スーパーでのコメの平均価格は18週ぶりの値下がりとなりましたが、それでも5kgあたり4214円と高止まりしています。いくらなら納得してコメを買うことができる?適正価格はいくら?MBSは関西の1万3000人にLINEで調査。さらに、流通経済研究所・折笠俊輔主席研究員に見解を聞きました。

 4月28日~5月4日のスーパーでのコメ販売平均価格は、18週ぶりの値下がり(-19円)となりました。この値下がりについて流通経済研究所・折笠俊輔主席研究員は、ようやく備蓄米の流通が始まった兆しではないかと指摘します。

 ただ、“流通円滑化”を目的とした備蓄米放出は今回が初めてで、業者間の契約・やり取りに時間を要しているほか、卸業者などの精米能力に限界があり、まだ限定的な流通という見解。1回目・2回目に放出された備蓄米は5月下旬から6月にかけて消費者の手元へ届くのではないかということです。

1.3万人に聞いた「コメ価格」についてのアレコレ

 今回、消費者のホンネを知るべく、MBSの番組「よんチャンTV」は視聴者1万3629人を対象にLINE調査を実施。「今のコメ価格をどう思う?」という質問に対して、以下の回答結果となりました。

【Q.今のコメ価格をどう思う?】
 高すぎる:77%
 少し高いと感じる:20%
 妥当:2%
 安い・気にしない:1%

 また、同じ質問を街の人に直接投げかけたところ、次のような声が聞かれました。

 「せめて5kg4000円を切ってほしい」
 「前の値段(5kg2000円)に戻ってほしい」
 「正直めっちゃ困っています。中学生もいるので家計に直結してくる。食費がすごいことになっていて。せめて5kg3000円ぐらいには価格が落ちてほしい、子どもも白米が好きなので。子どもにはむしろお米を食べって言ってあげたいじゃないですか、好きなだけ食べって」

 続いて、LINE調査で「5kgのコメ、いくらまでなら買いたい?」という質問には…

【Q.5kgのコメ、いくらまでなら買いたい?】
 2000円未満:12%
 2000~3000円:55%
 3000~4000円:27%
 4000円以上でも:6%

 では、コメの価格が高いままならどうしますか?パンや麺を増やすのか、安いコメに変えるのか…視聴者の回答は以下のようになりました。

【Q.コメ価格が高いままならどうする?】
 パンや麺を増やす:42%
 安いコメに変える:27%
 価格が上がっても変えない:31%

5.jpg

 折笠主席研究員は、コメの高価格が続けば消費者の「コメ離れ」が進む可能性があると指摘。一方で、魚・味噌汁・発酵食品といった日本の食文化を考えるとパンやパスタへの置き換えは難しいともいいます。そのため今後は「量を減らす」か「外国産米の利用増加」といった形で日本のコメ離れが進行するのではないかと分析しています。

コメの適正価格とは…そもそもどうやって価格決まる?

 次に、コメの適正価格について。LINE調査で「コメを選ぶ基準」を聞いてみると、以下のような回答結果が出ました。

【Q.コメを選ぶ基準は?】
 値段:38%
 品質・ブランド:32%
 味:27%
 その他:3%

 折笠主席研究員によりますと、コメ価格は「需要と供給のバランス」で決まりますが、実際は需要と供給の正確な量を農水省などが把握ができていないため、「今年の収穫量はこれくらいだろう」といった“見込み”に基づき価格が決まっているということです。

 そして、供給がどれだけ不足しているかが明確でないと市場に不安感が出て価格が下がりにくいと折笠主席研究員は指摘。例えば、インバウンドの急増や、万博会場やその周辺での需要急増など、需要が推測しづらく、さらにコメはその年にどれだけ収穫できるのかも推測しづらい、というのが難しいポイントのようです。

8.jpg

 コメの流通価格の指標に「概算金」(仮渡し金)があります。概算金とはJAグループがコメを集荷する際に農家へ一時的に支払う前払い金のことで、買い付け競争が激しくなり、今年の概算金は例年より約3~4割上昇するところもあるそうです。そうなると指標が高くなるため、それにつられて全体的なコメの価格も高くなると折笠主席研究員は指摘しています。実際にコメが足りているかどうかを別にして価格が決められているため、新たなやり方を模索する必要があるかもしれません。

 「コメの適正価格はいくら?」とLINE調査で聞いたところ、2000円台に戻ってほしいという回答が半数以上でした。

【Q.コメの適正価格(5kg)はいくら?】
 2000円未満:17%
 2000~3000円:57%
 3000~4000円:23%
 4000~5000円:3%
 5000円以上:0.6%

 折笠主席研究員にもコメの適正価格を聞くと、「5kg2980円」くらいではないかとコメント。消費者にとって4000円超えは高すぎで、家計に大きく響きます。一方で生産者にとっても農業資材・燃料費などコストは上がっています。そのあたりを考慮すると、3000円前後が望ましいのではないかといいます。

「5kg2980円」の未来は来るのか…

 コメ価格は今後、「備蓄米の放出が進めば6月にかけて価格は緩やかに下がる見込み」だと折笠主席研究員は話します。「急激な値下げは期待できず、数十円単位の下落」ではないかということで、現実的に5kg2000円という相場に戻ることはないだろうとみています。

 5kg2980円まで下げるためにはどうすればいいのでしょうか。折笠主席研究員は、生産量そのものが足りてない面があるのではないかと指摘した上で、「主食用のコメの生産をいかに増やすか」と指摘。また、「コメの生産量を正確に把握すること」も必要ということですが、これに関しては農水省が今後どのようなシステムを構築していくかがカギと言えそうです。

 課題としては、事実上の“減反政策”(コメ価格を下げすぎないために補助金を出して生産量を調整する)の見直しを行い、生産量を増加させる方向へ向かうことが必要だといいます。その上で、もし余剰が出れば、備蓄米として保管したり、輸出に回したりすることで価格をキープするべきだと折笠主席研究員は述べています。

 もうしばらく耐える必要がありそうなコメの価格高騰。今後の動きに注目です。