兵庫県・斎藤元彦知事の去就が全国的に注目を集めています。9月19日の県議会で不信任決議案が提出され、可決は「ほぼ確実」と言われています。いっぽう知事も、議会を解散させることができ、解散と辞職、いずれを選択するのかに注目が集まっています。
決断の目前、MBS山中真アナが直撃質問。「今、相談している相手はいますか?」と問われた斎藤知事の回答は…。

そもそも『不信任決議』とは…可決された場合の流れは

 可決が「ほぼ確実」と言われている斎藤知事に対する不信任決議。連日報じられていますが、過去を振り返ると非常に珍しいことなのです。そして、知事が議会を解散した例は過去に一度もありません。

 まず不信任決議案が可決された場合、10日以内に知事が議会を「解散」するか、10日以内に解散をせず知事自身が「失職」するか、といった流れになります。

 議会が解散された場合はは、40日以内に県議選が行われます。知事が失職した場合は、新知事を選ぶ選挙が50日以内に行われ、同じ人物が再度出馬した場合は、いわゆる“出直し選挙”となります。

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 どうしてこうなっているか、というと「二元代表制」だからです。有権者が知事と議員の両方を直接選びます。知事も議員も県民から直接選ばれるため、それぞれが大きな力を持つことが特徴です。もし知事が暴走したときは、議会は「不信任決議」という“最終手段”を持ち、もし議会が暴走したときは、知事が「解散」させることができます。バランスをとっているということになります。

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 兵庫県の有権者に直接選ばれた知事の力は非常に大きく、したがって知事への不信任決議案は文字通り“最終手段”であり、ここに行き着くまでに議会はいくつかの段階を踏みます。

(1)辞職申し入れ
 法的拘束力なし。多くの議員が賛同すると、円滑に議会が運営できなくなる。今回は全会一致で提出された。
(2)辞職勧告決議
 法的拘束力なし。議会の記録に残るため、「辞職申し入れ」より強い力を持つ。
(3)不信任決議
 法的拘束力あり。

不信任決議に至るまでに、知事と議会の間で調整がなされるか、知事が辞職を決断するのが通例ですが、今回は“最終手段”が行使されることになりそうです。

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 さてこのほかに、住民と知事が対立した場合、署名を集めて知事を辞職させる「リコール(解職請求制度)」もあります。ただ、有権者の多い自治体の場合は非常にハードルが高く、兵庫県の場合は、有権者全約450万人のうち66万人の署名が必要になります。

“最終手段”を突き付けられた斎藤知事…今何を語る?

 都道府県議会において、不信任案が可決された例は過去に4つしかなく、解散した例は1つもありません。1976年に岐阜県の平野三郎知事(辞職)、2002年に長野県の田中康夫知事(失職して出直し選挙で当選)、2003年に徳島県の大田正知事(失職して出直し選挙で落選)、2006年に宮崎県の安藤忠恕知事(辞職)

 というのも、1度不信任決議を出された知事が、「議会を解散し、新たな議会になっても、ふたたび不信任決議が出されて、結局は辞めることになる」可能性がかなりあるからです。新議会で再び不信任決議が出された場合、1回目より可決のハードルが下がります。

▼1回目の不信任決議:3分の2以上の出席・4分の3以上の賛成で可決→10日以内に解散or辞職となる

▼2回目の不信任決議:3分の2以上の出席・過半数の賛成で可決→知事失職となるからです。

 今回の兵庫県の場合、解散後の新議会で、斎藤知事を支持するの議員が過半数(44人)を越えない限り、解散しても結局失職が近いということになります。

 斎藤知事は解散に踏み切るのでしょうか。山中アナは17日、知事に直接取材をし、真意を尋ねました。

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【斎藤知事への取材】
 (山中アナ)「県政を進めたいが、進められないという今の状況で、知事が辞職を選ばない理由を教えてください?」

 (兵庫県 斎藤元彦知事)「3年前に大きな負託を受けまして、様々な改革を進めてきました。文書の問題については、改めないといけない点、改善しないといけない点も出てきていると思います。それをしっかり対応して、その上で与えられた任期を全うしていくことが、改革を進めていく上で大事だと思いますので、それをこれからも県民の皆さんにご理解いただけるように頑張りたい」

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 (山中アナ)「今も知事のもとには、『続けてほしい』という声はあるのか?」
 (兵庫県 斎藤元彦知事)「いろいろ声はあります。もちろん批判も重く受け止めています」

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 (山中アナ)「今、相談している相手はいますか?」
 (兵庫県 斎藤元彦知事)「知事は最終決定権者であり、政策も含めて重い判断をしていく立場です。今回は不信任決議案という大変重い議会側の検討、そして、これから対応を決めていくことになりますので、自分自身で考えていくことが大事です」

 (山中アナ)「最大の支援者であろうご家族は、今回のことをどのように言っている?」
 (兵庫県 斎藤元彦知事)「そこはプライベートの世界ですし、基本的には仕事ですから、これは私が決めていくということです」

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一方、知事の立場に立った、こんな質問も…

 (山中アナ)「百条委員会の調査結果が出る前に、ご自身の進退が決められようとしていますが、これに対する不満というか、ご意見はありますか?」

 (兵庫県 斎藤元彦知事)「第三者委員会を設置、百条委員会を設置ということで、議会側から調査をしっかりやりたいと設置されましたので、我々としては、そこにきちんと対応してきたということです。その過程の中で、私の行いや言動に関して不適切なところがあったということは、改めてお詫びを申し上げたいと思います。それでも私は県政の改革を含めて、しっかり進めていきたいという思いです」

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 取材した山中アナは、「記者やメディア、そしてその向こうにいる県民に対して、非常に丁寧に対応していました」とし、一方で、「何を聞かれても、話すと決めていることしか話さない」といった印象を話し、「斎藤知事の真意は分かりませんでした」とまとめました。

百条委の調査結果が出る前に『不信任決議』を出していいのか?

 仮に議会が解散した場合の、2つの論点を問題提起します。

▼斎藤知事の“疑惑”を調査している「百条委員会」も解散となります。自身を調査中の百条委員会を解散させることの是非はどうでしょうか?

▼知事の疑惑は現段階で疑惑。百条委員会の確定した調査結果が出る前に、不信任決議することをどう考えますか?

 2つ目について。調査結果は12月に出るとされる、その段階で議会側が不信任決議を出すことは、「きちんと調査をせずに元県民局長を処分した件と『同じこと』をしているとみるのか、それとも立場も違うので仕方ない、とみるのか」こういった目線も、県民のみなさん含めて、冷静に見る必要があるかもしれません。

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また、解散となれば衆議院の解散総選挙と時期が近くなるのではないかという見方もあります。もしそうなった場合は、斎藤知事との距離感や知事への対応で党や人を選ぶのか、それとも国政の政党選択となってしまうのか、というのも見ていかないといけないと思います。(MBS「よんチャンTV」2024年9月17日)