コメ5kgの全国平均は3939円と値下がりの気配が見えない中、政府は価格高騰を抑えるために放出を決めた備蓄米について、3月10日から入札を行うと発表しました。備蓄米放出でコメの価格は安くなるのか?コメ政策に詳しい宇都宮大学・小川真如助教への取材を含めてまとめました。
備蓄米放出で期待…コメは安くなる?
小川真如助教は、「価格が下がるには3つのハードル」があると指摘しています。
(1)入札がうまくいくか
(2)業務用→スーパーへと波及していくか
(3)「売り渋り」が放出されるか
1つずつ詳しく見ていきます。
1つ目のハードル 入札がうまくいくか
3月10日に始まる入札がうまくいくかが「コメの価格が下がる」最大のポイントだと小川助教は言います。
政府は21万トンの備蓄米放出を決めていますが、まずはそのうちの15万トンが10日、入札にかけられます。この入札に参加するのは、大手集荷業者に限られていて、「販売計画」などの提出が義務付けられています。参加業者が例えば5万トンで備蓄米を落札した場合、原則1年以内に同品質・同量のコメを政府に売り戻すことが条件になっています。
しかし、コメの価格が変動することにより業者が損をする可能性はないのか、といった点は不透明で、入札がうまくいくのか不安が残ります。
2つ目のハードル 業務用→スーパーへと波及していくか
小川助教によりますと、備蓄米は多種多様な品種が含まれていて、コメの品種を問わない外食や加工用などの業務用米としての使用がメインになるのではないかということです。
備蓄米で放出されるコメは「コシヒカリ」「ゆめぴりか」などの有名な品種だけではない41種。馴染みの薄いブランド米は単一で売れないかもしれないため、スーパーに並ぶとすれば、複数の品種をミックスしたブレンド米として出される可能性が考えられるといいます。
3つ目のハードル 「売り渋り」が放出されるか
そして、備蓄米放出の一番の理由である「売り渋り」は解消するのか。小川真如助教は「入札がうまくいってコメが市場に出回れば、高値を狙って売り渋っていた業者もコメを放出するのではないか」と推測しています。