4月13日(日)に開幕した大阪・関西万博。開幕から1か月が経った5月中旬ですが、これからが“ゲリラ豪雨”を伴った「落雷」対策の正念場を迎えます。

落雷といえば真夏のイメージがあるかと思いますが、大阪市内では、4月ごろから増え始めます。初夏(5月)は、1か月に1~2日、夏場(7~9月)は1週間に1日くらいの確率で雷に見舞われる可能性があります。

そこで、大阪・関西万博の会場では、来場者のみなさんを「落雷」から守るためにどんな対策をされているのかを取材しました(気象予報士・吉村真希)。

大屋根リング「上」は落雷リスクが高い

(1)30~40㎞以内に雷雲を検知すると警戒態勢に入ります
(2)落雷リスクの上昇が見込まれる場合は、会場内の緊急放送と公式アプリを通して注意喚起を行います。特に落雷のリスクが高いとされている「大屋根リングの上」と「静けさの森」への立ち入りを規制し、リング上の人へ地上に降りるよう誘導します
※すでに、4月14日(月)に、落雷の恐れがあるとして立ち入り規制を実施済み
(3)さらに落雷の恐れが高まった場合は、警備員などにより来場者に、建物内や大屋根リング下へ避難するように呼びかけを行います

大屋根リングの避雷の仕組みは?

「大屋根リング」には、避雷設備が設置されています。

大屋根リングの外縁部には、「水平導体」と呼ばれるアルミ製の板がぐるりと取り囲まれていて、雷を受け止める構造になっています。「水平導体」に雷が落ちると、引き下げ導線を通って、落ちた雷を地中に安全に逃がすことができます。博覧会協会によりますと、この避雷設備によって、大屋根リング下は雷の直撃の可能性が低い「保護範囲」になっているとのことです。

雷の音が聞こえたら、雷雲が10㎞先まで近づいている証拠になります。いつ、落雷の被害があってもおかしくない状況です。避難の指示に従って行動し、パビリオンなどの建物内や大屋根リング下、バスの中などにすみやかに移動してください。

また、気象庁のHPなどで大阪市内へ雷注意報が発表されていないかを事前に確認し、発表されている場合は、念のために落雷危険エリアには近づかないようにしてくださいね。

次回は、大阪・関西万博の“ゲリラ豪雨”を監視する「最新鋭 気象レーダー」についてお伝えします!

◆取材・文 吉村真希
毎日放送 気象予報士(南気象予報士事務所所属)。MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」「こんちわコンちゃんお昼ですょ!」「福島のぶひろの いんじゃない?」に出演中。
防災士・健康気象アドバイザー・野菜ソムリエ・行政書士有資格 
「気象災害から命を守る」気象講演なども担当