14日、農林水産省は「備蓄米」21万tを放出すると発表しました。早ければ、3月下旬にも店頭に並ぶとみられています。これまで備蓄米が放出されたのは東日本大震災などの災害時や凶作時でしたが、今回は「流通の円滑化」が目的だということです。備蓄米で価格高騰は解消されるのか?農業経済学者の荒幡克己教授に聞きました。
備蓄米放出 今後の流れは?
農林水産省によりますと、初回は15万tを放出し、その後は流通状況を見ながら追加して、最終的には21万tを放出するとしています。放出した米は入札で選んだ業者に売却し、1年をめどに同じ業者から同じ量を買い戻して再び災害時などに備えるということです。
荒幡教授は放出される21万tに関して「少なすぎても効果がないし、多すぎても価格が下落し生産者に影響が出ることから、ちょうどいい量なのではないか」とみています。
現在、国にはどれくらい備蓄米がある?
国は毎年約20万t備蓄していき、5年間貯めておくため、合計約100万tの備蓄米が国に貯蔵されている状況です。5年持ち越した後は、飼料用などとして販売されます。
今回放出される備蓄米の内訳は次の通りです。
●2024年産 10万t
●2023年産 5万t
計15万tです。
なぜ新しい米から放出するのでしょうか、荒幡教授によりますと「古い備蓄米でも低温貯蔵で十分おいしいが、消費者に安心して受け入れられるよう新しい米から放出するのではないか」ということです。
米の価格は今後どうなる?
主な米の経路は以下の流れです。
生産者 ⇒ 集荷業者 ⇒ 卸売業者 ⇒ 小売店 ⇒ 消費者
今回は「生産者」と「集荷業者」の一部がお米をストックしているとみられるということです。より値段が高い時期に売れるように“売り渋り”をすることが原因で流通が円滑化していないと国は見ています。
備蓄米を放出することで解消されるのでしょうか、荒幡教授によりますと「ストックしている業者が売り出す可能性がある。目詰まり解消に期待できるのでは」ということです。
米の価格について荒幡教授は、流通が安定する5月の連休明けごろに1割ほど安くなるのではないかと見ています。
五つ星お米マイスターに聞いた「備蓄米は美味しいの?」
店頭に備蓄米が並んでいても消費者にはそれが備蓄米かどうかはわからないそうです。気になるのは「備蓄米の味」。五つ星お米マイスターの西川信一さんは「古米(2023年産)も全然美味しいです!白米のまま食べても美味しいですよ!」と話します。
水分量が少ないので酢飯や海苔との相性が良く、寿司店は古米を好むそうです。他にも丼やチャーハンも古米との相性が良いということです。
炊飯器で古米を炊く際には、米1合に対し、小さじ1杯のみりんか料理酒を入れると、コクや旨みがより出るそうです。
備蓄米は早ければ3月下旬にも店頭に並ぶとみられています。