帰省シーズンに考えたいテーマ。「実家片づけ」のポイントを、片づけアドバイザーの石阪京子さんに聞きました。「モノと紙」にわけて片づけるコツなど実践的なアドバイスに加え、石阪さんは妙な「棺桶ボックス」なるものも用意しているそうです。

これから実家片付けする人は「不安」

(石阪京子さん)自宅の片づけと実家の片づけは全然違います。自宅と違い、ご両親のものですからなかなか手をつけにくい。しかし、もしものときに、実家の片づけをやっておかないと大変なことになってしまうんです。

――実際に実家の片づけをした方や、これからしようと思っている方に話を聞くとこんな話がありました。
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【これから片づけようとしている人】
「物が溢れている。どこから手つけていいのかわからない?買った土地の書類など、大事なものが見当たらなくなっていて、今、どこに何があるかわからない。母がいなくなったら、何もわからないことになる。」

【すでに実家片付けを終えた人】
「親は1人暮らしなのに、4人家族のときの大きな食器棚があって、布団も三人分押し入れにあって、余分なものはまだまだある感じ。使っている食器はすごく少なくて、でも、『お正月に来たときに』とか『何々を作ったときは』とか言い出すと捨てられない。母は戦争を経験した世代なので、壊れていないものを捨てることに、抵抗がかなりあったと思う」
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――親が元気なうちに片付けしてよかったと思っているかと伺うと。

【すでに実家片付けを終えた人】
「絶対そう思います。亡くなったときは、やることもたくさんありますし、気持ちも落ち込んでいる中で片づけるのは、だいぶしんどいと思うんです。」
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悲しみの中の片づけは大変、判断も大変

(石阪京子さん)相続税の申告納税期間は10か月以内というのがあるんですが通帳がどこにあるかわからないとか、借金をしているかもしれないとか、そういったこともありますのでご存命のうちに片づけるのがいいです。

――遅らせると出費も増えます。不用品回収も年々高くなっていますし、お亡くなりになってからの片付けは交通費もかかるし、賃貸住宅なら家賃も余計にかかる。いっぽう親の側にとっても、早くやった方がいい理由があるそうです。
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――具体的には「安全に暮らせる」「介護・車いすに対応」「最期のときを自宅で過ごせる可能性」「親御さん自身お金の整理ができる」「脳トレになる」また、「意欲的になる」というのは石阪さんどういうことですか?

(石阪京子さん)「モノだらけだったキッチンを片付けたら、『またお料理したくなったわ』って言う例も多いんです。またお母さんの黒豆が食べたいわとか、そういったことが叶うようになります。」
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実家片付け事件簿 CASE1「もったいないの壁」

――いっぽう、『実家片付け事件簿』という例も紹介しましょう。CASE1は、「片づけに立ちはだかる…親世代あるある『もったいないの壁』」これは、どうしたらよい?

(石阪京子さん)壁を打ち破る魔法の言葉は、「もらっていい?」「売れるかも?」です。捨てるのが勿体ない、ものを粗末にするのは良くない、という時代を生きていらっしゃるので、「あの人にあげたら喜んでもらえる」というとか。
 古いレコードなんか、ご自身は全然使わないんですけれど、「これあそこの喫茶店に持っていったら喜びはるよ」と言ったら「喜んでもらえるなら…」って反応してくれると思います。
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実家片付け事件簿 CASE2「親が急に不機嫌に」

――『実家片付け事件簿』CASE2は、「片付けていたら、親が急に不機嫌になった」これは?

(石阪京子さん)口に出さなくても、疲れてきたら不機嫌になります。おやつの時間とか、作ってから片付けを始めます。また、変化することへの不安がある年齢なので、私は若い方には「3日で片付けよう」と言いますが、年配の方はゆっくり時間をかけるのがいいと思っています。
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実家を「モノの片づけと、紙の片づけ」に分ける

――実践編に参りましょう。実家片づけは「モノの片づけと、紙の片づけ」に分けて考えましょう。モノの片づけのゴールは、「親が安全に暮らせる家」です。危険を考えて1:床に置くものを減らしましょう。2:転んでもけがをしにくいようにしましょう。床に物を置くと滑って転ぶ、転んだとき何かに頭を打つ、あとはベッドがおすすめですか?

(石阪京子さん)そうです。布団の上げ下ろしはだんだんしんどくなります。ベッドだと、座って立ち上がることができますから、この機会にベッドにして、車いすが通れるスペースを作るのがおすすめです。ベッドにするとベッドの下を収納に使えます。本棚やタンス、周りにあると地震の際など危ないです。その点でもベッドがおすすめになります。

――ご実家となると、お子さんが育った部屋などは空いてることが多いですよね。

(石阪京子さん)元子供部屋をまず片付けて、「置いといて」と言われたものは全部そこに置きます。
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(石阪京子さん)紙は、保険関係とか、介護が必要になったときの紙とか、もし親に聞けなくなったときに、子供世代が把握していないと、お金にまつわる紙がどこにあるかわからなくなりますので紙の片づけはめちゃくちゃ重要です。

――紙はどのように仕分けするか。まず「金目の紙」は通帳、キャッシュカード、生命保険証書、株主優待の紙など。「使う目的のある紙」は、診察券、家電保証書、年賀状、アンケートなど。この2種類は残しますが、それ以外は捨てていいという考え方ですか。

(石阪京子さん)そうです。金目の紙と、使う目的のある紙だけを5秒で取り出せる仕組みをつくります。ただ、不動産関係の紙だけは別に保管しましょう。不動産関係は動かないので、別に分けておかないと他の紙に紛れます。重要な契約書などは、別に分けて押入れの奥に置いておくとかして、子供世代に「ここに置いてるからね」と伝えておくのは重要になります。

4種類のボックスで紙を仕分ける!

――では紙を残した後、どのように整理すればよいのか、例えば石阪さんは4種類「マネー」「健康」「暮らし」「未処理」の4つのボックスをつくります。未処理は何のためですか?

(石阪京子さん)うちに書類が入ってきたときに、いろんなところに置いちゃうんです。それでどこに行ったかわかんなくなってしまうので、まず未処理ボックスに入れましょう、一時置き場を作っておきます。
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――では具体的に見ていきましょう。「宝石の鑑定書」ならマネーに入ります。「診察券」なら健康に入ります。では「パスポート」は?「暮らし」ですかね。「家電の保証書」、これも「暮らし」ですね。「年賀状」はどうでしょうか?
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(石阪京子さん)2023年の年賀状は、もう捨てて大丈夫です。年賀状は、次の年賀状を書くための資料というふうに考えると、その1年分だけあればいいです、捨てる。

孫からの手紙、思い出の行き先は?

――では「孫からの手紙」こちらはどうでしょう。

(石阪京子さん)私は「棺桶ボックス」という大事なモノ入れを作って、その中に『ままへ まま大すき』などと書かれた子供の手紙とかを入れています。「私に万が一があったときには、これを棺に入れてね。」というのを家族に伝えています。
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――なるほど!くれぐれも「棺桶ボックス」がやたら大きくならないように片づけに気をつけてください。(MBS「よんチャンTV」2024年8月14日放送より)