最新情報でロシアの首都モスクワに25機のドローンが奇襲攻撃。大和大学の佐々木正明教授によると「ドローン8機が来襲し、うち3機が住宅などを直撃した可能性がある」といいます。この攻撃にウクライナ正規軍が関与していれば、ロシアがどんな報復をするのか。また禁じ手のロシアへの越境攻撃をしたことについて西側がどんな反応をするのか。戦況を大きく変える可能性も指摘。その一方でウクライナの反転攻勢についてウクライナ北部のザポリージャ州に西側から支給された兵器が集結。今にも反転攻勢が始まってもおかしくない情勢とも。(2023年5月30日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

◎佐々木正明氏(大和大学教授、元産経新聞モスクワ支局長、ロシアのクリミア併合を現地で取材)

現地情報「モスクワ来襲のドローンは8機、うち5機は撃墜された」

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---大和大学の佐々木正明教授の解説です。たった今入ってきた情報、モスクワでドローン攻撃があったということです。モスクワ州のボロピヨフ知事はモスクワの近郊で複数のドローンが迎撃されたと発表しました。また独立系メディアのバザーは、およそ25機のドローンが今回の攻撃に関与していて、爆発物を搭載したものも含まれていたと報道。モスクワへの攻撃は現地時間30日の早朝で、確認されているのはドローン25機ということですが、これをどう見ていますか。

(佐々木正明教授)この事案、戦況を変える大きな出来事になる可能性があります。現場は緊張が高まっている状況です。モスクワが攻撃されたという状況にプーチン政権がどのような反攻に出るのか。今後注目されることになります。そして私が今状況を把握しているのは、25基のうちモスクワに届いたのは8機。そのうち5機が撃墜され、3機はもしかしたら住宅に当たっている可能性があります。現地時間朝5時半にドローン攻撃があった。思い返すと、5月3日にクレムリンのドローン攻撃がありました。そのときはドローンがウクライナ国境から飛んできたのか。もしくはモスクワ近郊から飛ばされたものであったかというのは判明していません。当局はおそらく情報は掴んでるはずです。このドローンがどこから飛んできて、誰が飛ばしたのか。どのような意図を持っていたのかということが注目されますが、今後また第2波、第3波の可能性もありますので、緊迫した状況にあるということをお伝えしたいと思います。25機というのは、おそらく途中で撃墜されたものも含むドローンだと思います。モスクワで撃墜された、もしくは爆発音を聞いたモスクワ市が確認したのは8機ということが、私が現地から見た情報でそのような状況になっています。

---以前クレムリンの上で爆発ドローンがありましたが、あれはもしかしたら「自作自演なんじゃないか」という話もありましたが、今回の事案はどうなんでしょうか?

(佐々木正明教授)クレムリンへの攻撃は、自作自演説がどんどん薄れていっているような状況です。その後のプーチン政権の反応。もしくは今、ロシアに越境攻撃をしているウクライナの義勇軍、もしくは自由軍団というのがあってその一味がドローンを持ち出して攻撃した可能性もあるとも言われております。もしくは、ウクライナ側はクレムリンへの攻撃については否定をしていますが、果たして、反転攻勢が始まる時期において、モスクワへ攻撃を連動した場合、ウクライナ正規軍がどのように関わっているのかということも見なくてはいけないと思います。"

---ウクライナ軍の反転攻勢は間近かというそんな話がありました。ゼレンスキー大統領のコメントもありましたけども、このあたりどう見たらいいんでしょうか?

(佐々木正明教授)ウクライナのメディアはウクライナ軍に不利な情報情報を流してはいけないんです。つまりウクライナのメディアは、反転攻勢についてあまり語られていないような状況にあります。ただロシア側のブロガーだったりとか、ロシア側のインターネットの情報によりますと、ザポリージャ州のリトジャというところの上の付近に、どうやらこの反転攻勢で新しく部隊を作ったというような状況があるんですね。それはアメリカの流出文書で明らかになっていますが、そこにドイツやアメリカ、NATO諸国から供与された新しい武器が、部隊が集まっているという状況があります。つまりゼレンスキー大統領が「もう決定が下された」と言いましたので、今は突破口を探している状況。ルハンシク州からヘルソン州まで1500キロぐらいあり、ザポリージャ州の上のところに大部分が集まっていますが、果たしてヘルソン州の方から、陽動作戦として突破をする可能性もありますし、突破口を探している状況で、今日、今にも開戦する可能性はあると思います。

---以前、ゼレンスキー大統領はウクライナ国内でロシアが納めているところを取り返す戦いだということを繰り返し言っていると思います。ロシア国内は攻撃しないという発言でしたが、今回のモスクワの攻撃はどう捉えたらいいのでしょうか?

ウクライナが「ロシア義勇軍」や「反プーチン一派」を支援していれば、アメリカからの武器供与に悪影響か

(佐々木正明教授)もしウクライナ正規軍が関わっていれば、もしくは義勇軍とか反プーチン派の一派にウクライナが武器を供与したということが明らかになりますと、2014年にロシア側が陰の部隊を使って、クリミア州、ドンバス地域に多くの部隊がやってきて、内戦のようなことが起こした。この逆のパターンになるという形になります。となるとウクライナ側がロシアに越境攻撃をした。支援してるという形になるので批判される、非常にウクライナ政権にとってはまずい状況になる。アメリカ側が禁じ手ということで、最初から禁止していましたが、これが明らかになりますと、今度の武器供与にも大きな影響が出る可能性もありますので、今日のドローン攻撃もしくはクレムリンへの攻撃。ロシアの影響攻撃がされている状況ですので、この動きが果たして、本当にウクライナ政権がやったものなのか。弾薬ミサイルはどのようにして実行部隊がやったものなのか、ここも注目です。そして連動して、ウクライナの正規軍の反転攻勢がどうなるかというのは注目だと思います。
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---今週、ロシア軍は首都キーウに最大規模の攻撃をしたという内容が入ってきています。ウクライナ軍の高官は28日未明の大規模攻撃でロシア軍のイラン製ドローン少なくとも40機を撃墜したと発表しています。佐々木教授はロシア軍がウクライナ軍の対空ミサイルを枯渇させようとしているとの分析もある。たくさん迎撃をさせて弾を消費させようということです。そして5月28日は建都を記念するキーウ市の日ということで、連日鳴り響くアプリの空襲警報であったり、都市空襲のミサイルやドローンが市民の精神にダメージを与えていると。だからロシアはキーウへの攻撃を強めているということなんですね。

(佐々木正明教授)キーウだけではない、ウクライナ全土です。私3月にキーウへ行ったときに、僕警報アプリをスマホにダウンロードして今も、空襲警報アプリのサイレンが鳴っています。つまり5月、今週も毎日のようにウクライナ時間未明に、日本時間の朝にアプリが鳴るんですね。そして今、子供たちが逃げています。3月の状況とは明らかに違う。岸田首相が、キーウを訪問していた状況とは明らかに違う。緊張した状況にあります。ゼレンスキー政権は「これはテロである」。プーチン政権がテロリストの国家であるというような言い方もして、この反転攻勢をするにあたって、強い言葉で批判をしている状況です今日も朝ありましたので、…今後はミサイルによる攻撃がどうなっていくのか。犠牲者が出ていきますので、これも注目したいと思っています。