プライムステージ出場のかかった、ルヴァンカップのグループリーグ最終戦で、セレッソ大阪との激しく体をぶつけあうダービーを制して一週間。「オリジナル10」のライバル、鹿島アントラーズとの一戦に臨んだガンバ大阪は、攻守にアグレッシブなサッカーで、ライバルを撃破。見事リーグ戦4連勝を飾りました。

 この試合で、FWのジェバリ選手、中盤のネタ・ラヴィ選手を欠くガンバは、トップの位置に宇佐美貴史選手が5月24日のルヴァンカップ、京都戦以来の先発、アンカーの位置に、山本悠樹選手が入る布陣。

 ダニエル・ポヤトス監督が、「選手たちが、(試合を重ねるごとに)チームとして熟成してきた」と語ったガンバ大阪。ホームの大声援を背に、前半から優位に進めます。ホームの圧力の前に、受け身に回ったアントラーズがロングボールからの攻撃を選択すると、セカンドボールの競り合いで確実に勝利、1対1の局面で優位に立ち、ボールを保持します。

 さらに、左右にスライドしながら守備を構築してくる鹿島に対して、山本選手を中心に効果的なパスを供給、サイドからの突破で、次々とチャンスを作りだします。そして15分、再三チャンスを演出していた、左SBの黒川圭介選手がドリブルでマークをかわすと石毛秀樹選手とのワンツーから右足を一閃。右隅に鮮やかな先制ゴールを叩き込みます。

「(石毛選手からの)リターンが来て、顔を挙げた瞬間にシュートコースが見えた」と語った豪快な一撃。この先制点で勢いに乗ったガンバ、この後も攻撃の手をゆるめません。29分には、ガンバらしい細かいパス交換の連続から、石毛選手が、振り向きざまにシュート。しかし、ここは、ポストに阻まれてゴールならず、追加点のチャンスを逃します。

「ダニ(監督)のサッカーは、走ることが第一優先」

 それでも、直後の30分。今度は、アンカーの位置に入った山本選手の絶妙なパスでフリーになった黒川選手がゴール前にボールを送ると、ペナルティティーエリアの中でうまくマークを外したダワン選手が、ゴールキーパーのわきをすり抜けるヘディングシュートで追加点。前半は、2対0、一方的なガンバペースで折り返します。

 しかし、さすがに勝負強さが持ち味の鹿島アントラーズ。後半に入ると、戦い方が一変、前線から激しくプレッシャーをかけて、ガンバゴールに迫ります。それでもガンバは、後半はうまく時間を使いながら試合をコントロールします。

 CBの位置に入った福岡将太選手が、「ダニ(エル・ポヤトス監督)のサッカーは、走ることが第一優先。今、それが浸透してきている」と語ったように、攻守の切り替えの場面でも、選手全員がスペースを意識して常に先に動く、一体となったサッカーを展開。途中出場の、食野亮太郎選手、鈴木武蔵選手、山本理仁選手もハードワークで、鹿島に決定的なチャンスを作らせません。

 87分、一本のパスミスからピンチを招き、CKから1点を返されますが、その後も、高い集中力で、鹿島の捨て身の攻撃を跳ね返します。長い、長い、7分のロスタイムも確実に守り切って、2対1で勝利。鹿島アントラーズの岩政大樹監督が、「内容的にも、結果的にもガンバに上回られた」と振り返るほど、快勝でライバルを撃破しました。

 試合後、サポーターとのガンバ・クラップで勝利を分かち合ったガンバ大阪。「日本一のスタジアムとサポーターに囲まれて、サッカーをやらせてもらって本当に幸せだった。正直寂しい。」と胸の内を打ち分けたのは、この試合を最後に、移籍が確実視されている山本理仁選手。先頭に立って、サポーターへのあいさつに訪れると、激励の暖かい拍手が送られました。

 この後の更なるガンバの進化を予感させる勝ち星、宇佐美貴史主将は「鹿島はJリーグ全体からリスペクトされているチーム。どんな時でも、鹿島に勝つことは、チームの自信になる」と締めくくりました。

(MBSスポーツ解説委員   宮前徳弘)