旧統一教会などの宗教2世らが、宗教虐待の禁止を盛り込んだ新たな法整備を求めて、3月29日に厚労省に要望しました。現在の児童虐待防止法や、旧統一教会問題をきっかけに成立した被害者救済新法では、「子どもへの虐待が防げない」と話す旧統一教会の元2世信者・小川さゆりさん(仮名)。またエホバの証人の元3世信者・夏野ななさん(仮名)は「両親は教団内で結婚した。革ベルトで容赦なく打たれた。血が出るまで」と子ども時代の宗教虐待を語りました。(2023年3月29日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

▼小川さゆりさん(仮名) 旧統一教会元2世信者 現在は夫と0歳の息子と3人で暮らす。自身の経験を綴った著書「小川さゆり、宗教2世」を出版。
▼夏野ななさん(仮名) エホバの証人元3世信者 宗教2世支援団体を設立予定

「旧統一教会や宗教2世の問題がもう解決したかのような風潮があったので...」

---「旧統一教会」元2世信者の小川さゆりさん、そして「エホバの証人」元3世信者の夏野ななさんにお話を聞かせてもらいます。そもそも子供への宗教虐待とは何なのか。去年年末、厚労省は児童虐待等に関するQ&Aというガイドラインを示しました。その中で、背景に宗教などの信仰があったとしても、保護者が以下の虐待の定義に該当することを行った場合には一時保護等の対応が必要だとしました。虐待の定義というのが四つです。一つ、身体的虐待、二つ、心理的虐待、三つ、性的虐待、四つがネグレクトです。小川さん、この厚労省が示したQ&Aこれ昨年末発表されたものなんですが、どうしてこのタイミングで会見を行ったのかその意図を教えてください。

(小川さゆりさん・仮名)まず昨年の被害者救済法案ができた後に、世間的な風潮がもうなんか統一教会の問題や宗教2世の問題が解決されたような、ガイドラインが出た後もそういう風潮が正直あるのが現実かなって思ってしまうのと、ガイドラインが出た後の実効性や具体的に今どうなっているかっていうことの調査が議論されていないんじゃないかっていう点も踏まえて法律法整備が必要と思いました。

---まだ全然解決してないんだよということを訴えてらっしゃるんですよね?

(小川さゆりさん・仮名)そうですね。

---夏野さんはいかがですか。

(夏野ななさん・仮名)本当に小川さんのおっしゃる通り。やはり宗教的虐待に関する問題って全然解決していないので、そこをちゃんと切り込んでいただきたいなと思っております。

---それでは2人の経験をもとに話をしていただきたいんですが。一部をご紹介しますまず。小川さんは、サタンに染まると地獄に落ちると親に言われたり、恋愛禁止などの制限、親の献金による貧困、こういったことを経験されて。これは何歳ぐらいのことですか?

(小川さゆりさん・仮名)物心つく前から、そういったことは教義として教えられてきているんですけど。「サタンに染まると地獄に落ちる」っていうよりは、罪な事をすると統一教会の場合って祝福2世と言われている者は、罪を背負わずに生まれてきた。罪がないからとても血統が綺麗だと。だからその血を汚してしまうことだったり、みだらに性行為を行うこととかはすごく罪だとされていたので、地獄に落ちるっていうことまで表現されたこともあります。

---小川さんは物心ついた頃からこういう教義に基づいてご両親に育てられたということなんですが、当時はどんなことを思っていたんですか?

(小川さゆりさん・仮名)当時は恋愛の制限だったりとかが虐待であるっていうことは全く思っていなかったです。ただやっぱり自分の中でどんどん罪悪感だったりとかあの不安に感じてしまったりとか特に脱会した後はそれを信仰していないことによってもすごくトラウマになってしまったり、競技がフラッシュバックしてしまったりとかいろんな障害が出てくるっていう問題があると思う。

---夏野さんにも伺いました。親に宗教活動をしないと「ハルマゲドンで滅ぼされる」と言われたり、輸血拒否カードの携帯、さらには血が出るまで鞭で打たれるこういったことをお話されている。これ何歳頃のお話なんでしょうか。どれぐらい続いたんでしょうか?(夏野ななさん・仮名)私の場合、両親も教団内での結婚で3世ということで、生まれたときからこういう教育を受けて育ちまして、自分でもう本当に嫌だからって言って自力で出たのが中学生のときなのでそれまでずっと続いていました。

---血が出るまで鞭で打たれるというのはどういうことなんでしょうか?

