兵庫県の斎藤元彦知事の“パワハラ疑惑”をめぐって、8月23日、県議会の百条委員会が開かれ、知事のパワハラを受けたあるいは目撃した可能性のある県職員6人への証人尋問が行われました。また、職員へのアンケートの中間報告が公開されました。
“厳戒態勢”で行われた証人尋問…職員への“報復人事”のリスクを配慮
23日に行われた県職員6人への証人尋問。1人あたり約1時間の尋問が行われ、プライバシー保護のため、完全非公開の“秘密会”形式で実施。場所は兵庫県庁3号館で、5~7階を立ち入り禁止にしました。館内には「立ち入り禁止」を知らせる紙が貼られ、注意を促す職員も配置するなど“厳戒態勢”が敷かれていました。証人尋問に参加する職員への“報復人事”の可能性が否定できないため、プライバシー面でセンシティブになっているようです。
証人に呼ばれた職員は自席を外すことになるため、結局は“特定”されるのではとの懸念がありましたが、もともと必要だった“上司の承認”が不要になったことで、尋問に出席しやすくなっているということです。
『机の配置が気に入らない、ペンのインクが出にくい...で恫喝・叱責』
次に、公開された職員へのアンケートの内容についてです。アンケートは兵庫県の職員約9700人のうち約7割から回答があり、中間報告として約4500人分の回答が23日に公開されました。このうち333人は「記名」で回答し(「無記名」での回答も可)、また231人は百条委員会に協力する意思を示しました。
アンケートでは、亡くなった元県民局長が告発した“7つの疑惑”のうち、『職員へのパワハラ』については、59人が「実際に知っている」、466人が「実際に知っている人から聞いた」と回答。
「目撃・経験などにより実際に知っている」の回答では、次のような内容が書かれていました。
▼机の配置が気に入らない、ペンのインクが出にくい。そんな些細ことで部長等幹部を睨み恫喝・叱責していた。
▼政策会議の場で怒り、机を叩き、激高する。
▼定例記者会見の項目説明の際、レク開始早々に知事は「聞いてない」と発言。持っていたペンを机上に放り投げ、場の空気が凍り付きました。
23日時点では、知事側は、アンケート結果をまだ見ていないとして、これらが事実かどうかについて明言を避けています。
30日には知事に尋問 百条委の判断を受けて議会は動く?
最後に、今後についてです。8月30日には“公開”で証人尋問が行われ、斎藤知事が出席。幹部職員2人の証人尋問も実施されます。“7つの疑惑”について、百条委員会は事実か否かを判断し、年内を目標に調査報告書を作成するということです。
それを受けて、知事に責任を問う「問責決議案」や、辞職を促す「辞職勧告決議案」が議会から出され、可決されるかもしれません。ただ、法律的には、可決されても知事は辞めなくて良いとなっています。一方で、「不信任決議案」が可決の場合、知事は10日以内に「辞職か解散」となりますが、議会が解散のリスクを負ってまで不信任決議案を出すのかは疑問です。
また、9月上旬を目指し県が弁護士などに依頼して設置する「第三者機関」では、百条委員会とは別に“7つの疑惑”や、「公益通報」の県の取り扱いについても調査予定。来年3月上旬をめどに調査報告書を取りまとめるということです。
本来守られるべき「公益通報」者について、知事は「嘘八百」と発言し、その後、通報者は処分されました。この時点で、知事は辞職に値すると考える人もいます。今後の百条委員会や斎藤知事の動向に注目です。