子どもを狙った盗撮被害が相次いでいます。SNS上に溢れる盗撮画像を監視して子どもを被害から守ろうと活動をしている女性を取材しました。また、盗撮の再犯率は約4割という事実も。なぜ同じ過ちを繰り返すのか?再犯で逮捕された男性が受ける更生プログラムを取材しました。

「体格がいいと高く売れる」男子児童らを盗撮した疑いの元幼稚園職員

 5月12日、児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕された元幼稚園職員・鎌田裕樹容疑者(38)。入浴施設の脱衣所などで9歳から14歳の男子児童らを盗撮し、SNSを通じて、販売していたとみられています。

 (鎌田裕樹容疑者)「(子どもの)体格がいいと高く売れる。性欲を満たすためと金を稼ぐためにやった」

 鎌田容疑者は、入浴施設を中心に5年ほど前から盗撮を始め、数千人の男子児童らが被害に遭っているとみられています。SNSを通じて、500~600人に盗撮動画を販売し、200~300万円を売り上げたと話しているということです。

SNS上に溢れる盗撮画像 ネットパトロールする女性

 警察庁によりますと、盗撮摘発件数は増加の一途をたどっています。去年1年間での全国での摘発件数は約8300件で、過去最多を更新。なかでも、子どもが狙われているケースが多発しているといいます。

 盗撮画像を監視し、性被害を防ごうと活動する女性がいます。ボランティア団体・ひいらぎネット代表の永守すみれさんです。永守さんは、ネットパトロールをしてSNS上に溢れる盗撮画像やわいせつ画像など特に子どもたちの被害につながる情報を収集しています。
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 (ひいらぎネット・代表 永守すみれさん)「ここにある『校内逆さ販売』というのは学校の中でスカートの中を下から撮っている、逆さで撮っているものを売っているチャットルームです。この人は動画をたくさん販売していて20本で2000円。60本になると5000円」

 この日の取材を始める前、永守さんはある画像を見つけていました。

 (永守すみれさん)「まだ未成年ですね、お誕生日みると」

 高校生とみられる女性の顔写真と、その写真をヌードに加工したわいせつ画像でした。画像には名前・高校名・部活・生年月日といった個人を特定するような情報が書かれていました。さらにこの投稿をクリックすると。

 (永守すみれさん)「エスカレーターでのスカート内の盗撮の動画です」

 女性と同一人物かはわかりませんが、エスカレーターでスカート内を盗撮された動画が掲載されていました。永守さんは、こうした画像を見つければ学校や警察に通報しています。
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 (永守すみれさん)「御校のおそらく3年生の女子生徒さんのフェイクポルノ画像がSNS上に投稿されているのを発見してご連絡させていただきました。これがいま、1469人がサーバーに入っていて結構たくさんの人が見られる状況なんですね」

 永守さんは毎日画像をチェックしていますが、被害者を特定し通報できるのは1週間に1件ほどだといいます。

 (永守すみれさん)「まさか自分のところの生徒さんがっていうのは、どこの学校に通報しても寝耳に水というか、まさかという反応が多いです」

 画像が一度投稿されると、瞬く間に拡散され完全に消すことができないのがSNSの恐ろしさだといいます。

 (永守すみれさん)「最初に投稿した人だけでなく、それをダウンロードした人が転載したり、転売することもあるので、被害画像が積み重なっていく。プラットフォーマーとか販売サイトみたいなところにも違法画像が投稿されないような仕組みを作っていくように促していく必要があると思います」

盗撮を繰り返したという男性「スリルがあった」

 犯罪白書によりますと、性犯罪を犯した人のうち盗撮の再犯率は36.4%です。犯罪行為を繰り返すのはなぜなのか。かつて、盗撮容疑で警察に逮捕された男性を取材しました。

 関西地方に住むAさん(20代)は大学生のころ盗撮を始めてしまったといいます。

 (Aさん)「最初は遠目からスマホを使って女性の足を遠目から盗撮する方法でやっていたが、エスカレートしていって、小型カメラを使って電車とかで繰り返していました。盗撮が本当にスリルがあったっていうので、真っ白になるというか、快楽のいくままに動いていた」

 電車内で盗撮して警察に逮捕され一度は反省したというAさん。しかし、約4年後に盗撮を再開し、再び逮捕されました。

 (Aさん)「今の自分では償いきれない心の傷を(被害者に)残してしまったなって、謝っても謝りきれない」

再犯を防ぐためには…

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 Aさんはいま同じ過ちを繰り返さないようカウンセリングに通っています。臨床心理士の中村大輔さんのもとで、半年間の更生プログラムを受けてきました。

 (カウンセリングを行う「研心音」・臨床心理士 中村大輔さん)「どうですか?改めて振り返りで」
 (Aさん)「一生考え続けて忘れないようにしていきたいなという思いでいます」
 (中村大輔さん)「みなさんそう言うんですけど、なんだかんだいってみんな忘れるんですよ。人間は忘れるものなので、忘れないためには記録していくことが大事ですね」

 中村さんは、再犯を防ぐためには会話をすることで加害経験者を孤立をさせないことが大切だと考えています。Aさんにも盗撮を踏みとどまらせるため、自己コントロールできるよう伝えます。

 (中村大輔さん)「3つのリスク覚えています?1つ目は飲酒ですよね。2つ目は睡眠不足、3つ目が興奮時。そういうときって自分の判断が冷静になりません。これ覚えておいてくださいね。この言いつけを守らずに最近再犯する人が多い」

 (中村大輔さん)「(加害者に)罰を与えておけばわかるだろうと。実際罰を与えてもわからない人が圧倒的にいるわけですよ。だから教育していかないといけない。加害経験者に関心を持てとは言わないけど、彼らに教育するべき」

 後を絶たない盗撮。犯罪から子どもたちを守るために地道な活動が続けられています。