3、4月度の「大樹生命月間MVP賞」が11日に発表され、セ・リーグ投手部門は、4月にプロ初勝利をあげた阪神・村上頌樹(むらかみしょうき)が初受賞した。4月は4試合に登板して、2勝0敗1ホールド。開幕から25イニング連続無失点で防御率0・00、与えた四球わずかに1つ、安定感抜群の投球で輝きを放ち続けた。

 3年目の村上頌樹が、プロ野球界に大きなインパクトを残したのが、今季初先発を任された4月12日、東京ドームでの巨人戦。7回を投げ無安打無四死球のパーフェクト投球を披露。『プロ初勝利を球団史上初の完全試合達成で飾るのか』と思われた矢先、8回1点差の打席で岡田監督は代打を告げ、結果的にプロ初勝利すらお預けとなった。

 それでも4月22日の中日戦。1、2回を三者凡退に抑える立ち上がりで「2試合またぎの」完全試合を達成すると、勢いそのまま9回・105球、無四球10奪三振の完璧な投球でプロ初勝利を完封で飾った。

 さらに4月29日のヤクルト戦でも村上はスコアボードに0を並べ続け、8回無失点。開幕25イニング無失点で2勝目。ヤクルト4番・村上宗隆との「村上対決」も3打数ノーヒットでシャットアウト。虎の“村神様”の、神がかった活躍の裏には、ある先輩の助言があった。

2軍では《無双》1軍では《縮こまる》村上を変えた”師匠”

東洋大から2020年ドラフト5位で入団した村上は、1年目からファームで華々しい活躍を見せていた。1年目に最多勝、最優秀防御率、最高勝率の投手3冠に輝くと、2年目も防御率、勝率の2冠を獲得。2軍では敵なしの“無双状態”だったが、1軍での『プロ初勝利』は達成できずにいた。

「1軍だと縮こまってしまって、自分の投球ができていなかった。」

村上は、自身の過去2年間をそう振り返る。転機が訪れたのは今年1月。虎のエース・青柳晃洋と共同生活を送った約2週間の自主トレ期間に、1軍で戦うためのエッセンスを注入された。

「配球の考え方や、試合中どういう意識で投げているかなど色々聞いた。青柳さんでも『緊張する』って言っていたんで、気が楽になりました。」1軍の舞台で投手3冠に輝いた先輩のアドバイスが、いい“教科書”になったのだ。

さらに、今シーズン好投の要因と本人が語る『投球フォーム』。その土台づくりができたのも自主トレ期間だった。《力まず強いボールを投げる》ため設定した自主トレのテーマは『足をついてから投げること』だった。投球動作を考えると、当たり前に感じられるテーマだが、これが村上のツボにはまった。

「腕がちょっと遅れながら出てくるイメージ。足をつくのと同時に投げると、タイミングが取りやすいですし、ちょっと間をつくって、キレのいいボールを投げる。いいタイミングで投げられたときは、力を入れなくても伸びのある球が投げられている。」

この感覚が研ぎ澄まされた結果、今シーズンの快投につながっていた。4月の好投について、“師匠”の青柳投手からのコメントはなかったのか?と尋ねると、「普通に『ナイスピッチ』って感じで、特別なことは無いです。『当たり前でしょ』って感じで。」エース・青柳が村上を認めている証拠だ。

勝負の年 グローブに青春スポーツ漫画「ハイキュー!!」の名言

「この1カ月で少し自信はつきました。10勝を目標に頑張りたいです。」こう意気込む村上は今シーズンから、グローブに「ある言葉」を刺繍している。

『才能は開花させるもの センスは磨くもの』

 これは、村上が愛読する人気スポーツ漫画『ハイキュー!!』の中でも、特に好きだというキャラクター・及川徹の言葉だ。「『ハイキュー!!』を読むと、めっちゃ頑張ろうって気持ちになるんです。」

オフから磨き続けてきた“センス(感覚)”が研ぎ澄まされ、“才能”が開花しつつある右腕から、今後も目が離せない。

(MBSスポーツコンテンツ部 徳永亮太)