(夏野ななさん・仮名)ムチっていうのは素肌なんですよね。なので素肌に、うちの場合は革ベルトだったんですけど、もう容赦なく振り下ろされるのでミミズばれになって裂けて血が出るんですよね。

---ムチで打たれるというのはどういうことをしたときにされるのですか?

(夏野ななさん・仮名)週3回集会っていう宗教の教義を学ぶ会があるんですけども、そこで小さい子だと手遊びをしたり、居眠りをしたりしてしまうんですけど、そういう場合にムチをされました。

---当時はどういうふうに思っていたんですか。

(夏野ななさん・仮名)もう本当に痛いとか、嫌だとか負の感情しかなかったです。

---そこから逃げ出そうとか、何とかならないか、抵抗っていうことはされたんでしょうか?

(夏野ななさん・仮名)親にもちろん私は宗教活動に参加したくないということも言いましたし実際に例えば家出をしたりですとか学校の先生や警察の方に相談させていただいたこともありました。

20年間旧統一教会の価値観から離れると「自分は何のためにいきているのだろうと思うこともある」

---子供の頃に受けた心の傷、大人になってどんな影響が出るのか2人にも話伺っています。小川さんによりますと、今でも好きなものを自分で選択するときに不安が残る。そしてアイデンティティが否定されているような不安に今も駆られるというお話を伺いました。そして夏野さんは、日常的にフラッシュバックがある。そして今も人間関係や恋愛が苦手だとお話しています。小川さんは幼少期の経験ですけども、今でもやっぱり不安になってしまうことが度々あってそれは過去の経験からきているというふうに考えているんですね?

(小川さゆりさん・仮名)私の場合は20年間信じてきた教義を20年後に脱会して生きていこうと決めたんですけども、ただそうなると教えられてきたもの、そもそも価値として教義が根付いていたので、その価値がもうなくなってしまうっていうことは、あれ自分で今何のために生きてるんだろうとか、自分って何が好きなんだろうとか自分のしている行動も何か罪悪感を感じてしまって、真理って何なんだろう?本当のことって何なんだろう?とかも不安がつきまとってしまうということはたくさんあります。

---夏野さんは日常的にフラッシュバック、日常生活の中でも過去のことを思い出してしまうということですか。

(夏野ななさん・仮名)そうですね。やはり普通に友達と子供のときの何気ない話とかになってもやはり思い出してしまうので、日常の至る場面でフラッシュバックあります。

---具体的な救済をということできょう(29日)小川さんらは会見を開いています。現行の児童虐待防止法に宗教虐待禁止の規定を法律で明文化してほしいということですね。法律にしっかりと明記し、宗教虐待の調査、そして権限の明確化をとしています。ですからお母さんはここが一つ一番訴えたいところでもあるわけですね、法律に明記するということ。

(小川さゆりさん・仮名)そうですね。ガイドラインで出た内容を法律に明記して宗教的な虐待であっても虐待は虐待であるという風に示してほしい。これは新たに新法を作ってくださいとかそういうものではなくてやっぱり元々首都であろうと虐待は虐待であるはずなのに、やっぱりその認知がされていないっていうことなんで改めてしっかりと明記する機会っていうのは必要なんじゃないかと思います。

---立岩さんは2人の訴えをどう聞きましたか?
(ジャーナリスト・立岩陽一郎氏)私は小川さんとか夏野さんの勇気ある発言によってかなり明確化されてきたと思いますよ。つまり、宗教の、信教の自由があったりしても、例えば未成年、自分で自分の人生を判断できない人に対してそれを強要することは親であってもしちゃいけないっていうことをやはり法律で明確化するんでしょう。例えば輸血とかね、いわゆる輸血を拒否するなんていうのを、それは親が決めて子供に強要するなんてことはどの世界でもやっぱりやっちゃいけないでしょう。
そういうことをやっぱり小川さんおっしゃったように法律で明記する、これスッゴイ大事なものですから、それは信教の自由とは違うんだというやっぱり一つの方針を示すべきですね。

---我々メディアもこういった事実をですね皆さんにしっかりと発信していきたいと思います〆