男性も知るべき女性の「生理」。身近でありながら話題にすることをタブー視されがちですが、理解不足が女性を困らせているケースもあります。能登半島地震ではこうした問題が浮き彫りになりました。

「みんな語らない。隠しちゃう」正しく理解されていない“生理”

 8月初め、大阪府吹田市のららぽーとEXPOCITYで行われたイベント。小中学生に生理のことを正しく理解してもらおうと開かれました。

 (講師 吉川和代さん)「自分の生理の(経血)量には個人差があるけど、ナプキンを正しく使えば漏れることはないので。ピリッと開けてみてください。できたら全部垂らしてみてください」

 生理用ナプキンに色をつけた水を垂らして、吸収力を確認。子どもたちはあまり触ることのないナプキンをじっくりと観察します。

 (中学1年生)「生理中に出る血の量が思っていたよりも少なかったことがわかりました」

 (母親)「お母さんがおなか痛いときにどうしてくれる?」
 (小学6年生)「応援する」
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 イベントを主催した大阪大学の杉田映理教授は、日本では生理に関する教育が不十分だと話します。

 (大阪大学 杉田映理教授)「みんなが生理のことを語らない。隠しちゃう。どのくらいの周期で来てどんな症状があって人によってどのくらい違うのかが理解されていないと思います」

「男性にしたら全部同じ生理用品にしか見えない」被災地で感じた“配慮のなさ”

 今年1月、生理への理解不足が浮き彫りになった出来事がありました。元日に起きた能登半島地震。最大震度7を観測し、家屋倒壊や断水などで約4万人が避難所生活を余儀なくされました。甚大な被害を受けた石川県七尾市では、最も多い時で35の避難所が設置されました。
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 七尾市の医師、根上昌子さん。地震のあと、避難所をまわり女性を支援していましたが、度々感じたのが生理への配慮のなさでした。

 (根上昌子さん)「避難所の奥に行くまでのみんなが通る場所に生理用品がポンっと置いてある。若い子とかは(人目を気にして)そこからとれない」
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 生理の際には流れ出る経血の量に応じて、さまざまな種類のナプキンを使い分けます。しかし、避難所によってはいろんなナプキンが備蓄されていたのに同じ種類しか並べられていませんでした。

 (根上昌子さん)「支援物資の中に昼用・夜用いろんなものがあっても、男性にしたら全部同じ生理用品にしか見えない」

 さらに、こんな衝撃的な言葉も…

 (根上昌子さん)「男性の方が『女性は生理用ナプキンが1年に12枚あれば、それでいいんだろう』というようなことをおっしゃっていた」

支援物資を管理していた男性職員「生理用品という一つのくくりで配布していた…」

 当時、支援物資を管理していた七尾市職員の西川さんは、生理用品の種類を考慮せず避難所に配布したケースもあったと振り返ります。

 (七尾市職員 西川洋吾さん)「種類とかメーカーとか関係なく生理用品という一つのくくりで、まずは避難所に配布していた。(あとから)長さとかあるんですよと言われて、全然そんなことは知らなかったという感じだった」

 今回のことを受け、西川さんは、避難所の運営にあたることが多い男性も生理についての対応を知るべきだと話します。

 (七尾市職員 西川洋吾さん)「今後いつどういった災害が起きるかわからないですし、女性だけの問題じゃなくて、男性も女性がこういった問題があるというのを知識として知っておくべきだと思いました」

 なかなか進まない生理への理解ですが、意外なデータも。生理用ナプキンなどを製造する大王製紙の調査では、10代、20代の男性の半数以上が「生理のことを理解したい」と回答。働く女性が増えたこと、生理について様々なメディアで取り上げられるようになったことなどの要因があるようです。
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 また、被災地で生理への理解不足を象徴した「ナプキンが1年に12枚あればいい」という発言。大王製紙によりますと、個人差はあるものの、生理は1か月に5~7日程度続き、大小あわせて20~25枚ほどのナプキンを使用するといいます。12枚だと長くて3~4日しかもたず、1か月分にも満たないのです。

 知りたいけど触れにくい、知ってほしいけど言いづらい生理について、大王製紙の担当者は次のように話します。
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 (大王製紙 小野郁子さん)「最低限のこと、生理ってこういう仕組みで、こういう症状があって、生理用品はこういうものがあって、しんどい人もそうでない人もいる。人口の半分が経験していることなので、普通のことってなればいいな」

生理のつらさを体験できる装置 男性アナ「日常の動作がつらい…」

 こうした中、男性も生理のつらさを体験できるという装置「ピリオノイド」が注目されています。MBS河田直也アナウンサーが実際に体験してみました。
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 下腹部につけたパッドに電気信号を送り筋肉を収縮させることで、生理痛を再現するといいます。強さは3段階、まずは「弱」を体験します。痛みの波がランダムに襲ってきます。

 (河田アナ)「こんな感じですか、もうこれで十分痛いですよ。鈍い痛み」

 続いて「強」にすると…

 (河田アナ)「うわ…これはなかなかですね…。ほんまですかこれ。変な汗かいてきましたよ」

 「強」が多くの女性が感じる生理痛に最も近いといいます。

 この装置は女性が痛みに耐えながら生活していることへの理解を深める目的で、企業の研修などで利用されています。

 (河田アナ)「立ったり座ったりもけっこうきついですね。なんてことのない日常の動作が非常につらい。女性からすると『やっとわかったか』ということかもしれませんね」
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 (大阪ヒートクール 伊庭野健造さん)「そうですね。これを日常感じていたことを男性が全くわかってなかった。女性はフラストレーションがあったんだろうなと思います」