10月12日に盛山正仁文科大臣は臨時会見を開き、旧統一教会への解散命令請求を正式に決定した上で、10月13日以降に解散命令を東京地裁に請求する方針を発表しました。そんな中、旧統一教会が資産を海外に移す可能性が指摘されていますが、旧統一教会について約20年取材するジャーナリストの鈴木エイトさんは「100万円までなら申告無しで韓国に持ち込み可能で、すでに韓国渡航が促されたという情報がある」と話します。さらに鈴木エイトさんは旧統一教会側が解散命令請求を止めるために様々な活動をしているとして「自身も1000万円を超える損害賠償などのスラップ訴訟を起こされている」という現状を明かし、その狙いについても解説します。(2023年10月12日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

▼鈴木エイト:ジャーナリスト 旧統一教会を約20年取材 政治家への追及も行う 日本ジャーナリスト会議JCJ大賞を受賞

――盛山文部科学大臣が、旧統一教会の解散命令を速やかに請求する考えを示しこれを受けた教団側がホームページにプレスリリースを掲載しました。「解散命令請求の決定は極めて残念であり遺憾。今後は裁判において法的な主張を行っていく」と。旧統一教会を20年以上取材しているジャーナリストの鈴木エイトさん、発表に関しては、どういうふうに思われますか。

(鈴木エイト氏)はい。その文言以外にも、今回の件は弁護士団体とか報道の問題だ、みたいなことも述べていて、非常に冷静さを欠いているような内容です。国に対しても敵愾心を見受けられるような内容で、逆に解散命令請求に当たっては非常にわかりやすい、進みやすい状況かなと思いました。

――全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士に聞いた今後の流れです。文部科学省が解散命令請求し、それを受けて「地方裁判所が解散命令を出す」とするなら、ここまでにおそらく8~10ヶ月かかるということです。それに教団が不服申し立てをした場合、今度は高等裁判所の判断、そして解散命令が出されたとして、ここまで約1年かかりそうとのことです。教団がさらに不服申し立てをして、最高裁判所で判断があるとすれば、おそらく1年2か月ぐらいかかるのではないかというのが見立てです。

(立岩陽一郎氏)裁判所の判断は、何を認定してどの部分で解散命令を出すなら出すっていうことをするのか、それはもう少し明らかにしてほしいです。文書で公表するなりしないと、こういう裁判とか法律では、『この団体に対してはこうだ』というのが一番危ないわけです。オウムのときは、みんな納得していた、本当に犯罪集団でしたから。で、旧統一教会がそういうふうに言えるのか、我々ではわからない部分があるので、やっぱり明らかにしてほしい。

(鈴木エイト氏)小事件なので公開はされないんです。中身がなかなか見えづらいところはあるんですけれども、文化庁が1年かけて被害者のヒアリングや事例を積み上げてきたので、今日の盛山文科大臣の会見を聞くと、『相当自信を持っている』ということなので、どのような証拠を積み上げて、解散命令請求に踏み出したのか、気になります。

資金移転「既に韓国への渡航が促されている」という情報も

――解散命令が出るまで時間がかかった例。オウム真理教に関してはおよそ7ヶ月、明覚寺の件では3年ぐらいかかっています。それまでの間に、日本の教団の資産を韓国の本部に移せてしまうんじゃないか、時間がかかると賠償に影響が出るんじゃないか、という話はありますか。鈴木エイト氏によると「100万円までなら申告なしで現金を持っていくことが可能、既に韓国への渡航が促されている」という情報もあるといいますが。

(鈴木エイト氏)今年6月の時点で、日本人幹部1000人が韓国へ渡航して、そこで韓鶴子総裁の「岸田を呼べ」って発言が出たんですけど、その際にも実は『1人100万円を持って行くように』って指示が一度出たようなんです。ただ当局の監視であるとか、内部からの反対があって、かなり減額されたということなんですが、この秋以降も日本から韓国への修練会が切れ目なくスケジュールが入っているということで、そういうところで現金を記録に残らない形で移動させようとしてるんじゃないか、海外に散逸させようとしてるんじゃないか、とは指摘されてます。

――日本の資金源が失われるんじゃないか、みたいなことは、韓国でも相当気にしているということなんでしょうか。

(鈴木エイト氏)教団の資金源はほぼ日本が占めているので、そこからの送金が現状滞っているのは教団にとって死活問題です。さらに解散命令請求という形で、団体の存続などが危ぶまれている中で、韓国の本部が警戒して、なんとしても流れを止めたいということでいろんな工作をしている状況ですね。

――鈴木エイト氏によりますと、1年前の情報で教団の資産は1000億円程度。その資産の流出を防ぐための法整備を急ぐ動きがあります。立憲民主党は解散命令請求を受けた宗教法人の財産の保全を可能にする特別措置法案を、秋の臨時国会の提出を表明しているということです。

鈴木エイト氏などへの集中的な訴訟 その狙いは

――また教団の反応については、エイト氏の取材によりますと、①嘆願書の提出②幹部が謝罪、そして③スラップ訴訟が考えられるということですね。

(鈴木エイト氏)もう嘆願書は提出されているようで、8万とかのネット署名を集めるなどで揃っているようです。あと幹部をですね、日本の会長とか、韓国人の大陸会長などを辞任させる、みたいな動きも一部あったようです。そこで矛先を収めようとか、解散命令請求を何とか止めたいと、いろんなことを考えている。そして僕を含めて、弁護士の方々やメディアに対してもスラップ的な恫喝訴訟、そう捉えてもおかしくないような訴訟を乱発しています。市議会にもそうですよね、そういう形の最後の悪あがきの段階に入っていると思います。

――「スラップ訴訟」というのは実際に起きたわけですか。

(鈴木エイト氏)現状2件起こされていて、この時期に集中して僕に対して1000万円を超える損害賠償とか名誉毀損とか、そういうことを起こしてきているということで、狙い撃ちしてきているのは、このタイミングで僕をメディアに出させないようにしたい、っていう意図があるんじゃないかと見ていますけど。

――もし解散命令が確定したら、法人格を失い税制優遇もなくなる。信者はどうなるんでしょうか。

(鈴木エイト氏)もし解散命令が出て、教団の法人格がなくなったとすると、それは大きな一歩で、教団の被害を少なくさせることも期待されるんですけど、並行してやはり韓国本部が金欠になっていくにつれて、より日本からの献金の収奪・指示・目標設定が苛烈になっていく可能性の方が高いと思います。

(立岩陽一郎氏)大きいのはね、宗教法人でなくなると、国税が一斉に動きますからそういう意味ではターゲットにしていき、例えば固定資産税もこれまで取れなかったものをどんどん取っていくってことになるので、組織は明らかに弱まるでしょう。

(鈴木エイト氏)この先の注目は、財産保全の法整備が秋の臨時国会で成立するかどうかです。昨年暮れの不当寄附勧誘防止法のときのように、被害者救済のために与野党が協力して法案を何とか成立できるかどうか、そこに一番注目しています。