日本時間の2月13日にキャンプインしたロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(30)。今年は二刀流復活に期待がかかる大谷選手ですが、経済を動かす広告塔としても大活躍していて、スポンサー企業は増える一方です。野球界はもちろん、世界中のアスリートの中でもトップクラスの存在になっている“大谷マネー”について、桜美林大学・西山守准教授などへの取材をもとにまとめました。

2024年の経済効果は1168億円!?

まず、大谷選手の契約額について。10年で7億ドル(当時1100億円)の契約ですが、10年間で受け取るのはこの3%で、残りの97%は契約終了後に受け取るとしたことが話題になりました。メジャーリーグにはサラリーキャップという“チームが支払える年棒の上限”があり、他に良い選手を集めるには大谷選手のみに多く払えないという事情が。そこで大谷選手が“支払いは後でいいので代わりにチームを強く”と提案したのです。

そしてドジャースとしての2024年のスポンサー収入は、大谷選手が加入して7000万ドル(約110億円)増加(米経済紙・フォーブスより)。これはなんと大谷選手の年棒1年分に相当します。

“ミスター経済効果”こと関西大学・宮本勝浩名誉教授の試算によると、2024年の大谷選手の経済効果は約1168億円だということです。

例えば…
大谷選手の応援ツアー売り上げ増加:約70億円
契約する日本企業の売り上げ増加:約20億円

大谷選手の人気が揺るがないワケとは?

そんな大谷選手、これほどの人気の秘密は、一番は何といっても「実績があること」です。

2018年:新人王
2021年:MVP/オールスター/二刀流出場
2023年:本塁打王
2024年:MVP/Wシリーズ制覇

成績が右肩上がりで、次の年の活躍に対する期待値が大きいこともポイントです。さらに人間性や、結婚して父親になるなどフィールドが広がっている点に魅力を感じている人も多いのではないでしょうか。

契約できなければマイナスに!?大谷選手とのスポンサー契約

桜美林大学・西山守准教授によると、大谷選手個人でのスポンサー契約は前シーズンで20社ほどあるのではないかということです。

【大谷選手個人と契約】
ECC/伊藤園/コーセー/興和/コナミ/JAL/住友ゴム工業/セイコーウオッチ/西川/日清製粉ウェルナ/ニューバランス/ディップ/HUGO BOSS/ファナティクス/ポルシェ/三菱UFJ銀行/ラプソード など

【ドジャースと契約】
アフィーラ/伊藤園/ANA/大創産業/カンザイ/木下グループ/コーセー/興和/THK/築地銀だこ/トーヨータイヤ/ヤクルト など

大谷選手のCMのギャラは日本人唯一の“億超え”ではないかとも言われています。通常は1年契約、もしくはキャンペーンごとの契約ですが、大谷選手の場合、複数年契約もありえると西山准教授はいいます。なぜなら、ライバル企業に取られたくないからです。

スポンサー企業を見てみると、大谷選手個人と契約している企業の競合他社がドジャースと契約しているケースが見られます。両方と契約している企業もあり、これも“ライバルに取られたくない”という思いがあるのではないかということです。

西山准教授曰く、大谷選手と契約できるかどうかが競合関係を左右し、「契約できたらプラスというよりも、契約できなければマイナスになりかねないくらいの存在」だということです。

企業への恩恵も“ケタ違い”

検索キーワードで分析した“大谷効果”の恩恵を受けた企業ランキングを紹介します(宣伝会議「Adver Times.」より)。

1位:ディップ:知名度64%→74%、広告効果は16.5億円
2位:ECC
3位:コーセー:30代~50代男性の購入者が10倍に
4位:バンテリン(興和)
5位:パワプロ(コナミ)

他にも…

西川:「エアーSX」(マットレス)の売り上げが2年で2倍に
伊藤園:「お~いお茶」の売り上げが去年の3~5倍の店舗も

「コラボ商品」でさらに収入が増えるかも!?

大谷選手の収入は、野球界ではトップクラスと言えますが、アスリート全体で見ると…?

【世界で最も稼ぐアスリート】(2024年・フォーブスより)
1位:C・ロナウド(サッカー):約390億円
2位:ジョン・ラーム(ゴルフ):約327億円
3位:リオネル・メッシ(サッカー):約203億円
4位:レブロン・ジェームズ(バスケ):約192億円

このランキングでは、意外にも大谷選手(約131億円)は13位。一方で、大谷選手は後払い契約です。年俸として入っている額は131億円でも、実質の金額を試算すると約238億円で、メッシを超えるのではないかということです。

また、今のアスリートにとって一番稼ぎが多いのは、年俸・CMよりも「コラボ商品」。その筆頭は“バスケ界の神様”マイケル・ジョーダンモデルのシューズ「エアジョーダン」です。一説では売り上げの5%が本人に入る契約とも。バスケットボールでの生涯年収140億円に対して、1年間で得たシューズのロイヤリティーは現地メディアによると200億円だということです。

アスリートとファッションがかけ合わさると、幅広い層が購入します。今後、大谷選手モデルの商品が登場すれば、もしかするとエアジョーダンを超える売り上げとなるかもしれません。

3月18日(火)・19日(水)には、東京ドームで開幕戦(ドジャース対カブス)が行われます。同じ頃、大谷選手のCMラッシュになるとも言われていて、これからさまざまな場所で大谷選手を見ることができそうです。