとして、チャンスで打ちます。
能見:7番くらいになってるよ、たぶん。
紅林:そうですね(笑)
能見:でも、3番バッターが似合う。
能見:ただ打とうが走力が使えないところがね…。
紅林:各駅停車でお願いします(笑) 頑張ります。ありがとうございました。
(構成:MBSスポーツ部 大西史恭)